転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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3.銀髪の親子と会いました

来た道を戻れば、両親に会えるのではないか?

 

あたしは彼の傍にしゃがみ込んで、聞いてみる。

 

「来た方向は覚えてる?」

 

彼は首を横に振る。

これには流石にあたしも困った。

来た方向も覚えていないのなら、こちらも手の施しようもないからだ。

 

『雛桔梗、彼のステータスとか見れない? 何かヒントとかあるかもしれないし』

【はい、我が主。目の前の対象のステータス、表示します】

 

口に出さず、思考だけで雛桔梗に問いかけてみる。

その瞬間、彼女はおそらくあたしにしか見えないであろう、ステータスを提示してくれた。

 

なんとハイテクな女なんだろうか!

あたしの相棒すごい!

 

彼の名前、所属、年齢などが表示されていく中、あたしは眉を寄せる。

 

なんで王子様が護衛もつけずに、一人でこんなところにいるわけ…?

 

あたしがいるこの国、リューネ国の第三王位継承者。

ハルト・クフェア・ブリリアント。

年齢は3歳、ハーフエルフの母親を持つクォーターエルフ。

この国のエルフは体の成長が早く、ある程度の年齢までいったら成長が止まるらしい。

クォーターの彼も例外では無いようで、外見年齢は10歳でも中身は3歳、という事で…。

 

ますます何してんのこの子の護衛。

3歳児をほったらかすとか死刑にでもなりたいのだろうか?

 

マップで、王都と呼ばれてる場所を検索してみた。

そこからここまでは、人の足でも三ヶ月以上かかる。

いくらこの国が平和であろうと、魔獣の類がいるのだ。

流石に王都から、では無いだろう。

ということは近くに住居等があるはずだ。

 

『雛桔梗。近くに彼の親類とか兄弟とか、いる場所探せないかな? もう暗くなりかけてるし、早く帰してやりたい』

【承知しました。少々お待ちください】

 

数十秒の後、マップに青色の点が表示された。

 

【こちらが対象の魔力パターンを解析し、類似した魔力波形を可視化したものです】

 

よし。

早く連れて行って、あたしも野宿の準備をしなければ。

流石に暗くなってからするのは、危険と隣り合わせだといっても過言ではないだろう。

さっきの魔獣達が群れで襲ってくる可能性も、なきにしもあらずだ。

 

「じゃあ行こうか、ハルトくん」

「ぼくのなまえ…なんでしってるの…?」

 

君は王子だという自覚があるのかい?

 

そう言いたかったが、三歳児に言ったところで理解はしないと思う。

 

「君を知ってる人の知り合い、だからかな?」

 

社交辞令とほんの嘘で微笑むと、そうなんだ、とハルトくんは差し出したあたしの手を握って、にこりと笑い返した。

 

本当にこの王子の護衛役は何をしているのだろうか?

もし死刑制度でもあるのなら、そっ首叩き切られているのではないだろうか?

いや、死にたいなら止めはしないけれど。

 

「それじゃあ行こうか、ハルトくん」

「うん!」

 

◆◆◆

 

途中、疲れたと言う彼を抱きかかえ、マップに表示されている場所まで行くと、鉄柵に囲まれた立派な屋敷に辿り着いた。

 

「ここかぁ…」

 

入り口付近を見ると、ハルトくんと同じ銀色の髪をした女性が慌てながら彼の名前を呼んでいる。

尖った耳を見るからに、彼の母親で間違いなさそうだ。

 

「かあさまーっ!!」

「ハルト!!」

 

母親を見つけたハルトくんを下ろし、あたしは遠いところからそれを見る。

ハルトくんを抱きしめた彼女は、安堵からか涙を流しているようだった。

 

良かった良かった。

さて、退散して野宿の準備しなくちゃ。

 

そう思って、踵を返そうとした時。

腕を掴まれて身動きできなくなる。

振り向くと、いつの間にあたしの方に来たのか、ハルトくんが腕を掴んでいた。

 

「ハ、ハルトくん?」

「いっちゃやだ!」

 

涙目でそう言う彼に、あたしは困り果てる。

 

別に打算で助けたわけではないし、行かないでと言われても困る。

この世界ではあたしはただの平民だし、身分も不確かだ。

振り解いたら、不敬罪になって最悪死刑だろう。

どうしたものかと悩んでいると、彼の母親が追い付いてきた。

 

「ハルト! いきなり空間転移しないで! 驚いちゃうじゃない!」

 

なるほど。

あの距離をどうやってきたのかと思ったら、空間転移か。

…あたしも使えるだろうか?

 

【我が主が望めば、いつでも】

 

雛桔梗がウィンドウでそう答えてくる。

まぁ、力を与えたとかなんとか神が言ってたから、多分使えるんだろうけど。

 

「ええと、貴女は?」

 

ハルトくんの母親が疑問形で尋ねてくる。

それもそうだろう。

自分の息子が見知らぬ女性の腕を掴んで、泣き喚いているのだから。

 

「あー…」

 

なんと答えたものだろう。

王子である彼を助けた者です、なんて普通は信じないし、見た所此処は王家直轄の敷地みたいだし。

不法侵入者として捕えられるのがオチだろうか?

 

詰んだ。

 

「おねーちゃん、ぼくといっしょにきたんだよ」

 

ハルトくんがあどけない顔で、母親にそう言う。

それを聞いた母親は顔を輝かせて、

 

「ハルトを助けてくれたのね? ありがとう。数時間前から姿が見えなくなってね、総出で探していたの。私、ベアトリーチェというの。貴女は?」

 

あたしにお礼を言った。

雛桔梗が提示したステータスには、

 

[ベアトリーチェ・ララノア・ブリリアント。年齢は300歳のハーフエルフ。この国の王妃]

 

と書いてあった。

相手の素性とかもわかるから、この機能は便利である。

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