転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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258.お部屋の掃除です

シルフ3の月。

 

あたしは、今まで使っていた寮の部屋の掃除をしていた。

もう卒業するので、この部屋も引き払う。

汚いまま、次の入居者に渡すわけにはいかないと思ったのだ。

 

「シャル…業者が入るから、別にしなくても…」

「長谷川は言っていたわ。あんまり放置していると、汚れが落ちない時があるんですって」

 

時魔法で戻しても良かったけど、それじゃああたしとナズナが過ごした時間も巻き戻るような、そんな気がして出来なかった。

 

キッチン周りはルティに任せ、あたしは床とか棚の上とかの埃を取り、水拭きしていく。

 

ちなみにナズナとレヴィは、力仕事担当である。

細かい事が出来ないレヴィと、掃除は全てメイド任せでやった事が無いナズナ。

二人に掃除なんてさせようものなら、大変な事になると言ったのはルティだった。

 

その意見にはあたしも賛成だったので、2人には物を退かしたり移動させたりする仕事をお願いしている。

 

ある程度綺麗になった後、ルティがあたし達にお茶を入れてくれた。

 

「次は水回りかしら…」

「そこは吾がやっておく。主は卒業式? というものがあるのだろう? その後は番が、戴冠式? というものをやると聞いた。その準備をすると良い。レヴィ、水回りなら其方の得意分野だ。やるぞ」

 

応、とレヴィは嬉しそうに笑う。

少し疎外感でもあったのかしら、ごめんなさいね。

 

「卒業式かぁ…」

 

去年はナズナにドレスを贈ってもらい、それを着て卒業式に出たのだけど。

今年はどうしたものか。

 

「シャル、今年も贈らせてくれ」

「…あの…負担にならないかしら? 貴方、戴冠式も控えているのに」

 

心配するな、と彼は言う。

いや、心配するからと返すと、ナズナはニヤリと笑った。

 

「お前用のドレスは、今何着も作らせているからな。その中の一着から、俺が選ぶよ」

「…なんでそんなに作らせてるのよ、貴方は…」

 

初めて聞いたその話に驚く。

別に、今ある奴でも良いのに。

しかしナズナは、首を横に振った。

 

「一応お前、王妃になるんだからな? お前用の宝飾も取り揃えてあるし、ドレスも着る物も用意させてる。あー…無駄遣いとか思わないでくれよ、シャル? 民に還元する為には、民が作った物を買うのが一番なんだ。それに、この国が飢饉に陥ったとて、その宝飾品やドレスやらを他国に売り、代わりに食糧を買って民に配布する。その為だと思ってくれ」

「…成程。それなら良いわ。自分を着飾る為に宝飾品を増やしたり、ドレスを増やしたりするの趣味じゃないのよ」

 

わかってる、と彼は笑う。

本当なら、ナズナはもっとあたしを着飾ってみたいのだろうけれど、あたしがそれを好かないのは理解しているから、やらないだけだろう。

 

あたしは卒業式のドレスやらなんやらはナズナにお任せする事にし、次は戴冠式で着る用のドレスの思案に移る事にした。

 

流石に、主役より目立つのはマズい。

しかし、彼の伴侶になるのだから少しは派手にしなければならないだろうか?

 

うーん、と悩み始めたあたしに、ナズナはコーヒーを入れてくれる。

 

「あなた、言ってくれればあたしがするのに…」

「これくらい、シャルの手を煩わせる程ではない。戴冠式用のドレスも、俺が用意してやりたいんだけどな。すまん、シャル」

 

差し出してくれたコーヒーを受け取ると、ナズナが謝ってきた。

あたしはフルフルと首を振る。

 

「忙しいのはわかっているわ。ごめんなさいね、あたしの事まで考えさせてしまって」

「愛しい女の事を考えるのは楽しいんだが、こればっかりはな」

 

ナズナはそう言い、あたしの頭にキスしてきた。

くすぐったくて、クスクス笑う。

 

「あともう少しだ、シャルロット」

 

急に熱を帯びた低い声で、彼はあたしの耳元で囁き、肩が跳ねた。

顔が真っ赤になり、慌てたものだからあたしは椅子から転げ落ちる。

 

「シャル?!」

「いっ…た…ぁ…っ!! …あの…ごめん…刺激が強いので…それは、あの…初夜でやって、頂ければ…」

 

ナズナが心配の声を上げるが、彼の顔が見れず、あたしは床に突っ伏した。

あまりにも大きな音がしたからか、お風呂場からレヴィとルティが顔を覗かせたようだ。

 

「主、大丈夫か?!」

「我が妻、あれは痴話喧嘩というやつだ。放っておけ」

 

うん、その通りなので放置でお願いします…。

 

ナズナがあたしの傍に屈んで、軽く肩を叩いてくる。

いくら綺麗にしたからと、床に寝そべるのはどうかと思ったらしい。

 

「シャル、起きれるか?」

「別に怪我してないし、してても治せるから大丈夫よ。心配かけさせてごめんなさいね」

 

起き上がるが、ナズナの顔が見れない。

そんなあたしを見て、彼は笑い出した。

 

「…何よぉ…」

 

ジト目で彼を睨むと、ナズナは目に涙を浮かべて笑っている。

涙が浮かぶほどおかしいのかと更に睨みつけた。

 

「いや…俺の妃は本当に可愛らしい。動揺して椅子から転げ落ちるとか……ん? ちょっと待てシャル? お前、初夜で恥ずかしいからって逃げるなよ?」

「何の心配してんのよ貴方は?! に、逃げるわけ…無いじゃない…」

 

なんでそんな自信なさげなんだ、とナズナから肩を掴まれ揺さぶられる。

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