転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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5.名前つけられました

仕方ないじゃないと言えればよかったのだけど、そんな事を此処で言うものでもないし、せっかくの食事が不味くなりそうだ。

 

あたしはにこりと、彼に微笑みかける。

 

途端、彼はあたしから目を逸らし、王様に話しかける。

 

「多分、嘘は言ってないと思う。ハルトが懐いていることもある。悪意を持って近付いてきてはいないだろう」

「兄さんに同意します。ハルトはクォーターエルフです。悪意がある者が近付けば、泣き喚いているでしょうから」

 

メガネをかけた黒髪の男の子が、金髪の男の子に同意した。

 

あたしの言う事を信じてくれた…?

一体なんで?

美人だから?

って、周りも美形だらけだからそんな事ないか。

 

「ね? あなた。彼らが反論もせず彼女の言う事に頷いたのだもの。信頼しても良いのよ」

「うーむ…」

 

王妃様も王様にそう言う。

だが、王様が腕を組み、唸り始めた。

それもそうだと思う。

会って少ししか経っていない人間を、信用信頼して良いほど、この国を背負う人間は甘くないと言う事だ。

 

「…アキカ、このおねーさん好きだよ」

 

銀髪の女の子、多分ハルトくんのお姉さんが口を開く。

食事の際なのだが、彼女は大きなクマのぬいぐるみを抱きしめていた。

その姿と相まって、とても可愛らしい。

ハルトくんのお姉さんということは、彼女もクォーターエルフという事だ。

妖精と間違われてもおかしくないのでは、と感想を抱く。

 

はぁ、と王様はため息を吐く。

 

「アキカまでそう言うなら、私が何を言っても無駄ではないか」

「じゃあ、この子の名前決めてあげましょう? はい、ナズナから」

 

軽い調子で、あたしの名付けが始まる。

変な名前でなければ別に何でもいいと思ったあたしは、静観を決め込む。

ナズナと呼ばれた金髪の彼は、少し考えた後

 

「ガブリエル、とか」

 

あたしの方を見ずに、そう呟いた。

その言葉に、王妃様はニコニコと笑顔になる。

 

「まぁ! 熾天使様のお名前ね! 素敵だわ」

「僕はサファイアの名もいいと思いますが」

 

黒髪の男の子が、あたしの方を見てニコリと笑う。

みんな顔が美しいものだから、一般の女性なら微笑まれただけでクラッとしてしまうのでは無いだろうか?

まぁ、あたしは警戒心を抱いてしまうのだけど。

 

『雛桔梗、ちょっと彼らが言った名前候補、気になるから検索してもらえる?』

【はい、我が主】

 

数秒もしないうちに、ウィンドウに意味が表示されていく。

 

【ガブリエル:唯一神、ヴェスタ神の配下で告知の天使。神の言葉を届けると言われている】

 

ナズナ君…君、あたしが転生者って知らないはずだよね…?

一体どういう意味でその名を挙げたのか、理由を聞いてみたいのだけど?

 

【サファイア:慈愛の石と呼ばれる青色の宝石。主に相手に愛を伝える時に用いられる】

 

こっちはそのまま、髪の色で提案されたものだな。

まぁ、可愛くないけど妥当だと思う。

 

「安直すぎないか? ユキヤ」

「兄さんに比べたらまだまだですよ」

 

ユキヤと呼ばれた黒髪の彼は、兄に対してそんな言葉を述べた。

軽く火花が散っているみたいだけど、喧嘩しないでもらえないだろうか?

ご飯が不味くなるんだってば。

 

食事は静かにいただくもの、と思考に至って、あたしは食事をする手を止めた。

 

ん?

なんでそんな思考になった?

記憶はないはずなのに。

 

「ハルトはどんなお名前がいい?」

「ねーねー!」

 

王妃様がハルトくんに話を振るけれど、姉の呼称が返ってきた。

3歳児にはよくわからない話だろう。

ナイフとフォークを使って、頑張ってステーキを切っている様は和むものがある。

 

「…シャルロット」

 

そんな中、アキカちゃんがポツリと呟いた。

 

「アキカ、シャルロットがいい。今読んでる本に出てくる、女騎士のお名前なの」

 

女騎士と来ましたか。

確かにこの屋敷にお邪魔した時、腰に剣を携えてはいた。

何処からかそれを見ていたのだろう。

一応軽く、胸当てもつけていたから、更にそう見えたんだろうな。

 

「シャルロットね…うん、それが良いわ! 貴女のお名前は、今日からシャルロットね!」

「はい。心より、感謝申し上げます」

 

王妃様があたしに微笑みかけてくる。

あたしも微笑を返した。

 

◆◆◆

 

「さて、今後の事だが」

 

食事が終わり、食器の何もかもが下げられた後、王様がそう口火を切る。

あたしも背筋を正して、言葉を待った。

ちなみに、王妃様はその場にはいない。

アキカちゃんとハルトくんを連れて、ホールから出て行ってしまった。

多分、ハルトくんがおネムだったのと、重要な話をするために退出したのだろうと推測する。

 

「君は今後、どうするつもりだ?」

「…特に決めてはおりません」

 

一宿一飯の恩はあれど、何かを強要されるのならすぐに出ていく所存である。

 

「そうか。ナズナはどう思う?」

「間者かどうかって話なら、彼女の記憶が戻った後にしてやった方がいい。本当に記憶がないんだ、自分がそうだったなんて今は分かりようがないだろう」

 

随分擁護してくれるな、ナズナ君。

あれかな?

正義感が強いって人なのかしら?

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