転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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27.学食に行きます

ナズナは、あぁ、と何か納得がいった顔をして説明してくれた。

 

「親衛隊の多くは、平民出身が多いんだ。貴族令嬢が入るのは稀でな。それに、ヴィオレッタはよく社交界に一人で出向いている質でな。顔を出している令嬢の顔も、多少は覚えているんだろう」

「なるほど…」

 

でも、顔を出していない令嬢が親衛隊に入って、尚且つナズナの専属護衛になったらあのお嬢様どうするんだろう?

しかも自分の家より家格が高い所だったら、家同士の争いになるんじゃないかしら。

まぁ、あたしが心配するような話ではないけれど。

 

「シャル、昼を食べに学食へ行こうか」

「別に良いけど、毒殺とか気にしなくて良いの?」

 

王族は多方面から命を狙われる、だからあたし達みたいな護衛役が必要なのだと教わった。

王族の食事等を用意するのも、護衛役の仕事なのだとも。

だがナズナは、気にするなと一言言う。

 

「その為に、毒にも慣らしてある。死なない程度の少量だがな。王位を狙う兄弟が多いんだ、それくらいするさ」

「…今度からそれやめてくれる? あたし鑑定スキルも持っているから、貴方が食べる物を見て大丈夫だったら渡すから」

 

頼もしいな、と彼は笑う。

その顔にも、胸が高鳴ってしまった。

 

…不整脈かしら?

 

◆◆◆

 

一体この学校は、何人くらいの生徒と教諭を収容しているのだろう。

 

ここにきた時と同じ感想を、あたしは食堂を見た瞬間思ってしまう。

それくらいに、広すぎたのだ。

端が見えないのだから。

 

推定100メートルは超えてるかしら…。

 

「シャル、ユキヤ達だ。合流するぞ」

 

離れた所にユキヤ君達を見つけたのか、ナズナはあたしの手を取ってそちら側に移動し始める。

 

「先導しないでもらえませんかね?! 貴方、護衛対象なのわかってるの?!」

 

雑踏過ぎて、声を張り上げないと声が届かないと踏んで、大声を出す。

しかしナズナは、大丈夫だというように微笑んだ。

 

「何笑ってんのよ?」

「いや、もう着くからな」

 

言われて、前を見ると確かに目前にはユキヤ君達がいる。

心配は無用だったという事だ。

あたしは納得がいかなくて、眉を寄せる。

 

「シャル、ご機嫌斜め?」

「殿下が勝手に動くからよ」

 

カナリアがあたしに抱きついて聞いてきたので、ちょっと不服そうに返事を返した。

 

「兄さん、またシャルに迷惑かけたんですか?」

「かけた覚えはないがな」

 

ユキヤ君は呆れた目でナズナを見るが、彼は肩をすくめただけだった。

迷惑だとは思わないけど、前に出る癖だけは治してもらえないだろうか、と切望してしまう。

 

「まぁ、専属護衛がいなくて、歳の近い親衛隊員を代わる代わる連れてきていた兄さんですから。自分が護衛対象だという自覚がないんです。王太子としてどうかと思いますが」

 

ユキヤ君の苦言に、ナズナは目を逸らした。

先に前へ出た方がやりやすい、と言い訳をしている。

 

ユキヤ君、もっと言ってやって!!

 

「まぁまぁ、ナズナ殿下いじめはそれくらいにして。お腹空いたよ、早く何か食べようよ」

「で、どうやってご飯を頼むの?」

 

こういう所、記憶をなくす前は来ていたのだろうが、それすらもわからない。

 

「席が空いてる所に座ったら、ウェイターさんが注文取りに来てくれるよ」

 

カナリアがそう説明してくれる。

成る程、わかりやすいシステムだ。

 

早速空いてる席を見つけ座る。

すぐさまウェイターが来て、メニュー表を渡された。

種類がとても豊富だったのだが、選び切れず結局ナズナと同じものを頼む。

 

「種類が多いのね…」

 

昼食を食べ終わり、カナリア達と別れあたしたちは寮への帰路についていた。

 

「一年に一回メニューは改定されるらしいが、俺もそう頻繁に行くわけではないからな。あそこで食事をとっているのは、侍従を連れて来れなかった子息達や、平民達だな。ここは、色んな仕事を斡旋してもいるから、働いた賃金で食事しているらしい」

「ふぅん…」

 

貴族や、あたしみたいに王族に雇ってもらってるわけではないから、それはそうよね。

学費もそうなのかしら?

ナズナに尋ねると、そうだと答えが返ってくる。

 

「学校の仕事を手伝ったりして、学費代わりにしている奴らもいる」

「あたしは運が良かったのね」

 

若干伸びながら言うと、ナズナがあたしの頭を撫でてきた。

 

「シャル、一つ聞いてもいいか?」

 

ナズナがあたしに質問してくるなんて珍しい。

彼が立ち止まったので、あたしも歩くのをやめる。

 

「お前は、記憶が戻ったらどうする? 国許に帰るのか?」

「何よ、いきなり唐突に」

 

あたしの方が数歩前に出てしまっていたので、振り返ってナズナに聞き返す。

彼は寂しそうな笑顔を浮かべ、あたしを見つめていた。

 

「…そんな顔しないでよ。それに、あたしは拾ってもらった恩義を忘れて、帰るような女じゃないわ。ちゃんと、返してから帰るなりするわよ。だから…」

 

あたしはナズナの手を握り、頭を彼の胸につける。

 

「あたしは、貴方の専属護衛よ。大丈夫、いなくなったりしない。だから、泣きそうな顔しないで」

「…あぁ」

 

あたし達はしばらくそうしてから、寮の自室へと帰った。

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