転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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48.告白されました

なんと。

あたしがいない間に色んな事が起こっていたらしい。

カナリアの心労は察して余りある。

 

「本当にごめん、カナリア。ありがとう。もう休んでいて」

「そうする…」

 

トボトボと歩いて行く様は、花が萎れてしまったようで居た堪れなかった。

 

これはナズナに抗議せねば。

そう決めたあたしは、扉をノックする。

 

「用事があるなら入ってこい、カナリア」

 

少し低めの声のナズナに、あたしは呆れた。

魔力波を見れば、カナリアではない事がわかるのに、それも出来ない程余裕がないようだ。

 

いつものナズナにしては珍しい。

余程不機嫌なんだろう。

外の騒ぎにも気付かないようだからね。

 

「誰がカナリアですって、ナズナ。あまり周りに迷惑をかけないでちょうだい。貴方王太子っていう立場を理解して…」

 

言葉は最後まで紡がれる事はなかった。

扉を開けて、彼があたしを抱きしめたからだ。

 

扉が押戸で無くて良かった。

じゃなかったら、扉にぶつかってしまって痛い思いをしていた所だ。

 

「シャル…っ!」

「ただいま、ナズナ。そんなにあたしがいなくて寂しかったの? 仕方がない人ね」

 

苦笑しながら、彼の背中を撫でる。

暫くそうしてから、ナズナは離れてくれた。

 

「…すまん」

「もう。あたしが数日いないからって、周りに迷惑かけるのやめてよ。あたしがテスタロッサの家に行ったのは、ニーナ隊長から聞いていたでしょう? カナリアだって怖がってたし、貴方王太子っていう自分の立場理解していて? 次期王がこうだと、民が不安がるでしょう! 公私はきちんと分けなさいって習わなかったの?」

 

あたしが延々と説教しているのに対し、ナズナの顔は微笑みを湛えている。

きちんと理解しているのか、その表情を見ると疑問を覚えるのだが。

 

「ちゃんと聞いてるの、ナズナ?」

「聞いている。シャル、よく帰った。俺は嬉しい」

 

その言葉に、あたしはガクリと肩を落とす。

そんなに嬉しがってくれるのは、こちらとしても嬉しい。

でも今は、それとこれとは別の話なわけで。

 

「…もういいや。お疲れ様、ナズナ。仕事の方はどう?」

「今一段落ついた所だ。シャル、この後時間はあるか?」

 

庭に設置されている時計を見る。

まだ午前9時半。

この人は何時から仕事をしていたのか。

 

「貴方の護衛をするために戻ってきたのよ。時間なんて、貴方次第だわ」

「そうか。なら、散歩に行こう」

 

そう言い、彼はあたしの手を掴む。

 

あーあ…。

本当にこの人は。

気のない女性に、いつもこんな事をしているのだろうか。

こっちの気持ちも知らないで。

だからモテるんだぞ、馬鹿王子。

 

◆◆◆

 

別荘の近くに、小高い丘がある。

海に太陽の光が反射して、とても綺麗だ。

景色もとても良い。

 

そんな所に、ナズナはあたしを連れてきた。

 

「風が気持ちいいわね」

「あぁ。夏でもここは心地良い風が吹いてな。俺のお気に入りの場所でもある」

 

ナズナが地面に座ったので、あたしも隣に座る。

 

「その服、汚れないか?」

「別に気にしないで良いわよ。メイド達が張り切っちゃって、家に着られないくらいいっぱいあるの」

 

黒のワンピースに、薄水色のシースルーの上着を羽織っている今日のコーディネートは、テスタロッサ家のメイド、ネマの案だ。

髪の編み込みは、アリエッタが可愛くしてくれた。

アクセサリーの類は、ルビアが選んで付けてくれたのだ。

 

ターニャを筆頭に、テスタロッサ家のメイド達から可愛がられている雰囲気さえある。

 

「シャル、話がある」

 

ナズナの方を見ると、真剣な顔であたしを見つめていた。

あたしは居住いを正し、彼に向き直る。

 

「何でしょう、ナズナ殿下」

「昨夜、ユキヤにも相談した事なんだが。俺はお前に会ってから、胸が締め付けられるように痛くなる事がある。俺以外の異性と話している姿を見ると、腹立たしく思える事もあった。だが、お前が俺に笑いかけてくれると、全てがどうでも良くなった。腹立たしさも何もかも消えてな」

 

…ちょっと待って。

彼は何を言い始めた?

一体何を話しているの?

 

「ユキヤからは、恋の病だと言われた。俺はどうやら、お前に恋をしているらしい。確かに、愛しいという感情が溢れてしまう時がある。お前が見えないだけで、気持ちが塞いでしまう。シャル」

 

ナズナの真剣な瞳に、目を逸らすことが出来ない。

 

待って、お願い、言わないで。

言われてしまったらあたし…。

 

「愛している、シャルロット。俺と生涯を共にしてほしい」

「あ…」

 

ダメ、溢れさせてはダメ。

抑えて、抑えるのあたし。

冷静に、落ち着いて。

 

あたしは俯いて深呼吸を繰り返す。

そして、

 

「ごめんなさい」

 

彼にそう謝った。

顔を上げると、少し傷ついた表情をしたナズナが目に入る。

 

「ごめんなさい、ナズナ。貴方が嫌いなわけではないの。申し出もすごく嬉しい。でもあたし、決めた事があるの」

「決めた事…?」

 

彼の問いかけに頷いた。

 

「夏休みの初日、馬車で言った事を覚えてるかしら? 探し人がいるって」

「あぁ、覚えている」

 

それがどうしたと、彼の表情が物語っている。

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