転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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39.ご令嬢と戦闘します

「きぃぃぃぃっ!! その減らず口、聞けなくしてやりますわ!!」

 

太めの鞭をしならせ、アンコールはブンブンと振り回し始めた。

適当に振り回しているかと思いきや、その質量で叩き付けられた地面が抉れ始める。

その攻撃があたしの方にも飛んできて、刀で軽く弾き返した。

 

「おーほほほほほ!! (わたくし)と、魔武器であるシュヴァルツヒープの前に敗北など有り得ませんの! さぁ、シャルロットさん。降参するなら今のうちでしてよ!!」

 

高笑いをするアンコールをガン無視し、あたしは彼女を観察する。

 

鞭を振り回しながら、歩く事は可能ではありそう。

後方もカバーしているようだから、背後に回っての奇襲は無理。

上方も然り。

ただ筋力的に、彼女に歩行は難しそうだな。

あの細腕で振り回しているし、足は地面に若干めり込んでいる。

いくら魔武器とはいえ、自分の魔力で作ったものとはいえ、この質量だ。

歩く事さえ困難かも。

元の位置から一歩も動いていないのがその証拠だ。

それに鞭を掴んだ所で、雷魔法で電流を流されたら感電するだろう。

安易に掴む事は出来ない。

今は刀で弾くだけで様子を見るか。

 

「手も足も出ませんわね? ナズナ殿下、私こそが婚約者に相応しくありません事?」

「シャルの観察力を舐めてかかると、痛い目に合うぞ」

 

いつの間にか結界が張られていて、周りの観客に被害が行かないようになっている。

ユキヤ君もいる事から、この結界を張ったのは彼だろう。

 

優秀なんだよなぁ、城に帰ったらオリヴィエさんと離れようとしない所を除けば。

 

鞭の攻撃が些か早くなってきて、刀で捌ききることが多少難しくなってくる。

所々刃毀れを起こして来ているところから、使用限界が近いのだと推測できた。

 

「雛桔梗」

【はい、我が主】

 

若干疲れてきたので、雛桔梗に防御を任せる。

 

「あら、シャルロットさん。もうへばりまして? 体力無さすぎではありませんこと? そんなのでよくナズナ殿下の専属護衛が出来てますわね!」

「よく廻るお口ですこと。そんなに自分を大きくお見せになって、お可愛らしい事ですわね、トワネット嬢。それに、(わたくし)に傷一つつけられていませんわよ? まぁ、貴女の実力はそんなものだという事ですわね」

 

煽り文句に煽りで返す。

というか、もうそろそろ鬱陶しくなってきたので対策を考えるとしますか。

 

きぃぃぃっ! と金切り声をあげている彼女を更に無視して、あたしは考える。

 

真正面も、背後からの攻撃もダメ。

多分上からミサイルを降らせた所で、彼女にダメージは通り辛い。

爆風で吹き飛ばすのはありだが、それもあの鞭の風圧で掻き消えてしまうだろう。

 

なら、どうするか。

 

質量で押し潰せばいい。

 

外国には、バンカーバスターという、地中貫通型爆弾というものがある。

創造魔法で作った刀は、通常の玉鋼で作ったものと同等。

それが刃こぼれしたという事は、あの鞭の硬さはコンクリート以上硬岩以下。

 

なら、それをぶつければあのご令嬢は吹っ飛ぶだろう。

 

「シャル、殺すのは無しだぞ」

 

ナズナから注意がきた。

あたしの表情が、明らかにアレだったんだろう。

 

「…ちっ」

 

思わず舌打ちする。

平和的に解決、できれば無傷でというご注文らしい。

 

敵には容赦しなくていいと思うのだけど、別にここは戦場じゃないから手加減しろって事なのだろう。

 

「仕方ない」

 

あたしはバズーカを創造し、何砲か地面に突き刺した。

発射のタイミングは全て雛桔梗に任せる。

 

「あら、もう降参ですの? 早かったですわね」

「誰が降参するって言った、金髪馬鹿令嬢。あたしはね、貴女みたいな女嫌いなのよ。自分が偉いと勘違いして、周りに迷惑をかけても問題ないと思ってる勘違い女は。批判されたら、自分ではなく周りが悪いと親に泣きつくクソガキはね。だから、ここで叩き潰す!」

 

あたしはアンコールに手を向けた。

 

「地中潜航爆弾、発射!!」

【発射します】

 

地中を潜って、爆弾がアンコールに迫る。

しかし、彼女はその場から動けない。

動こうとするなら、その鞭の動きを止めなければならず、止めた瞬間爆弾を避けてもあたしから追撃が来る。

八方塞がりとは、この事ね。

 

「え、ちょ…きゃぁぁぁぁぁあっ!!」

 

爆弾が接触し爆発を起こす。

アンコールは悲鳴を上げて、その場に倒れ伏した。

 

ちなみに、爆弾の殺傷能力はゼロに設定してある。

だから爆風をもろに受けて、あのお嬢様は気絶したわけだ。

 

「さて、シャルが勝ったわけだが…お前達、彼女に何か不満があるか? 不満があるなら名乗り出ろ」

 

ナズナのその問いかけに、観衆は全員首を横に振った。

 

◆◆◆

 

「散々な一日だった…」

 

寮に帰ってきて、キッチンで夕ご飯用の料理を作りながら、あたしはため息をついた。

ちなみに今日のメニューは、ポトフと白身魚のムニエル、サラダとオーブンで焼いたパンだ。

 

「そうか? 俺はなかなか充実した一日だったと思うが」

「貴方はそうでしょうよ」

 

あたしみたいに戦闘があったわけではないのだから。

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