転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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272.彼と一緒に歩みます

「いっ…!!」

「…何やってるんだ、シャル…」

 

あたしの上からシーツを被せ、ナズナは眠そうに瞼を擦りながら起き上がる。

大きな欠伸をしつつ、彼はあたしを見た。

 

「お、おはよう…」

「おはよう。で、なんで床に落ちてるんだお前」

 

シーツを頭から被って、あたしは床に座り込みながらナズナを見上げる。

逞しい胸板を見てまた昨夜の事を思い出し、顔を真っ赤に染めたあたしは、シーツに包まって蹲った。

その様子に、ナズナはクックッと笑い出す。

 

「お前…昨日あんなに啼きまくってたくせに…」

「うっさい!! 言うな!! このデリカシー皆無馬鹿!! 絶倫!!」

 

何回しても満足しない貴方に付き合わされた、あたしの身にもなれ!!

 

まだクックッと笑っていたナズナだが、ベッドから降りたようで、次いで衣擦れの音が聞こえた。

 

「…ナズナ、何処いくの」

 

妻を置いて、何処に行くのかしらこの人。

シーツから顔を覗かせると、ナズナはもう上の服も着ていて、あたしに苦笑した。

 

「仕事だ。お前はまだ体が辛いだろう? 今日はゆっくり休め。夕方には戻ってくるから」

 

あたしの傍に来て屈みつつ、彼は頭を撫でてくる。

いや、確かに腰も足も痛いですけど。

 

「一日、傍にいてくれないの?」

「すまんな、シャルロット。俺の愛しい君。だが、王の仕事は一日でも休めないんだ。もし回復したら、執務室に来ると良い。お前ならいつでも歓迎だからな」

 

そう言ってナズナはあたしを抱き上げ、ベッドに座らせてくれる。

頭にキスをした後、彼は寝室を出て行った。

 

「………」

 

なんだっけ、なんとかトークってやつ。

あれすらないの?

え?

 

ナズナに言われたのか、メイド達が入ってきてあたしを立たせ、お風呂やら何やらをやってくれる。

その間、あたしはボーッとしてしまっていたが。

 

お部屋に帰ってきて、朝ご飯を食べている最中に思わず叫んでしまった。

 

「いや、何でよ?! 一応新婚なんですけど?! 一日くらい甘く過ごしたって、バチ当たんないんじゃないの?! ナズナって仕事馬鹿だっけ?! あれか?! 釣った魚に餌やらないってやつ?! はぁ?!」

「王妃様、落ち着いて下さい…」

 

ルーティはそう言うが、ちょっと腹の虫が治らない。

少し抗議してくると、朝ご飯を食べ終わった後にブリジットさん達を伴い、あたしはナズナの執務室へ行く。

 

「陛下、ちょっとお話が」

「ん? どうした、シャル?」

 

ナズナは書類を睨んでいたようだが、あたしが来た事でその眼光が緩くなった。

ブリジットさん、及びナズナの護衛役として部屋の中にいたニーナ隊長達は、空気を読んで退室する。

 

「貴方、事後なのにそっけないのではなくて? 仕事云々は言いたく無いけれど、あの有名なセリフを言うわ…あたしと仕事、どっちが大事だって言うのよ貴方は?! 新婚なんですけど?! もう少し甘い時間というものを作ろうとは思わないの?!」

「え…仕事とお前なら、お前だが…」

 

じゃあ、ちょっとは甘やかしなさいよ、とあたしは彼の頭を殴った。

ただ、雛桔梗が完全にリミッターをかけてくれているおかげか、ナズナの頭がへこんだりはしなかったが。

 

「いっ…! あー…すまなかった、シャルロット。これを片付けたら、お前との時間を作ろう。そうだな…新婚なんだもんな、俺達。うん、妻を寂しがらせるのは、夫としては最低だった。許してほしい」

「全くよ。あんまり放置するなら、あたし実家に帰りますからね!」

 

それは困る、とナズナは言い、さっさと片付ける為に書類に向き直り始めた。

あたしは応接用のソファーに腰掛け、ため息をつく。

そんなあたしを見てか、ナズナが問いかけてきた。

 

「シャル、体辛くないか?」

「あたし転生者よ? あれくらいすぐに回復するに、決まって…」

 

あたし今、物凄い失言しなかったかしら。

恐る恐るナズナの方を見ると、彼は書類に走らせていたペンを止め、こちらをニヤリと笑って見ていた。

 

「ほう? すぐ回復する、なぁ…」

「いや、ちょっと待って?! だからって流石に毎晩はちょっと…!!」

 

俺は何も言っていない、とナズナから返され、ムッとなる。

絶対そう思っていただろうに、あたしだけがそう考えているとか思われるのは癪だ。

 

「あ、そう? なら、あたしの気分が乗った時にだけ貴方の相手をするわ。お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした、陛下。あたしはこれで失礼しますね?」

 

ニコリと笑い、あたしは立ち上がる。

そんなあたしを見て、ナズナは慌て出した。

 

「ちょ、待ってくれシャルロット!! 俺が悪かった!! お前が大丈夫なら毎晩抱きたい!!」

「大声で言うな馬鹿!!」

 

あたしはナズナの頭をまた叩く。

彼は自分の頭を押さえ、涙目になりながらあたしを見上げた。

 

「シャ、シャル…」

「そんな情けない声出さないでよ、ナズナ…もう…貴方ちゃんと王様出来る?」

 

お前がいてくれたらと、ナズナは言う。

全くこの人は仕方がない人だ。

あたしを愛して溺れて…あたしも同じだけれど。

 

そんな彼と共に歩む。

未来は不確定だけれど、あたしはナズナと共に進めるのなら、何も怖くはないと思った。




『転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!』

これにて完結でございます。
後は番外編を書いて
終わりたいと思います。
次回作、と言っても
この作品と同じくらい話数が出ている
彼女の息子のお話も
宜しければご覧ください。

そこにもなっちゃんは出てますしね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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