何回も、各企業のお偉方との会談で使っていたから、行き慣れているというのもあり、楽しめなかっただろうが。
まぁ[私]は、取り繕うのがうまかったから、そんなことおくびにも出さず、上手くやったんでしょうけど。
チラリと横目でローゼヴィッヒを見る。
あれから仲良くなったクラスメイトに囲まれて、談笑していた。
あの後、寮の部屋へ一緒に戻ったナズナの言葉を思い出す。
「ローゼヴィッヒという名前の人物は、確かにヴァリエール家の者だそうだ」
「嘘でしょ…?!」
あたしは驚いて、若干大きめの声を上げてしまった。
ナズナも腕を組み、難しい顔をしている。
「詳細はまだ聞けていないが、当主であるユリウス・モルガナイト・ヴァリエールから返答が来た以上、信じる他ない」
「あの子、普通じゃない。あたしの魔力探知を弾いてきた。あたしと同じか、それ以上の力を持ってるかもしれないわよ」
あの仕事出来ない神め。
余計な事しでかしたんじゃないでしょうね?
「まぁ、戦力的には良い事だと思うけど。彼が騎士団に入ってくれれば、安泰じゃない?」
「ヴァリエールの家は文官だ。それに、ユリウスに息子はいない。あれが跡を継ぐだろう」
それは残念だ。
騎士団に入ってくれたら、ダーカンさんも喜んだだろうに。
なんて回想していると、ナズナに肩を抱かれる。
「ほら、もうそろそろ順番が来るぞ」
「あ、うん」
見ると、カウンターに置かれた水晶に生徒達が手を置いていた。
あれで魔力を測定するようだ。
それによって、ギルドカードのランクが決まるみたい。
「次の方ー」
ロングの白髪に、赤い目の受付の女性があたしを呼ぶ。
あたしはカウンターに近寄り、水晶に手を置き魔力を流した。
途端、水晶が光り輝いて何色にも変色した後、割れた。
周りがざわついているが、あたしも今何が起こったのかわからず、困惑する。
「シャル、お前何をした?」
「いや、魔力流しただけでこうなったんだけど」
ナズナに尋ねられるが、あたしも何が何だか分からない。
首を傾げていると、受付の女性は新しい水晶を取り出してカウンターの上に置いた。
「まぁ、貴女は保留ということで。はい、次の方ー」
あたしの後ろにいたナズナが手を置き、魔力を流す。
紫と黒に光り、文字が浮き上がった。
「SS?」
「魔力ランクがSSランクなんだろう。一般常識なんだが、レイラから教えてもらっているだろう?」
その問いかけに、あたしは首を縦へ振る。
レイラさんから教えてもらったのは、国内外の歴史とこの世界の常識だ。
常識を教えてもらっている時、この国では魔力の値でランクが決まる、というものがあった。
魔力のランクは、低ランクからF・E・D・C・B・A・S・SS・SSS・Zの順に並んでおり、Zランクは千人に1人の逸材として、国の保護対象になるらしい。
別にランクが低いからって差別の対象にはならないし、たまに魔力がない子が生まれるらしいが、お互い助け合って生活していると聞いた。
確か、歴史上の聖女様も測ってはいないがZランクだった可能性が高いとか何とか、カーン先生が言っていたような気がする。
多分、水晶が映した色は、その人の属性の色だろう。
ナズナは、雷と重力の二属性持ち。
その色が水晶に出たんだろう。
次々と測定されていき、ローゼヴィッヒの番になる。
「っ、きゃ…っ!」
彼が魔力を流した途端、あたし同様水晶が割れた。
か細い声で悲鳴を上げる彼に、多少の違和感を覚える。
その違和感を探る為、ローゼヴィッヒに近付こうとしたが、先程の受付の女性が二回りほど大きい水晶を持ってきて、割ってしまったあたしと彼を呼んだ。
「これ、すっごい古い水晶なんですけどね。Zランクまで測れるって言われてるものなんですよ。はい、手を置いて魔力流してもらえます?」
あたしはローゼヴィッヒの方を見る。
彼もこちらを見ていたので、お先にどうぞとジェスチャーした。
ローゼヴィッヒは意を決したのか手を再び水晶に置き、魔力を流したようで、水晶が赤く光った後Zの文字が浮かび上がる。
彼の属性は炎ということだろう。
そしてZランク。
やっぱり彼には何かある。
「はい、次貴女」
言われるがまま、あたしは水晶に手を置き、魔力を流す。
やはり色んな色に変色した後、Zと文字が浮き上がった。
「流石だな、シャル」
「褒められてる? それ」
褒めてるさ、とナズナはあたしを後ろから抱きしめてくる。
それを見て周りがざわめいた。
人前なので辞めて頂きたいのだけれど。
それを止めないあたしも大概だな、とため息を吐く。
「あ、あの。シャルロットさん」
ローゼヴィッヒがあたしに話しかけてきた。
少し警戒していると、彼はオドオドとしながら
「す、少し、お話、聞いていただけません、か…?」
と言ってくる。
あたしはチラリとナズナを見た。
彼も警戒はしているが、その目を見るとあたしとは意味が違う、もののように見えるんだけども、なんで?
「うちの婚約者に、何の用だ」
「ナズナ!」