転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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260.ダンスをします

あたしが苦笑いを浮かべていると、魔力波が放たれて何人かが失神し、倒れた。

そしてモーゼの海割りの如く、二列に人が割れて道を作る。

そこには、ナズナが不機嫌そうな顔をして立っていた。

 

やっぱりかと思いつつ、あたしは少し困った顔をしながら、ナズナの元へ歩き出す。

 

「殿下、あまり怒らないでくださいませ。おめでたい席ですのに…全く、しょうがないお方ですね貴方は。私の心は貴方の元にしかないのに、そんなに嫉妬なさらないで? 愛しいあなた」

 

あたしはそう言って、ナズナに抱きつく。

彼はあたしを抱きしめつつ、しかしな、と言葉を紡いだ。

 

「お前が美しすぎて、誰かに何処かへ連れ去られそうで怖いんだ。俺の目の届く範囲にいてくれないと困る」

「あら嫌だ。私がそんな柔な女だと仰るの? 私が貴方の専属護衛の時に魔王を討伐し、戦争の英雄にもなったのに誰かに連れ去られると? ふふ…可笑しい…」

 

ナズナの頬に手を添え、あたしは微笑む。

そして、少し背伸びをして彼にキスをした。

キャーと歓声が上がるが無視をする。

 

「シャル…」

「これで牽制になったでしょ、あまり嫉妬しないでよナズナ。貴方の魔力波に当てられて何人か気絶したじゃない」

 

小声で注意すると、すまん、と謝られた。

本当に、あたしが見えないとか離れるのが余程嫌なようだ。

この愛が、あたしには心地良い。

 

「好きよ、ナズナ」

「俺も、愛してるシャルロット」

 

壇上から校長先生が咳払いをする。

あたしとナズナは離れ、先生にすみませんと頭を下げた。

最後の一人が壇上から降り、歓談の時間になる。

あたしと同様に、ナズナにも女生徒が群がって話をしていたが、彼は仏頂面で応対していた。

少し聞き耳を立ててみたが、ナズナに本気で告白している女生徒が数人、駄目元で行なっているのが数人、側妃にしてくれと進言しているのが数人。

後はナズナとの別れを惜しんでくれている人。

 

あたしの所も似たようなものだが、流石に王妃になる女性に告白してくる馬鹿はいなかった。

 

誰だ、ナズナに告った奴。

あと側妃とかふざけんな。

あたしに喧嘩売ってんの?

なら買うわよ出てきなさい。

 

ニコニコ笑いながら、やってきた奴にマーカーをつける。

後で個人的に話をしようと思ったからだ。

それに気付いたナズナが、呆れた目をあたしに向けた。

 

人の事言えないだろう、という目だったけれど無視する。

音楽が流れてきて、ダンスの時間が開始されたようだった。

ナズナは女生徒達に何か言って、あたしの所へ来る。

 

あたしの所にいた生徒達もあたしから離れ、あたしとナズナを中心に輪が出来た。

 

「貴女と踊る栄誉を、俺に頂けないでしょうか。シャルロット・マリアライト・テスタロッサ嬢」

 

ナズナはあたしの前に跪き、手を取って懇願するようにあたしを見る。

そんな彼へ、あたしは微笑みかけた。

 

「喜んで。ナズナ・エキザカム・ブリリアント殿下」

 

ダンスホールへエスコートされ、あたしはナズナとワルツを踊る。

少し踊ってから、あたしはクスリと笑った。

 

「どうした、シャル?」

 

なんで笑っているのだろうと、ナズナは首を傾げる。

 

「いえ…貴方があたしに敬語を使うの、初めてじゃないかしら? 初めて会った時も不遜な態度だったじゃない?」

「そこまで横柄だったか? まぁ…確かにお前に敬語を使うとしたら、許しを乞う時くらいだろうが…」

 

少し眉を下げ、ナズナが笑う。

ふと、そういえばあの時何を言ったのだろうかと、彼に尋ねる事にした。

 

「ナズナ、貴方女生徒達に何を言ったのよ」

「ん? あぁ…ダンスの時間で一回は踊ってやるから、そこを退けと言っただけだ」

 

何でしれっと言ってんですかね、この人は。

本当、人の心の機微というか地雷を平気で踏んづけていくというか…!!

 

「あ、そう。なら、あたしも他の男性と踊っても平気なのね?」

 

ジト目で彼を見ると、目を逸らされてしまった。

 

「とても嫌だし苦痛ではあるんだが…すまんシャル。あぁ言わなければ、あいつら退きそうもなかったんで…」

 

ムッとしていると、ステップを踏み間違えてあたしは少し体勢が崩れる。

そこをすかさず、ナズナがフォローしてくれた。

 

「…ごめん」

「いいや、謝るのは俺の方だ。すまない、シャルロット。だが、お前が王妃になったらこういう経験はないだろう。俺としか踊らないはずだし…その…何事も経験というか……そんな目で見ないでくれ…すまなかった…」

 

ちょっと後悔しているようだったので、あたしは彼に言う。

 

「結婚したら、あたしだけしか見ないでね? 他の人を見るのは嫌よ?」

「わかってるさ、俺の運命の女(ファム・ファタール)。むしろ、お前以外の女など目にも入らないと断言する」

 

あら、嬉しい。

破ったらどうなるかなんて、聞かなくても彼は分かりきっているだろう。

だって、結婚記念日二回忘れたくらいで離婚騒動が起こるのだもの。

他の女に現を抜かした瞬間、即離婚だわ。

 

ナズナと二回踊り、あたしは他の男性に渡される。

渡す瞬間、彼は相手の男性を睨みつけていたが。

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