転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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26.クラスメイトと交流します

「さて、皆さんおはようございます。今日は転入生を紹介します。入ってきてください」

 

カーン先生がそう言い、あたしは教室の扉を開ける。

どよめきが起こり、カーン先生が静かにするように言った。

 

「シャルロットさんです。ナズナ殿下の護衛役として、本日このクラスに転入しました。皆さんいじめないように。シャルロットさん、自己紹介お願いします」

「ご紹介に預かりました、シャルロットと申します。王族親衛隊に所属しており、殿下の専属護衛を務めさせていただいております。皆様には多大なるご迷惑をおかけする事になるかと思われますが、どうぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」

 

スカートの裾を軽くつまみ、カーテシーで挨拶する。

おぉ、と一部からは感嘆の声が上がった。

 

「シャルロットさんはそういう事情で、ナズナ君の隣になります」

 

教室を見回すと一番後ろの窓側にナズナがおり、隣の席が一席空いている。

あそこがあたしの席になるのだろう。

 

席の間を歩いていくと、これ見よがしに足を伸ばしてきた生徒がいた。

 

足を引っ掛けて転ばせようという魂胆なのだろうが、お生憎様。

ただの平民だと思わない事ね。

 

あたしはその場から飛び上がり、後ろの空間に着地する。

 

「…シャル、何やって」

「このように、軽業師の真似事も出来ます。身体能力にも自信がありますので、ぜひ腕に覚えのあるお方はお相手になっていただければ幸いですわ」

 

ニコリ、と笑うあたしにナズナは何かを察したのか口を噤んだ。

 

ホームルームからそのまま歴史の授業に移行したが、レイラさんとやった所だったので、復習のつもりで話を聞いている。

教科書も持っていなかったので、ナズナと机をくっつけて見せてもらっていた。

トントン、とあたしの腕をナズナが軽くつついてくる。

何だと目だけ彼の方を見ると、彼も前方を見ていた。

だが、ノートに何か書いていたのでそちらの方に目を向ける。

 

(先程、何があった?)

 

本当に心配性の王子様だ事。

護衛役の奇行だと流してしまえば良いものを。

 

あたしは頬杖をつきつつ、苦笑した。

そしてノートに書く。

 

(足引っ掛けられそうになったから、飛び上がって一回転してから着地しただけ。平民だからと舐められたのね。これくらいでへこたれないけど)

(強いな、シャルは)

 

そう書き、ナズナはあたしに向かって微笑む。

その笑顔が眩しくて、胸が一瞬だけ高鳴った。

 

あたしは教科書を読むふりをして、ナズナから顔を逸らす。

そんな事をしていると、いつの間にか授業が終わっていた。

 

「はい、ではこれにて終了です。遅れていた分ですので、しっかりと覚えるように。新学期ですので、これで今日は終わりです。各自自由行動になります。寮に帰るなり、図書館で勉強するなりしてください。では解散」

 

そう言い、カーン先生は教室から出て行った。

途端、あたしとナズナの周りに人だかりができる。

 

「シャルロットさん、どこ生まれ?」

「その髪色珍しいね、どこから来たの?」

「一目惚れしました、結婚を前提にお付き合いしてください!」

「髪綺麗ー。整髪料何使ってるの?」

「お前、抜け駆けすんなよ!」

「瞳の色も綺麗だよね。その目の色の人、初めて見たー」

「こいつなんてマジ駄目野郎だから、俺の方がいいと思うぜシャルちゃん」

「あ、てめぇ! 愛称で呼ぶほど親しくしてねぇだろうがよ!」

 

色んな声が多過ぎて、あたしは少し立ちくらみみたいな感覚を覚えた。

そんなあたしの背中にそっと手を添え、ナズナが支えてくれる。

 

「お前ら、少し落ち着かないか。アイナ、ビルギッタ。そこについては、調査中だ。分かり次第、シャルの口から語られるだろう。チャール、お前確か婚約者がいたはずだろう。婚前の浮気は大層恨まれるらしい、覚えておけ。ダヴィド、エーメリ。お前達もだろう。カーレ、そんなに整髪料が欲しいなら、王家御用達店に行けばいい。シャルと同じになるかわからんがな。エルヴィ、俺も初めて見たんだ。アメジストみたいで綺麗だよな? ヘイモ、俺も同意見だ」

 

クラスメイトだからなのか、各自の名前と一緒に答えたり嗜めたりしているナズナを見て、頼もしく思ってしまう。

しかも、一人一人の声も聞き分けているみたい。

 

あたし、護衛役なのに…なんか悔しいな。

 

「さて、そろそろ昼時だ。皆も久しぶりに登校してきたのだろう? 他の学友とも交流を図るべきではないかと思うが」

 

ナズナのその一声に、あたしの周りにいた人だかりはいなくなった。

 

彼の声はよく通るので、正論を言われたら納得してしまうくらいなのだ。

これは王子という肩書きより、ナズナの人格の賜物だろう。

 

「そういえばナズナ、嫌な事思い出させて悪いんだけど一個疑問に思った事あったから、聞いていい?」

「嫌な事…? …あぁ、ヴィオレッタか」

 

小声でナズナに尋ねると、彼は何かを察したのか苦虫を噛み潰したかの如く渋い表情になる。

 

「何だ?」

「あの時あのお嬢様、あたしの事平民って言ってたけど、何でわかったのかしらって」

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