転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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248.クロエからの依頼です

シルフ2の月。

1の月に卒業試験も兼ねた期末試験を受け、やはりナズナとの順位は覆らないまま卒業確定になった。

2の月は自由登校らしく、期末試験で赤点だった人もこの月で追試を受ければ、卒業出来るらしい。

なんともまぁ、甘い学校だなと思った。

 

そんなある日。

 

「…やらかしたなぁ…」

 

あたしは地下牢に捕えられ、手足を金属の枷で拘束されてしまっていた。

乱暴はされておらず、ただ拘束されただけのようだ。

こんな拘束、あたしには何の意味もないのですぐ外したが。

 

あたしは立ち上がり、ため息をつく。

 

なんでこんな事になっているかと言えば、数日前。

クロエが持ってきた依頼が原因だった。

 

あたし達がもうそろそろ退去する寮の一室に、何の前触れもなくクロエが訪ねてきて。

案内した先、ダイニングテーブルにナズナと向かい合うようにして彼は座り、用件を話してくれた。

それを聞いて、ナズナが

 

「潜入捜査だ…?」

 

と眉を寄せながら呟く。

あたしはといえば、客人にお茶の一つも出さないのはどうかと思ったので、お茶の準備とお湯を沸かしていた。

 

「結婚式を控えているというのに、何故そんな危険な任務をシャルがやらねばならん」

「いや、うん。分かってはいるんですけどねぇ…これ、陛下直々の依頼なんですよ。ギルドとしても、国王からの依頼を無視出来ない状況でして…」

 

お茶の葉が入ったティーポットにお湯を入れ、少し蒸らす。

ガラス製のティーポットなので、お茶の葉が踊っている様がよく見えた。

 

「親父は後二ヶ月で退位する。無視してて良い」

「そういう訳にはいかないんですって、殿下。何でも、謀反の疑いがある貴族らしくて。うちで掴めるのはそこまでだったんです。結構、情報隠蔽能力が高くて。他の実力者はみんな顔が割れていますし、シャルロットさんなら何とか出来るんじゃないか、ってギルドマスターからもお願いされてるんですよ」

 

一応あたし達はギルドの称号持ちである。

ギルドマスターからもお願いされてしまっては、動かざるを得ないだろう。

しかしナズナは眉を寄せ、渋い顔をしていた。

 

「別にあたしは良いけれど。学校にだって、もう行かなくていいわけだし。結婚式のドレスもテスタロッサの方で作ってくれているし、妃教育も終わっている。指輪だって貴方が用意してくれるって言ったから、そこはお任せしているわけだし。披露宴の料理だってこの間決めたでしょう? それに、傷が付いたところで自分で治せるしね?」

「だがな、シャル…!!」

 

ナズナの心配も理解は出来る。

学校を卒業して一月後に式を挙げるのに、何で花嫁であるあたしが危険な場所に行かなければならないのか。

そして、この一月はあたしとイチャイチャしようと画策していたのも知っている。

だから、クロエが持ってきた依頼は突っぱねたい気持ちも、理解は出来るのだが。

 

「謀反の疑いがあるのでしょう? 貴方の戴冠式に雪崩れ込まれたら面倒だわ。いくらその場に親衛隊の人達や騎士団が警護しているとはいえ、彼らに止められない程の兵器やら人員なら、あたしだって貴方を守りながら戦うのは大変だもの。いくらレヴィやルティがいるとはいえ。燻った火は、早めに消火しておいた方がいいとは思うわ」

 

お茶菓子と、蒸らし終わったお茶をお盆に乗せ、配膳する。

椅子は二脚しかないので、あたしは立ったまま自分の分のお茶を飲んだ。

はしたないのは分かりきっているが、ダイニングテーブルとソファーの位置が遠すぎて、クロエの話を近くで聞くためには仕方がない。

 

「シャルロットさんが話わかる人で良かった…」

 

クロエはお茶を口にし、美味しいと言いながらもホッとしているようだった。

これであたしにも突っぱねられたら、彼としてもどうしたら良いか分からなかったのだろう。

最悪、死者が出る事態になっていたかもしれない、と思っていそうだった。

 

「シャルが行くなら、俺も行くからな」

 

また子供みたいな事言い出した、この人。

 

あたしとクロエは同時にため息をつく。

まぁ、彼とあたしのため息の種類は全く違うのだろうけど。

 

「殿下。確かに貴方はうちの称号持ちではありますけど、王太子なんですよ。危険な所に行って万が一死なれたら困るんです。ギルドマスターも、殿下以外は使えん連中だって言ってるんですから」

「貴方、今月で戴冠式の準備とか諸々やるって言ってなかった? 卒業式終わって少ししたらやるんでしょ? その合間にあたしとイチャ付きたかったのは分かっているけれど、お仕事に集中なさいな」

 

シャル?! とナズナは少し頬を染め、大声を出す。

まさかバレているとは思っていなかったらしい。

 

…なんでバレないと思ったのだろうか、この人は。

 

あたし専用の部屋に、ターニャが贈ってきた服以外が増えているのは気付いていたし、あたし付きのメイドのほとんどは、テスタロッサの人間である。

ターニャに言って、彼女らをテスタロッサから引き抜いてきたのを、知らないとでも思っていたのだろうか?

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