転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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47.護衛任務に戻ります

「まぁ、専属護衛の任についているのに、何も言わずこっちに来てしまったから、お叱りを受けるのは当然だとは思うのだけど」

 

茶色の髪でボブヘアーのメイド、ヨランダが書状を見て呟いた。

あたしはそれに、苦笑で返す。

 

ちょうど朝食をとっている所でのこれだったので、ヨランダに読み上げてもらったのだ。

 

「いや、これお叱りじゃなくて、お嬢様がいなくて寂しいから、早く隣に来いって事ですよ。きっと」

「そんなまさか。小さな子供ではあるまいし。これを食べ終わったら、ナズナ殿下の所へ行ってくるわ。ターニャにはそう伝えておいてちょうだいね、ヨランダ。リアラ、リリス。お願いしていた進捗はどうなってるかしら」

 

食器を片付けたり、食後のお茶の準備をしているメイド達に尋ねる。

 

「はい、お嬢様。北側の捜索を続けておりますが、状況は芳しくありません」

「はい、お嬢様。南側の捜索を続けておりますが、状況は芳しくありません」

 

二人は恭しく、頭を下げて報告してくれた。

リアラとリリスは双子の姉妹で、飢饉にあっていた村の夫婦が二人を森に捨てたらしい。

それをターニャが見つけて拾って来たのだそうだ。

 

お嬢様も、(わたくし)と同じ立場ならそうするでしょう?

 

そうターニャに問われて、あたしはすかさず首を縦に振った。

助けられる腕や財力があるのに、助けないのは人でなしでしかない。

 

ノブレス・オブリージュ。

貴族たるもの、身分に相応しい振る舞いをしなければならない。

富める者は貧しき者に施しを。

それが、常識である。

 

「そう。二人とも、労力をかけてしまってごめんなさいね。それが終わったら、暫く休暇に入るといいわ。ターニャには口添えしておくから」

「いえ、大丈夫です。お嬢様の御為に、我々はいるのですから」

「お嬢様の御為に、我々は仕事をしているのですから」

 

二人は頑として譲ってくれないようだ。

ターニャの教育の賜物なのだろうが、少しは休む事を覚えてほしい。

あたしは苦笑いを浮かべる他ないのだから。

 

ちなみにこの場にターニャがいないのは、お義父様の領地視察に付き合っているからだ。

あたしもついて行くと言ったが、お義父様から夏休みの間はゆっくりしなさいと言われてしまった。

夏休みが明けたら、殿下のお守りに戻らなきゃいけないのだから、と。

 

明ける前に呼び戻されてしまいました、お義父様。

 

「ご馳走様。では、行ってくるわね」

「お嬢様、馬車の準備がまだ…」

 

翠髪のメイド、クインが少し慌ててあたしに告げる。

あたしはそれに手を横へ振って返した。

 

「大丈夫。ナズナ殿下の所へは転移を使います。馬車は不要よ。準備させてしまってごめんなさい、クイン」

「いいえ、お嬢様。こちらこそ、お嬢様にお尋ねする前に準備を進めてしまい、申し訳ございませんでした」

 

クインは頭を下げる。

 

「気遣ってくれてありがとう。では、行ってきます」

 

通常、自力で転移する者はいない。

転位門を使うか、自力で使っても数メートルが限度だ。

そこへ至るための計算をしなければならず、尚且つ魔力も膨大な量が必要になる。

計算を間違えると、川の中や、細い木に転移するだけならまだマシな方で、下手したら壁の中に入って出られなくなってしまう、なんて事故もあったらしい。

 

当初、ターニャにそれを使う事を禁止されていたのだが、何回か転移を見せて納得してもらったのは記憶に新しい。

複雑な計算、雛桔梗が全部してくれてるからっていうのも大きい。

 

一呼吸を置いて、あたしは転移を実行する。

目の前の景色が変わり、見慣れた屋敷が目に入った。

 

「あ、シャルロット。おひさー」

 

夏仕様の隊服を着たルルが、あたしに挨拶してくる。

どうやら無事に、別荘に着いたらしい。

 

「ルル、久し振り。ナズナ殿下はどちらに?」

「執務室でお仕事してるよ。陛下達が海で海水浴してるから、溜まった仕事片付けるんだって」

 

あの陛下…。

自分の仕事息子に押し付けて遊び呆けてるとか…。

もう王位をナズナに譲って引退したら良いと思う。

 

「ありがとう。ナズナ殿下にお会いしてくるわ。あと、労力を(いたわ)ってくる」

「そうしてあげて。シャルロットの代わりにカナリアが付いてたけど、毎日ナズナ殿下が怖いって愚痴ってたから」

 

ナズナが怖い?

結構優しい人なのだけど、怖がる要素があったかしら?

 

あたしは若干首を傾げて、屋敷の中に入って行く。

ナズナの私室に向かうと、扉の前でカナリアが立っているのを見つけた。

 

「カナリア、数日振り。ナズナの護衛ありが…」

「シャルーっ! やっと帰って来てくれたぁぁあ!!」

 

カナリアに声をかけた瞬間、彼女に抱きつかれてしまう。

彼女がこんなになるなんて、一体何があった?

 

「カ、カナリア、落ち着いて。何があったの?」

「ナズナ殿下がユキヤ殿下みたいに不機嫌になってて怖かったんだよ! 流石兄弟だなって思ったのは一日が限度だったよ! どんどん口数も少なくなってくるし、喧嘩売ってくる王族の方々半殺しにするしで、本当に怖かったんだから!」

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