転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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55.魔力暴走を止めます

「はぁ…どいつもこいつも…。ターニャ、(わたくし)が止めます。貴女が行ったら悪化するに決まってます。貴女は、ナズナ殿下に傷一つつけないようにお守りしなさい。傷が一つでもついたら…わかっていますね?」

「は。命に変えましても。我が身の不手際、誠に申し訳なく…」

 

ターニャが跪き、(こうべ)を垂れる。

 

()い。これは、私の問題でもある。では、行ってくる…けど、ナズナ、手を離してくれないかしら」

 

魔力障壁を張った辺りから、ナズナの手があたしを掴んで離してくれない。

心配なのはわかるんだけど、貴方より強いのだから、そんなに不安そうにしないでほしいのだが。

 

「シャル…」

「大丈夫。それに、元々部下だった彼女の不手際は、あたしの責任でもあるの。今は魔力暴走を起こしてるだけだから、落ち着かせればそれも収まる。後の修復は彼女にやらせるから、問題なし。傷一つ付かずに帰ってくるから。もしかすり傷でも負うような事があったら…そうね。貴方の言う事、何でも一つ聞いてあげる」

 

そう言って、優しくナズナの手を離す。

魔力障壁はそのままに、あたしはカヅキの方へ歩みを進めた。

 

ドレスだから少し動きにくいけど、このくらいのハンデはハンデでも何でもない。

 

雛桔梗を展開させ、魔力波を防御しながら蹲ってしまったカヅキに近付く。

 

「カヅキ、カヅキ。落ち着いて。何があったというの。いつも落ち着いている貴女らしくもないわよ」

「ナツキ…ナツキが…。宮塚…テメェだけは許さねぇ…八つ裂きなんて生温い方法で、殺してなんかやるものか…。ナツキに、世界に、侘びながら、魂まで滅ぼしてやる…っ! 二度と輪廻転生出来なくしてやるからなっ!!」

 

宮塚への怨嗟の声を上げながら、カヅキは尚も魔力を出し続ける。

これ以上は彼女の体よりも、城の方が保たないだろう。

 

ええい、仕方ない。

後でナズナに怒られるのを覚悟しなければ。

あと、何要求されるんだろう…。

 

「雛桔梗、展開解除」

【しかし、我が主の体が】

 

雛桔梗が警告してくる。

だが、それは承知の上だ。

 

「死なないわよ。カヅキが無意識に手加減してくれる事を祈るわ。まぁ、死にかけたら再生魔法(リジェネレイト)よろしく」

【…御意】

 

雛桔梗が展開を解除する。

瞬間、カヅキの魔力波であたしの体に切り傷が入った。

 

「カヅキ、落ち着いて。(わたし)はここにいるよ。貴女が愛してくれた、ナツキはここにいるよ。大丈夫、私は今生きている。苦しくないよ。貴女にもう一度会えて嬉しいの。だから、宮塚の事なんて忘れましょう? ねぇ、カヅキ。あの頃みたいにお話ししようよ。私、貴女が話してくれるお話、好きだったの。私の知らない事、教えてくれて、それを長谷川に怒られて。楽しかったよね? あの頃みたいに、私は貴女とお話ししたい。ね、カヅキ…」

「ナツ、キ…」

 

カヅキを抱きしめ、囁くように話しかける。

彼女の頬に、自分の顔をくっ付けて頬擦りした。

大好きだよって、伝える為に。

 

「ごめん、守れなくて、ごめん…。お前を置いて行って、ごめんな…っ!」

「良いよ。許すよ。私も、貴女を守りきれなかった。主人として情けない限りです。だから、泣かないで」

 

あたしをかき抱き、カヅキは静かに涙を零していた。

周りに見られたくないだろうな、と思い、自分の肩に押し付ける。

魔力波が徐々に収まり、なくなった瞬間、痛みが全身を駆け巡った。

 

「いっ…!!」

 

創造魔法で痛覚遮断を作り出し、自分に施す。

雛桔梗が急いで再生魔法をかけてくれた。

 

「ナツキ…すまん…」

 

あたしの腕の中で、カヅキが謝罪してくる。

耳まで真っ赤になっているところを見ると、物凄く恥ずかしがっているのだろうな、と推察出来た。

 

あと、雛桔梗が再生魔法をかけたという事は、あたしもしかして死にかけた…?

カヅキの魔力量、あたしの倍以上あるんじゃないの?

よくあたし生きてられたなぁ?!

 

「お嬢様っ!! 夏月(かづき)!!」

 

傷が再生していく中、後ろから衝撃が来る。

振り向くと、ターニャがあたし達へ覆い被さるように抱きしめてくれていた。

その目には涙が浮かんでいる。

 

「師匠…名前…」

「貴女だって、(わたくし)の息子同然で育てたんです! 心配するに決まってるでしょう?! あぁ、二人とも、無事で良かった…」

「ターニャ…」

 

カヅキが呆然とターニャを見た。

多分、名前で呼ばれた事が数回しかなかったせいだろうと推測する。

 

「息子って…貴女、結婚してなかったじゃないですか…」

「あなた方2人とも亡くした後、結婚して孫までいましたとも!」

 

それ初耳。

長谷川はあの後幸せになってくれたのか…良かった。

 

「シャル、お前…」

 

魔力波の影響が無くなったので、ナズナもこちらへ来たのだが、あたしの惨状を見て顔を顰めている。

それもそうだろう。

ドレスは魔力波を受けてズタボロ、再生魔法をかけているとはいえ、肌が露出しているところは切り傷だらけ。

見るに耐えないだろう。

 

「えーと、あはは…」

「約束、守ってもらうからな」

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