転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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269.結婚しました

その言葉に、あたしは驚く。

 

「これ、貴方が作ったの? 何処にそんな時間があったって言うのよ」

「寝る時間を少し削っただけだ。ベルファにも手伝っては貰ったが、ほぼ俺一人で作ったものなんだ、が…気に入らなかったか?」

 

あたしは、ピローからナズナ用の指輪を取り、彼の指に嵌めながらベールが取れないよう、少しだけ首を横に振った。

 

「驚いただけ。とても嬉しい。でも、今寝不足ではないの? 大丈夫?」

「これを作っていたのは、戴冠式の前だ。大丈夫だ、シャルロット。心配するな」

 

小声で話していたのだが、ジルベルト卿には聞こえていたようで、また咳払いをされる。

 

「では、誓いのキスを」

 

その言葉に、ナズナはあたしのベールに手をかけた。

ベール越しに見えていた彼の顔が、上げられた事ではっきり見える。

 

その顔が近付いてきて、あたしは目を閉じた。

触れるだけのキスを、あたし達はする。

 

「これにより、二人の婚姻が成立した事を認めます」

 

ジルベルト卿が、参列者達に宣言した。

言葉が終わるくらいで、ナズナは唇を離す。

 

「シャル…愛している」

「あたしも、貴方を愛してるわナズナ」

 

ふっ、とお互いに笑い合った。

今が幸せの絶頂というやつなのだろう。

 

ナズナはあたしをお姫様抱っこで抱き上げて、バージンロードを歩く。

方々からおめでとうと言う声が上がる中、グレゴワールが情け無くあたしの名前を呼んだ。

その声に応えてやる義理もなかったので、無視はしたが。

 

教会の入り口に着くと、幌無しの馬車があたし達を待っていた。

 

「シャル」

 

少し心配そうに、ナズナがあたしの名前を呼びながら見つめてくる。

こういう目立つ行動を、あたしが好かない為だろう。

 

そんな彼に、あたしは微笑んだ。

 

「大丈夫よ、あなた。貴方の妻になったのだもの。それに、顔は覚えられないけれどみんなの顔が見たいわ」

「そうか。ありがとう、シャル。俺の妻は、やはり優しく美しい」

 

あたしを抱えたままナズナは馬車へ乗り込み、壊れ物を扱うかのようにあたしを席に降ろしてくれる。

彼が着席したのと同時に、馬車が動き出した。

 

あたし達を祝福しようと、沿道に民達が集まって口々に幸せを祈ってくれる。

たまに、あたしが綺麗だとかの声が上がるが、あたし達は気にせずみんなに手を振った。

 

「綺麗ですって」

「民達に、お前の姿絵は出回っていなかったからな。女神だと呟いている者もいるぞ。うん、それは理解出来る。俺の妻は、女神もかくやという位だからな」

 

それは褒めすぎだろうと思うが、でもナズナに褒められて悪い気はしない。

これが妻になった心境の変化というやつだろうか?

 

「なら、貴方は神様かしらね? あたしを拾って、見初めてくれて…ここまで連れてきてくれたのだもの」

「やめてくれ。俺はお前の夫であれば良い。それ以上を望むつもりはないさ」

 

その言葉に、あたしはクスリと笑う。

 

「どうした、シャル?」

「それ以上になってもらわないと困るわ。子供が出来ても、貴方は父親になるつもりはないの?」

 

そうは言っていない、とナズナは不機嫌にはならずに、苦笑いを浮かべた。

弁明しようとした彼の口を、指で押さえて微笑む。

 

「分かってるわよ。今は、あたしの夫でいたいって事よね? いずれ、父親にもなってくれる。そうでしょう?」

 

ナズナは自分の口を押さえているあたしの手を取り、その手の甲に口付けを落とした。

 

「勿論だ、シャルロット。お前との子は、とても可愛いと思うよ。その子の父親になれるんだ。今以上の幸福を感じる事だろう」

「あなた…」

 

ナズナはあたしの肩を抱き、頭にキスをしてくる。

あたしはされるがまま、微笑んだ。

 

◆◆◆

 

王都を一周した後、王城に戻ってくる。

先にナズナが降りて、あたしに手を差し出してきた。

その手を取り、馬車を降りる。

 

「陛下。会場の準備は出来ております。王妃様はお色直しがございますから、先に会場へお越し下さいますようお願い申し上げます」

「分かった。妻を頼む」

 

ナズナは出迎えた騎士を引き連れ、披露宴会場に向かった。

あたしに、またな、と言って。

 

「王妃様。こちらへお願い致します」

「え…あ、はい…」

 

王妃と言われ、一瞬誰の事だと思い、あぁ自分かと納得する。

前王妃のベアトリーチェ様は、ライラント様と共に新しい居城に移ってしまったし。

ここで王妃と呼べる存在は、あたしだけだ。

 

あたしはメイド達と共に、自分の部屋へ入る。

そして、ため息をついた。

 

「本当にいい加減にして欲しいのだけど。一体何処の家の者なのかしら。晴れの日なのだから、少しは遠慮というものを覚えたらどうなの?」

 

そう言い、指を鳴らす。

あたしと共に入ってきたメイド数人を、闇縛(ダークバインド)で拘束した。

その手から凶器のナイフやらが転がり落ちる。

 

ナズナ程ではないが、自分付きのメイドの顔くらい覚えている。

というか、テスタロッサのメイド達ばかりなので、その中に見慣れない顔があったら警戒ぐらいはするのだ。

寄越した奴、馬鹿なんじゃないの?

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