転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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254.襲撃します

収納空間から刀を取り出し、身を低くする。

 

「…貴方達に恨みはないけれど…仕えた主人が悪かったと思いなさい」

 

居合い斬りの要領で、襲いかかってきた警備兵を全て斬った。

血飛沫を上げて、彼らはその場に倒れ伏す。

まぁ、不死の結界を張っているので、解いたら死んでいる事も無くなるわけだが。

 

あたしは牢がある場所から出る。

屋敷の中が騒然としているのは、襲撃者が現れたからか、もしくは殺人鬼が屋敷に紛れ込んでいたからか。

どっちも違うけど。

歯向かってこなければ、別段手にかける必要もないのだから。

 

あたしを止めようと警備兵が向かってくるが、全てを刀一本で薙ぎ払う。

あたしの姿を見たメイドの何人かが隠れたり、遠巻きにしていたりしていたが、それが賢明な判断だ。

 

ふと、あたしは思い出した事があり、あの先輩を探す。

 

「あ、そこの貴女。聞きたい事があるのだけど」

「ひっ! ひぃぃぃっ!!」

 

あたしは脚力強化を使いメイドの一人に接近すると、彼女は怯えた声を上げた。

それもそうなのだが、あたしはニコリと微笑みながら尋ねる。

 

「ルーチェ・ガルシアは何処? それさえ答えてくれたら、見逃してあげる」

「ひっ…ル、ルーチェお嬢様は…にっ、二階の西棟に…!」

 

西棟のどこ、と聞くと場所まで教えてくれたので、あたしはにこやかに感謝を述べ、その場所に向かった。

何人警備兵を雇っているかは知らないが、鬱陶しいくらいに湧いてきたので、重力魔法で握り潰しておく。

 

あたしは先輩の部屋に辿り着くと、その扉を蹴破った。

 

「ひっ!! な、何ですの?!」

 

時刻はもうそろそろ夕方。

まぁ、自室にいるだろうなとは思っていたが、いてくれて助かった。

でなければ、屋敷中探す羽目になっていたから。

 

「こんばんは、ルーチェ先輩。ご機嫌よう」

「シ、シャルロット・テスタロッサ?! な、なんで貴女がここに?!」

 

うん、驚くよね。

でも、あたしは貴女に対して鬱憤溜まってるし、今回ばかりはあの時のように、許してはあげられないんだ。

あと、ミドルネーム抜けてんですけど。

名前を言うなら、ちゃんと正式名称言いなさいよ駄目女。

 

「先輩、あたし小耳に挟んだんですよ。貴女、ナズナ殿下と恋人同士なんですってね? あたし、もうそろそろ彼と結婚する予定なんですよ。それなのに、貴女ともお付き合いしていたなんて…酷い裏切りだと思いません?」

 

あたしを捕まえようと湧いてきた警備兵を、また重力魔法で潰す。

その様子を見て、先輩が悲鳴を上げた。

 

「きゃぁぁあっ!! 違っ、違いますの!! アレはただの戯言でして…っ!!」

「戯言? なら、不敬罪になりますよ先輩? 殿下の名誉を貶めるような発言なのですから。虚言も良い加減にして頂けませんか? …あたしを不安にさせて、彼を寝取ろうとか思ったその神経、その性格。死んで詫びて貰えません? あたし今、すごく腹立ってるんですよ。貴女のせいで任務に支障をきたすし、ナズナの政務や戴冠式の準備も邪魔してしまった。ねぇ、先輩…学生気分が抜けていないその頭、いりますか?」

 

あたしは風魔法を使い、先輩の髪を切り落とす。

ヒュ、と先輩の口から息を吸い込む音がした。

今のあたしは、さぞかし冷たい目をしている事だろう。

 

「あ、あの、ご、ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

「謝って許してもらえるのは幼い時までですよ、ルーチェ・ガルシア。つい出来心で、なんて言い訳も不要です。あたしは、今、途轍もなく、怒っています。それを、貴女は、理解していますか?」

 

言葉を区切りながらあたしが刀を振るうたび、先輩の四肢が斬れてどこかに行く。

痛いと泣き叫ぶ先輩を、あたしは見下した。

 

「痛い? 大丈夫ですよ、先輩。不死の結界張ってますから。解けば貴女のそれも元に戻りますよ」

「…こ、の……化け物っ!! 人でなし!! 貴女みたいな女、ナズナ様に相応しくありませんわ!! 貴女、いつかナズナ様をも殺すのよ!! 自分が気に入らないからって、この国も滅ぼすのだわ!! 気違い!! 人外!!」

 

あぁ、その通りだ。

あたしは化け物だし、人外だし、気も狂っているだろう。

こんな事をしているのに、全く心が動かないのだから。

以前のあたしなら、人を斬っただけで罪悪感で泣いていたはずだから。

 

それに、貴女のその言葉は、何度あたし自身に問いかけた事か分からない。

 

あたしはナズナに相応しくない。

いつか必ず、何処かで彼を殺す。

国どころか、世界をも滅ぼしてしまう化け物だから。

 

ねぇ、あたし。

ナズナの隣にいて、本当に良いの?

彼の迷惑にならない自信なんて、ないでしょう?

幸せな夢ならもう見たじゃない。

この騒動に乗じて、消えたって良いのではなくて?

 

「それ以上、俺の妻を愚弄するな。彼女の心を傷つけるな。彼女は自分の力を理解した上で振るっている。シャルロットに殺されるなら、俺は本望だ。彼女がそうしたという事は、俺自身が何かをやらかし、彼女が俺に殺意を抱いたという事だ。ならば、その罰を受けるのは当然の報いだろう」

 

あたしの肩にナズナが手を置きながら、先輩にそう言う。

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