転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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274.『番外編1-2』

それを聞いたルーティは、すぐさま別のメイドに作って持ってくるよう指示を出していた。

 

「あの、先生。ありがとうございました」

 

あたしは、立ち上がって去ろうとしている先生にお礼を言う。

原因がわかって、ホッとしたからだ。

 

「別に礼を言われる程じゃありません。リューネの女性は皆、妊娠すると魔力が不安定になるんです。気分が悪くなって寝込んだり、王妃様みたく飯が食えなくなったり。まぁ、安定期に入れば戻りますんで。お大事に」

 

そう言って、先生は今度こそ部屋を出て行った。

次はナズナに伝えなければと、椅子から立ち上がったあたしは、ふと、嫌な想像をしてしまう。

 

「ルーティ……ナズナが浮気したらどうしよう…」

 

子供が出来たと伝えた瞬間、側妃を娶る彼の姿を想像して、涙が出てきた。

最近夜の方の相手も出来ていないから、きっと呆れられている事だろう。

 

妻としてそれはどうなんだ、と言われそうである。

 

「その場合、テスタロッサに帰りましょうお嬢様。奥様や旦那様も、お嬢様が帰っていらっしゃったなら、とてもお喜びになります。それに、御子もご一緒なんです。陛下が御子を返せと仰ってきても、突っぱねればよろしいと奥様なら言うはずです。お嬢様を傷つけ、尚且つ子供を返せなどと言うクズなど、全面戦争をしても構わない、と」

「ルーティ…流石に飛躍しすぎよ…」

 

ターニャなら言いそうではあるけど。

 

あたしはルーティを伴い、ナズナの執務室へ行く。

軽くノックすると、扉が開けられた。

 

「シャル! どうだった?! 何か病気だったのか?! 体調は?!」

 

どうやらあたしの魔力を感知して、居てもたってもいられなくなったのだろう。

扉を開けたのはナズナ自身で、後ろで親衛隊の皆が慌てていた。

 

「あの、陛下…せめて誰かに開けさせて下さい…暗殺者が忍び込んでいたら、どうするおつもりだったんですか…」

「そんな事は些細な問題だ。今は、お前の体調の方が心配なんだシャルロット」

 

ナズナは本当に心配そうな顔をしながら、あたしの肩に手を置く。

あたしはそんな彼を見つつ、先程の嫌な想像を思い出し、俯いた。

 

「シャル…? シャルロット…? どうした? まさか、重大な病気にかかっていたのか? 死ぬようなやつなのか…?」

 

彼が軽くあたしを揺さぶってくる。

それに対して、あたしは首を横に振った。

 

「違……揺さぶるのやめて?! 吐くわよ、ここで?!」

 

胃に何も入っていないから、出るのは胃液のみだろうが。

それに、ナズナからの揺さぶりで更に体調が悪くなってくる。

 

「シャル!」

「叫ばないで……病気じゃなかったの……子供、出来たって…」

 

そう言うと、ナズナの動きがピタリと止まった。

揺さぶるのも止まったので、あたしは彼の顔を見る。

 

「本当か…?」

 

ナズナの顔は驚愕に染まっており、あたしはやっぱり、側妃を娶るとか言い出すのかな、なんて思ってしまった。

 

「嘘だと思って、サカネ先生にも確認したわ……ここに、あたしと貴方の子供がいるんですって。その、ナズナ…」

 

あたしは自分の下腹部に手を当て、少し俯く。

側妃を娶るなら、早く言って欲しいと目を閉じた。

だが。

 

「……っ!! シャルロット!! よくやった!! ありがとう、俺達の子を宿してくれて!!」

 

ナズナはあたしを持ち上げ、満面の笑みでそう言ってくる。

あたしは逆に驚き、彼を見つめてしまった。

 

「え? 側妃は?」

「何を言ってるんだ…側妃なんているものか。俺の妃はお前だけだと言っているだろう? あぁ…とても嬉しい…!! シャルロット…ありがとう…っ!!」

 

ナズナが何回もお礼を言ってくるので、あたしもようやく彼が本当に喜んでくれているのだと実感した。

 

「あの、ね、ナズナ。夜の相手…」

「お前以外抱くつもりはない。子供が産まれて、落ち着くまで我慢するさ…シャル…っ!!」

 

彼はあたしを抱きしめ、頭に頬擦りしてくる。

そして少し体を離し、ナズナは言った。

 

「とても楽しみだな。俺達の子に会えるのが」

「…えぇ。あたし、頑張るわ。あたしも、貴方との子供に会いたいから」

 

そう言うと、ナズナはまた満面の笑みを浮かべてくれた。

 

◆◆◆

 

月日は流れ、シルフ1の月。

あれからナズナは、あたしに対してとても過保護になった。

今まで気遣ってもらってはいたのだろうけど、更にその上をいく過保護ぶりで、あたしは苦笑いを浮かべる他ない。

 

あたしが何処かに歩こうとすれば、すかさず傍に付き、腰に手を回して転ばないようにと歩幅を合わせて歩こうとするし。

あたしがようやくご飯を食べられるようになったら、栄養のあるものをなんて言って、色んな料理を料理長に言って作らせ、目の前に並べさせるし。

 

勿体無いからやめなさいと、流石にそれは怒った。

 

…今日は珍しくリューネに雪が降っている。

ナズナから、ベルナール卿と謁見室で会う事になっているから、自分が戻るまで大人しく待つように言われてしまっていた。

 

「確かに二個下だけれど、別に子供ではないのに…」

 

窓を眺めつつ呟く。

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