転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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57.決着がつきました

「へー。小手調べだったけど、なかなかやるじゃん」

「お前もな」

 

二人とも、ニヤリと笑い合っている。

 

なんか、友情芽生えてない?

これが男の子ってものなんだろうか。

一人は転生して女の子になっているけど。

 

カヅキが片手を上げるが、先程の黒い帯状の何かも出ないし、他の魔法も出ていない。

一体何をしているんだと思った時、ナズナが飛び上がった。

そのまま地面に着地する事なく、空中に滞留する。

 

ナズナの持っている属性は、雷と重力。

人は基本一属性しか持てないらしいけど、ナズナは二属性を持って生まれた。

今は重力魔法を使って、空中に留まっているみたい。

 

ナズナがいた場所を見ると、影が発生していた。

少し動いている所を見るに、足を絡め取ろうとしていたんだろうと推測出来る。

 

「へぇ、良い勘してるじゃん。王子様」

「お前のそれ、影魔法だな。うちの国ではマイナーな魔法だが、よく使いこなせている。適正は、闇と影か?」

 

ご明察、とカヅキは言う。

そしてメイド服のポケットから、今度は分厚い眼鏡ではなく普通の眼鏡を取り出してかけた。

 

「俺は異世界で闇帝の位をもらっている。まぁ、ギルドのトップランカーだな。そこいらの雑魚には負ける気がしねぇ。つーことで、見下ろされんのは趣味じゃねぇんだ。落ちろ」

 

カヅキが親指を下に向ける。

魔法が発動する気配がし、ナズナの下方に大きな影が渦巻き始めた。

 

闇渦(ブラックホール)

 

あたりの空気も、全てその渦に飲み込まれて行くようで、あたしの結界が少しひしゃげてくる。

中にいるナズナも、何か思案をしているようだった。

 

「ほらほら、早くしねーと死んじまうぜ、王子様」

「ちょ、カヅキ! 少し手加減しなさいってターニャに言われてたでしょ?! 何やってんの!」

 

叱責するが、カヅキはどこ吹く風のようにあたしへ言い放つ。

 

「こんなんで死ぬようなら、お前は守れねーよ。こいつ殺しちまったら、お前と師匠を俺の世界に連れ帰る。いい考えだと思うんだけどな」

「な…っ!」

 

ターニャの方を見ると、こめかみを押さえて頭が痛そうにしている。

若干、彼女は暴走しているようだった。

 

「そんな事したら本当に大っ嫌いになるからね?! わかってんの?!」

「うぇ…」

 

あたしの言葉に怯んだカヅキは、威力をだいぶ抑えたようで結界が元の強度に戻る。

その隙を見たナズナは、雷魔法を使ってカヅキの背後に周り、その背中を蹴った。

 

「ぐぇっ!」

「勝負あったな」

 

蹴られて地面に倒れたカヅキに、ナズナはニヤリと笑った。

 

「ちっ…男に二言はねぇ。俺の負けだ。ナイスファイトだったぜ、ナズナ」

「お前もな、カヅキ」

 

素直に負けを認めたカヅキは拳を突き出す。

それに拳を重ね、ナズナも素直に年相応に笑った。

 

一体あたしは何を見せられているんだろうか。

 

「さて、勝負あったようですので、お嬢様。テスタロッサ家へ帰りましょうか。もう非番だと思うのですが」

「いや、まだあたしとの組み手が終わってないんだけど」

 

帰宅を促すターニャに、あたしは言う。

カヅキと組み手するの、何年振りだと思ってるのかしら。

 

「家でやればよろしい。ナズナ殿下。お嬢様の帰宅、許可してくださいますね?」

「一王太子に圧をかけられるの、貴女ぐらいよターニャ…」

 

普通なら、平民ガーとか言って処罰されるでしょうに。

…ナズナの兄弟なら平気でしそうだわ。

特に、初日城へ帰ってきた時に絡んできたエンリケとか。

 

「まぁ、明日また会えるだろうしな。城の中で暗殺しようとする馬鹿もいるにはいるが、今まで負けたことはない。安心して行ってこい」

「行けるわけなくない?!」

 

それ聞かされて、はい帰りますって言う護衛役いないと思うんだけど?

 

「ナツキ。俺の作った護符、コイツに貼っ付けておいてやる。なんかあれば一回は守ってくれるし、俺のとこに通知も来るようになってる。ナツキが悲しむ顔なんざ見たかねぇし。師匠が決めた事は絶対覆せないからな」

 

カヅキがため息をつく。

 

流石一番弟子。

ターニャの事よくわかってるじゃない。

 

「おら、腹出せ王子様。貼り付けてやる」

「ナズナだ。せめて名前で呼べ、カヅキ」

 

へーへー、と言いながら、取り出した護符をナズナに貼り付けた。

肌に張り付いた瞬間、それが消えて見えなくなる。

 

「これで、他の連中からも気取られる心配はない」

「へー、高性能ね。あたしも覚えれば出来る?」

 

カヅキに聞くが、無理無理、と返されてしまった。

 

「こっちの材料じゃ作れねー奴だから、覚えた所で無駄なんですよ睨まないで頂けませんかねターニャさん!」

 

後半凄い早口で、カヅキはターニャに弁明している。

睨んでませんが、と彼女から返答があったけど、絶対嘘だってカヅキは怯えてた。

 

◆◆◆

 

王都から長距離転移でテスタロッサの家に戻ってきた直後、カヅキが庭で吐いてしまった。

聞けば、長距離転移の際にかかる魔力に酔ってしまうんだとか。

長距離移動する時どうしてるの、と聞くと

 

「いつもは自分の影使って移動してる…」

 

との返答だった。

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