転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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68.転入生です

真剣な顔をした彼に、あたしは思わず目を逸らしてしまう。

少し顔が赤くなってしまっているだろうと、推察出来た。

 

「ふっ…お前は可愛いな」

「口説かないでもらえません? 外には団長達もいるのに。それに今は仕事中なので」

 

ぷいっ、とあたしは顔を背ける。

そんなあたしの行動に、ナズナはくっくっと笑いを堪えきれないでいるようだった。

 

◆◆◆

 

久々に登校する学校は、相も変わらず大きいという印象を与えてくる。

挨拶してくれるクラスメイト達に挨拶を返し、あたしはナズナの隣の席についた。

 

「というか、席替えとか無いのかしら?」

「ないな、ほぼここだ。まぁ、あったとしてもお前は俺の隣だ。護衛役だしな?」

 

少し疑問に思った事に、ナズナが返してくれる。

ただの独り言だったのに、彼は律儀だ。

あと首を傾げて言わないで欲しい。

あたしにとっては目の毒だから。

 

「それはわかってるわよ」

「はーい、静かにー」

 

カーン先生が出席簿を持って教室に入ってくる。

それまで騒いでいたクラスメイトが、一気に静かになった。

 

「えー、皆さんおはようございます。今日は新学期の初日なんで、ホームルームが終わったら解散してもらって構いません。ですがその前に、転入生がいますので紹介します。はい、入ってきて下さい」

 

カーン先生に声をかけられた人物は、ゆっくりと扉を開け、彼の隣に並ぶ。

 

「自己紹介どうぞ」

「あ…ローゼヴィッヒ・ロードナイト・ヴァリエール…です。ロゼって呼んでもらえたら、嬉しいです。よろしくお願いします…」

 

少し気弱そうな印象を抱いた。

ローズピンク色の髪を三つ編みにし、横に流している。

学生服は男性仕様なので、多分彼は男の子なんだろう。

ナズナの方を見ると、少し眉が寄っている。

何故だろうと首を傾げていると、ローゼヴィッヒが席に案内された。

 

「はい、では解散」

 

カーン先生がそう言い、教室を出て行く。

途端、ローゼヴィッヒにクラスメイト達が群がって行った。

それを横目で見つつ、あたしはナズナに尋ねる。

 

「さっきから眉が寄ってるけど、どうかした?」

「いや…ヴァリエールの一族に、ローゼヴィッヒという名前の奴はいないはずだ。このクラスに編入してきたという事は、あいつは少なくとも17歳。俺の一つ下なら、俺が知らないはずはないんだ」

 

そう言えば、ナズナはリューネ国民の顔と名前を全て覚えていると、前に言っていた。

一体何万人規模でいると思ってんだ、と思った事もあったが、カヅキが帰った後の視察に付き合った時、平民の人達にも声をかけていて、そして全て名前を呼んでいて、彼らも驚いていた記憶がよぎる。

そんなナズナが知らないって、それは相当まずい事が起こっているのではないだろうか。

 

「探ってみる?」

「いや、まずはヴァリエールの家に確認を取る。その返答次第だな。それまで待て」

 

彼の言葉にあたしは頷く。

ナズナは何か書いた後、伝書鳩みたいな鳥にそれをくくりつけて、飛ばした。

 

ローゼヴィッヒの方を見ると、クラスメイトから質問攻めにされてアワアワしている。

 

そういえばこの間気付いたけど、王族の人達のミドルネームには花の名前が、21貴族の人達のミドルネームには宝石の名前が入っている。

まぁ、そういうものだろうとスルーしていたが、彼のミドルネームにも宝石の名前が入っていた。

 

「ヴァリエールの、遠縁の子って可能性は?」

「遠縁も把握している。それでも、あいつの名前はない」

 

ナズナがそこまで言うなら、やはりこの国の人ではないんだろう。

 

「ふーん…」

 

遠目からだが、ローゼヴィッヒを観察してみる。

ローズピンク色の髪、青色の瞳。

少し困ったように下がる眉、声も少し高いので女の子の格好をしたら、女性と押し通れそう。

魔力は…。

 

魔力値も測ろうとした瞬間、拒絶を受ける。

バチンッ! と静電気を起こしたような感覚に、あたしは驚いて体を揺らした。

 

「どうした、シャル?」

「…弾かれた」

 

思わず呟く。

あたしは神から力をもらっていて、だから、他人の魔力を測れないなんて事は今までなかった。

 

「あの子、何なの…?」

 

ローゼヴィッヒが涙目でこちらを見る。

だがあたしは、それを睨みつけるように見つめるだけだった。

 

◆◆◆

 

二学期の最初の授業は、王都のギルドに行って登録する、というものだった。

学校にある転位門からギルドの転位門へ繋ぎ、生徒達が続々門を潜って行く。

その年の二学年の、恒例行事らしい。

 

「なんでギルドカード作んなきゃいけないの?」

 

門を潜ると、景色が変わった。

あたしの後に続いてきたナズナに質問する。

 

「他国に行っても、身分を証明できるようにするためだな。3年には修学旅行なるものがあるらしい。その為のだろう」

 

こっちの世界でも、修学旅行というものがあるんだ。

 

前世では視察という名目の、半分旅行、半分仕事で各国を回ったことがある。

学校の修学旅行はそのせいで行けてない。

お金持ちが通う学校ではなく、普通の中学に通っていたので、行き先も定番だったからだ。

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