首を絞めているくせに、よく言うのね。
その饒舌な口、塞いだ方がよろしいわ。
脳に酸素が行かなくなり、私の意識は朦朧とする。
「さぁ、お嬢様。仰って下さい。私を、麻人を愛していると!」
こんな状況だけど、そう言えば
あまりに口汚くて長谷川から、なんて言葉をお嬢様に教えるんだと、こっぴどく叱られていたっけ。
私は、最期の力を振り絞り、宮塚に言う。
「…っ…クソ喰らえだ、童貞野郎。幻想を抱いて…っ…溺死しろ…っ!!」
「私のお嬢様は、そんな事言わない!!」
ゴキッ、と音が聞こえ、私の意識は暗転した。
◆◆◆
目を開ける。
薄暗く、埃っぽい室内にあたしは、今まであった事、そして自分が何者かを思い出した。
ガキン、ガキン、と金属がぶつかり合う音がする。
あたしの身は、雛桔梗が防護シールドを何重にも張ってくれていたお陰で、傷一つない。
あたしはゆっくりと起き上がる。
目の前の光景は、人型になったレヴィと宮塚が斬り合っている最中だった。
「お嬢様の使い魔なのでしょうが、全くもって力が足りませんね」
「は、小童が。よく吠えるではないか。お前の力なぞ、我が主の足元にも及ばぬわ」
お互いを罵り合っている二人を見ながら、あたしは立ち上がった。
「ありがとう、雛桔梗。守ってくれて。レヴィ、下がりなさい」
あたしが声をかけると、レヴィは宮塚を蹴り飛ばし距離を取りつつあたしの横に来る。
「起きたか、我が主」
「えぇ。ご苦労様、レヴィ」
あたしが起き上がった姿を認めたのか、宮塚の顔が歓喜に震えていた。
「お嬢様、あぁ、お嬢様! 私がわかりますか?!」
「えぇ、覚えていてよ。宮塚麻人」
あたしは雛桔梗を纏い、刀を創造魔法で生成し、宮塚に向ける。
刀を向けられた宮塚は、何故そんな事をするのかと疑問に満ちた表情をした。
「よくも、よくもあたしを殺してくれたわね。それに、カヅキも。万死に値する。その首叩き切ってやるわ、童貞クズ野郎!! 幻想を抱いて溺死しろ!!」
「うぁぁぁぁぁぁっ!! お嬢様は、私のお嬢様はそんな事言わない!! まだ記憶が戻っていないのですね? 私が戻して差し上げましょう!!」
宮塚と斬り合う。
彼の剣は、禍々しい黒だった。
徐々に斬るスピードを上げていくが、それでもこいつはついてくる。
あたしは、宮塚に尋ねた。
「よくついてこられるものね。それに、貴方どうやって転生したの? まさか、普通に天寿を全うした訳ではないでしょう? 篠原財閥を敵に回すとどうなるかなんて、傘下の貴方が知らないわけではないわよね?」
「えぇ。お嬢様を手にかけた後、私刑に処されましたとも。生きたまま、一つ一つ爪を剥がすように、じっくりと
雛桔梗に搭載されている、無線式の攻撃用兵器も使っているのに、宮塚はまだ余裕そうだ。
あたしもまだ余力があるが、こいつの余裕そうな顔は腹立たしいものを感じる。
「貴方と愛し合った覚えはない」
「えぇ、死姦しましたから」
今こいつ、なんて言った?
あたしは宮塚から距離を取り、もう一度聞き返す。
「あたしに、何をしたって…?」
「ですから、お亡くなりになった後のお嬢様と愛を確かめ合ったのです。温もりが失われ、体が強張った後も。お嬢様の中に私の愛を注ぎ続けたのです。しかし、あのメイド長に見つかり拘束されてしまったので、お嬢様とはそこでお別れでしたが」
吐き気が込み上げ、あたしはその場に吐いた。
なんて事…なんて事をするの、こいつは!!
人間という存在への冒涜だ!!
「絶対に、許さない…っ!!」
あたしは創造魔法で、剣を数十本生成する。
それを魔力で浮かし、宮塚へと斬りかかった。
勿論、あたしもそれに続いて斬り付ける。
「お嬢様、そういえば私と一度もダンスを踊ってくださいませんでしたね。あれとは何度もしましたのに」
「なら、今踊って差し上げるわ。死のワルツでね!!」
こいつが魔王とか、もう関係ない。
あたしは、私の復讐を果たす。
「シャル!」
聞き慣れた声に、一瞬そちらに意識を持って行かれた。
その隙に、宮塚はあたしの懐へ潜り込み腹部を刺そうとしてくる。
「主!!」
レヴィが間に入り、宮塚の刀を弾いた。
間一髪である。
「ナズナ、何でここに?!」
あたしは宮塚から距離を取り、ナズナの隣まで後退した。
あの魔物の大群の中、どうやってここまで辿り着いたのか。
「テスタロッサ卿の方から援軍が来てな。形勢が逆転した。見たこともないような武具で武装した集団でな。聞けば、テスタロッサ卿から行くように命じられたんだとか。だから、俺の護衛として数十名借り受けてここまで来た」
「…あとで、謝礼かなんかしておきなさいよ」
黒い閃光が、ナズナ目掛けて放たれる。
あたしはそれへ、シールドを張って防いだ。
相方から、もっとタグ付けたら?
と言われたので、タグは何が良いのだろうかとポチポチやってたら、オリジナルというタグにゲシュタルト崩壊を起こしかけるとは…
というか、ゲシュタルト崩壊って案外簡単になるんですね、いや本気で
オリオリオリって、まだオラオララッシュの方がマシだな…