転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

7 / 276
7.入隊試験続行です

ブォン、という音を立てて15mくらいの範囲が結界によって区切られた。

そこに一人の隊士が入っていく。

 

「簡易結界の中では、怪我しても瞬時に回復するわ。相手に負けを認めさせるか、昏倒させれば勝ちなのだけど、大丈夫かしら?」

「了解いたしました。説明ありがとうございます、ニーナ隊長」

 

ニーナさんに頭を下げ、結界の中に入ったあたしは剣を抜く。

相手の水色髪の彼女も剣を抜き、あたしに向けた。

 

「ルル、全力でやっても構わん」

「はい! 隊長!」

 

腕を組み、ニーナさんはルルさんにそう言う。

それに元気よく返す彼女は、多分実力としては1番下なのだろう。

 

「では行きますよ!」

「はい、よろしくお願いします」

 

ルルさんはあたしに向かって走りながら剣を振り下ろしてくる。

だが、動きが少し鈍い気がして、あたしはそれを避けながら腹部を蹴り上げた。

続け様に、剣の柄で後頭部を強打する。

 

「ぐっ?! がっ!!」

 

ふぅ…甲冑着られてたら使えない手だから、彼女らが薄手で良かった。

 

ルルさんが倒れ伏した後、その背中に足を乗せ、首あたりに剣を突き立てる。

 

「それまで! 勝者、シャルロット!」

 

ニーナさんが判定を下す。

その声で、背中から足を退けた。

 

「ルルさん、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫。強いね、君」

 

手を差し伸べると、にへら、と彼女は笑う。

その顔はとても愛嬌があり、なんで親衛隊なんてやってるんだろうと思った。

 

「次、サリナ!」

「はーい」

 

手を取り、立ち上がったルルさんと入れ替わるようにして、クリームイエローの髪をしたサリナさんが入ってくる。

 

「ルルと違って、私はすこーし手強いわよぉ?」

「お手柔らかにお願いします」

 

クスッと笑う彼女は少し妖艶で、やっぱり親衛隊という場所には似つかわしくないように見えた。

少ししてから、ニーナさんの始めという声が聞こえる。

 

「我が敵を撃て、火球(ファイアーボール)!」

 

サリナさんが詠唱を唱え、火の玉があたし目掛けて飛んできた。

 

成程、彼女は魔法が得意なようだ。

 

あたしは昨日、雛桔梗と一緒に覚えた4大属性を思い出す。

 

所謂地水火風というやつだ。

 

この世界には魔法があり、人はそれぞれ1属性しか使えない。

稀に2属性使える人がいるらしいが、本当に稀だそうだ。

ならあたしは? と雛桔梗に聞いたら

 

【我が主は全ての属性が使えます。派生系も使えるはずです】

 

との事だった。

 

確か、火属性には水属性が対抗手段だったはず。

そこまで思考して、あたしは左手を突き出した。

 

水弾(ウォーターバレット)

 

火の玉を消しながら、複数の水の弾丸がサリナさんに襲いかかる。

もちろん急所は外してだ。

 

「きゃあぁあ?!」

 

水の弾丸を放ちながら、あたしは脚に強化魔術をかけ、サリナさんへ瞬時に近付き、剣の腹で顔面を殴る。

 

「それまで! 勝者、シャルロット!」

 

ニーナさんの判定の後、昏倒したサリナさんに回復魔術をかけた。

瞬時に傷が回復していく。

いくら、結界の回復機能があっても申し訳ないと思った。

 

あーあ…綺麗な顔が…歯も吹っ飛んじゃってるし…ごめんなさい。

 

心の中で合掌して、傷が回復したのを見届けると元の位置に戻った。

 

「次、は…」

 

ニーナさんが言い淀んでいるのに気付いて、あたしは彼女の方を見る。

ナズナ君達もだが、みんな若干顔が引き攣っているような気がした。

 

「…?」

 

一人一人、実力はあったものの、あたしがあっさり倒してしまったので驚いているんだろうか?

 

「ニーナ、数人がかりでやってみろ」

「殿下、それは…!」

 

ナズナ君が、ニーナさんにそう指示する。

まぁ、素人だと思っていた奴がこんな動きするんだもの。

もっと実力を見たいということだろうか?

 

「構いませんよ、どうぞ」

「…アガサ、ベラ、ブリジット! 前へ!」

 

あたしの言葉にニーナさんは意を決したようで、三人の名前を呼ぶ。

呼ばれた三人が結界内に入ってきた。

 

アガサさんがモスグリーン、ベラさんがライラック、ブリジットさんがローズレッドの髪、の人かな?

皆一様に嫌な顔をしている。

 

何故だろうか?

 

「どうぞ、ご自由に攻撃してください」

 

声をかけてみるけど、三人とも動こうとしない。

それどころか

 

「…アガサー…あの子隊長並みに強くない?」

「言うな、私も思うけど」

「いつもの連携でいけば大丈夫でしょ! ほら、行くよ!!」

 

ベラさんが情けない声をあげ、応答したアガサさんも嫌そうな声を隠そうともせず言う。

一番威勢がいいブリジットさんは、そんな二人を励ましていた。

 

…あたしは珍獣か何かなんでしょうか?

 

「いらっしゃらないなら、こちらから行きますが?」

「いかないとは言ってないでしょ! ちょっと待ちなさいよ!」

 

ブリジットさんに制止され、あたしはニーナさんの方を見る。

試合だから止めた方がいいのか、戦場を想定して動いていいものか、判断を仰ごうと思ったからだ。

 

「ブリジット…お前、ここが戦場で、敵に同じことを言うのか?」

「で、でも隊長!」

 

でももへったくれも無いだろうに。

ニーナさんは、自らを見ていたあたしに頷く。

やってもいいという事だ。

 

「申し訳ないですけど、終わらせていただきます」

「だから待てって…!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。