転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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42.再会しました

と、ここまで回想であり、現在に戻るわけだが。

 

「大きい…」

 

テスタロッサ領の領主が住む街を、馬車で進む。

街は賑わいがあり、領主の手腕がいいと物語っていた。

 

「…自販機?!」

 

街の所々に自販機が置いてあり、街の人々はコインか何かを入れて、飲み物を買っているようだった。

元々いた世界でしか見た事が無いようなものが置いてある時点で、やはりテスタロッサ卿は、転生者か何かなのだろうかと疑念を抱く。

 

城よりは小さいが、それなりの大きさの屋敷の前で降ろされる。

衛兵が立っていたが、話が既に通っていたのかすんなり中に入れてくれた。

 

「いらっしゃいませ、ようこそおいでくださいました。(わたくし)は、このテスタロッサ家のメイド長をしております、ターニャと申します。以後お見知り置きを」

 

銀髪に褐色の肌、レモンイエローの瞳が印象的な女性。

凄くしっかりとした姿勢で出迎えてくれて、あたしはある一人の女性を思い浮かべる。

 

「長谷川…」

「っ!!」

 

ターニャさんが驚いた顔をして、あたしは我に返った。

いくら似ているとはいえ、礼を失するとは何事だ、あたし。

 

「大変申し訳ありません。ご挨拶が遅れました。(わたくし)はシャルロットと申します。この度はテスタロッサ卿に養女として迎え入れて頂く事になりました。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 

あたしはカーテシーをして、ターニャさんに挨拶を返す。

瞬間、ターニャさんが腰を抜かしたようにその場へ座り込んでしまった。

彼女の他に誰も出迎えがいなくて、あたしは若干焦る。

 

「タ、ターニャさん?! 大丈夫ですか…っ?」

 

慌てて駆け寄り安否を確認するが、ターニャさんに腕を掴まれてしまった。

 

「シャルロット様。今から私がする質問に、お答えいただけますか?」

 

ターニャさんは俯いてしまって、その表情がわからない。

一体何を質問されるのだろうと恐る恐る、はい、と答えた。

 

「ハセガワイクミ、という名前に聞き覚えは?」

 

あたしの心臓が、ドクンと鳴る。

 

ハセガワイクミ、長谷川郁美。

あたしの専属のメイドで、あたしの教育係で、あたしのもう一人の育ての親で、時に厳しく、そして優しくしてくれた、大好きな長谷川。

 

あたしは意を決して、ターニャさんに聞き返す。

 

「ならば、貴女はシノハラナツキという名前をご存知ですか?」

 

ばっ、とターニャさんが顔を上げた。

その瞳には大粒の涙が浮かんでいる。

 

「……っ、えぇ、えぇ…っ! 勿論、存じ上げております…っ! 夏月(なつき)お嬢様…っ! 私が生涯お仕えすると決めた、ただ一人の主人(あるじ)…っ…私が、お分かりになりますでしょうか…?」

「えぇ…。本当に久し振りね、長谷川…ありがとう、そしてごめんなさい。宮塚の本性を見抜けず、貴女に深い悲しみを与えてしまった。私の落ち度だわ。本当にごめんなさい」

 

そう言うと、長谷川はあたしを抱きしめた。

 

「いいえ、いいえ! お嬢様が悪いのではございません! それに、あれの本性を見抜けなかったのは私もでございます。…要がいなくなった後、彼の後任を探している最中(さなか)でございました。まさか、あれが凶行を犯すとは思いもよらず…お守り出来ず、申し訳ございません…お嬢様…っ!!」

 

あたしの肩が、長谷川の涙で濡れて行く。

あたしは彼女の頭を撫でて、言い聞かせるように言った。

 

「大丈夫。苦しかったけど、それだけ。その後の事はあいつに聞かされたけれど、それも私が死んでからの事だから。長谷川、もう泣かないで。貴女に泣かれていたら、私が悪者になってしまうわ。いえ、私が悪いのね。ごめんなさい、長谷川」

 

フルフルと、小さく首を横に振る長谷川に、あたしは苦笑する。

こんなに泣く姿を見たのは初めてだ。

カヅキのお葬式でも、泣いた姿を見た事がないのに。

 

「長谷川、泣くのなら嬉し涙にしましょう? 私も貴女に再び会えて嬉しいわ。大好きよ、長谷川」

「わ、私もです、お嬢様…っ!!」

 

長谷川が泣き止むまで待って、あたしは彼女の頭を撫でた。

 

「落ち着いた?」

「…はい、お見苦しい姿をお見せしました。申し訳ありません、お嬢様」

 

目が赤くなっている事から泣いていたのはバレバレなのだが、彼女はそんな事は無かったという風に立ち上がる。

 

「大丈夫だけれど、目が腫れていてよ。治しましょうか?」

「いえ、お嬢様のお手を煩わせるわけには参りません。自然治癒で結構でございます」

 

頑として譲らない所は、長谷川らしいといえばらしいのだが。

 

「もう。私が泣かせたなんて知られたら、テスタロッサ卿の私への印象が悪くなるでしょう? 大人しく治癒魔法掛けさせてちょうだい」

「思慮が足らず申し訳ございません、お嬢様。お願い致します」

 

長谷川の目に手を当てて、治癒魔法を唱える。

手を退けると、目の腫れ等々は全て引いて、元の綺麗な瞳に戻っていた。

 

あたしは再び、長谷川に言い聞かせるように言う。

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