ナズナはあたしに男の子を見せながら聞いてくる。
「シャルの故郷では、蒼色をなんと言う?」
「え? 青は青でしょう?」
うーん、とナズナは少し困った顔をしながら、あたしに男の子を抱かせてきた。
そして、彼が尋ねてきた意味を理解する。
「目も青なのね、この子…」
不思議そうにこちらを見つめる男の子の目の色が青で、ここはナズナの遺伝が出たのだなと思った。
「青に青か…うーん…」
ふと、あたしは思いついた名前を呟く。
「群青。この子の名前、グンジョウはどうかしら。あたしの故郷で、群れる青って書くの」
「群れる青か…あぁ、ぴったりな名前だな。流石シャルだ。名付けのセンスも備えている。俺の妻は、才色兼備だ」
褒めても何も出ないのだけど。
でも嬉しくて、あたしは微笑んだ。
「シャナに、グンジョウ……ねぇ、ナズナ。褒めて。あたし頑張ったよ」
「あぁ。よく頑張った、シャルロット。俺の女は、この世界で一番強く、誰よりも美しく、そして優しい女性だ。俺よりも、神よりも偉いぞシャルロット」
そこまで褒めなくても…。
あと、途中で口説いてなかったかしら、この人。
グンジョウを抱きすぎていたせいか、それとも一人だと思ったのか。
シャナが揺籠の中で泣き始める。
「シャナ、俺がお父様だぞ。あぁ、そんなに泣くな。お前のお母様に似て、お前は美人になるだろう。そんなに泣くと、美人が台無しだぞ」
「ふふ…親馬鹿…!」
シャナを抱き上げ、ナズナはあやしながらそんな事を言い始めた。
それが可笑しくてあたしはクスクスと笑ってしまう。
「本当の事だろうに」
「なら、グンジョウは貴方みたいに凛々しく成長するでしょうね。貴方とあたしの子供だもの」
あたしはグンジョウに頬を寄せ、壊れないように優しく抱きしめる。
「この子達の孫を見るまで死ねないわね、ナズナ?」
「そうだな…って、せめて子供にしておけシャル。お前何処まで長生きするつもりだ? また精霊になるなんて言い出さないでくれよ?」
言わないわよ、とあたしは苦笑しつつ、グンジョウの小さな手に自分の指を置く。
あたしとナズナの息子は、不思議そうな顔をしながらも、指を力強く握ってきた。
それを見て、あたしは涙が溢れる。
嗚咽を漏らしながら泣くあたしの隣に座り、ナズナはシャナを片手で抱きながら、あたしの頭を抱き抱えてきた。
「シャル…シャルロット。四人で幸せになろう。お前が万難を排すと言ってくれたように、俺もお前達の幸せを守るよ。幸福で胸がいっぱいになって、泣いているんだろうが…あまり泣かないでくれシャル。お前の泣き顔は、少し困るんだ」
「もう…本当に貴方って人は…言葉がほんの少しだけ足らないのよね…」
あたしは泣きながら、彼に笑いかける。
そんなあたし達を見て、子供達も笑い出した。
あたしは、子供達に微笑む。
「初めまして、二人とも。あたしが、あなた達のお母様ですよー」
「俺がお父様だ。これからよろしくな、シャナ、グンジョウ」
あたし達はお互いの顔を見つめ、同時に笑い出す。
別に面白くもなんともないけれど、とても楽しいと思ったのだ。
この子達とどう生活していけるのか、これからが楽しみだ、と。
ナズナもそう思ったから、あたしと一緒に笑ってくれているのだろう。
ヴェスタ、今だけ貴方に感謝してあげる。
ナズナに出会わせてくれてありがとう。
シャナとグンジョウに会わせてくれて、ありがとう。
あたし、目一杯幸せになってやるわ。
2度目の人生だからこそ。
あたしはこの幸せを胸に、生きていく。
尚、最高神には感謝しません。
あれは調子に乗らせたら何をしでかすか分からない邪神だからね。
あと次に出産する事があったら、痛覚遮断を使おうと誓う。
本当に、本気で痛かったから!!
使えるの忘れてたわよ!!
これにて終幕でございます。
本当になっちゃんはこういう子なので
書いてて楽しかったです。
あと、もうこれ以上書けなくて
1500文字になってしまいました。
ここまでお読み下さり、有難うございました。
桜舞