転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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70.同じ転生者でした

彼に肘打ちして黙らせた。

鳩尾にクリーンヒットしたらしく、ナズナは呻きながら腹を抱えて蹲る。

 

「何回言わせるのですか、殿下。まだ喪が明けていないうちから、そのような発言をされるものではないと」

「す…すまん…」

 

ターニャ仕込みの、絶対零度を思わせる笑顔でナズナを見た。

カヅキが怖がるくらい、この笑顔は怖いらしい。

ナズナもあたしのその顔を見て、頬を引き攣らせていた。

 

怒らせるからよ、ばーか。

 

「で、話って?」

「あ、あの、ここじゃ、ちょっと…」

 

さっきの騒ぎで、注目を浴びてしまっている。

どうやらローゼヴィッヒは、内緒の話をしたいらしい。

 

「わかった。あっちの隅に行きましょうか。ナズナも一緒でいいわよね? でないと話は聞けない」

 

確認を取ると、彼は頷く。

ギルドの隅に行くが、それでも皆が聞き耳を立てている事は、気配で分かった。

あたしは嘆息し、創造魔法で聴覚遮断の結界を張る。

 

「これで周りには何も聞こえないわ。で? 話って?」

「あ、あの…シャルロットさん、転生者ですよね?」

 

あたしは、自分の目付きが鋭くなっていくのを感じた。

 

なんでこいつがそんな事知っている?

オドオドしているのも、こちらを油断させるため?

狙いは何?

まさか、ナズナの暗殺しに来たとか?

それならば、許さない。

 

警戒を露わにしていると、ナズナが肩に手を置いてくる。

 

「落ち着け。ローゼヴィッヒに敵意はない」

「そんなの、わからないじゃない」

 

あたしは、ナズナを守らなければならない。

せっかく守る力があるのだから、今度こそは失いたくない。

 

「シャル、大丈夫だから。それに、ローゼヴィッヒが怯えている」

 

優しく、諭すように言うナズナへ一度視線を向けて、正面にいるローゼヴィッヒを見る。

彼は涙目で少し震えているようだった。

 

「…ごめん」

「お前、俺の事になるとすぐ頭に血が昇るな。それはそれで嬉しいのだが、少し冷静になってくれ」

 

苦言を呈され、あたしは深呼吸をする。

 

落ち着け、あたし。

篠原夏月だった頃を思い出せ。

あの頃はコントロールできていた感覚を、思い出すんだ。

 

「ごめんなさい、ローゼヴィッヒさん。お話を続けてもらっても宜しいかしら」

「あ、はい…」

 

あたしの変わり方に若干驚いた様子のローゼヴィッヒは、ポツポツと話し始めた。

 

「僕も、転生者なんです。前の名前は、神谷光と言って、女の子でした。僕、体が弱くて、ずっと病院から出れなくて。死んじゃった後に、神様から、こっちの世界に転生させられたんです。その、僕と一緒で、転生者がいるから、仲良くしてくれるだろう、って…。その後、彷徨っていた所をお義父さんに拾ってもらって、ヴァリエールの家の子になりました」

「あー…」

 

あたしと一緒のパターンだったのか、この子。

警戒していたあたしが馬鹿みたいじゃない。

 

「成程、だからか」

 

ナズナも納得したように、一つ頷く。

何を納得したというんだ、彼は。

 

「いきなり存在が出てきた事について?」

「それもある。だが、一番の違和感は所作だな。性別は男だろうに、歩き方や仕草、挙動が女性のものだった。お前も違和感を感じていただろう?」

 

違和感の正体はそれだったのか。

確かに、体付きは男性なのに色んな事がチグハグに思えていた。

 

「ごめんなさいね。あたし、この人の護衛だから。何事も警戒しなくてはいけなくて」

「い、いえ。と、当然だと思います。僕の方こそ、警戒させてしまって、ごめんなさい…」

 

ションボリしてしまったロゼの頭を撫でる。

キョトンとしている彼に、あたしは笑いかけた。

 

「貴方が謝る必要はないの。本当にごめんなさい。これから仲良くしてもらえるかしら?」

「も、勿論!」

 

ニコリと笑う彼に小動物感を感じていると、腕を引っ張られ、ローゼヴィッヒから離される。

それをやった人物を、あたしは軽く睨む。

 

「ナズナ、いきなり何よ」

「シャルは俺のだ。あまり妬けるような行動はしないでくれ」

 

そう言い、ローゼヴィッヒの頭を撫でていた手にキスを落とされる。

 

「あ、あの。恋人同士、なんですか?」

「まぁな」

 

聴覚遮断の結界を張っていて良かった。

いや、行動が見えてるからどっちにしろアウトな気がする。

 

「ナズナ、いい加減にして」

「俺の恋人は怒らせると怖いからな。逆鱗に触れる前に離れるとしよう」

 

あたしから離れたナズナは、悪戯っ子みたいな笑顔をあたしに向けた。

彼の熱が離れた事に少しの寂しさを感じるが、それをおくびにも出さず、あたしはローゼヴィッヒに手を差し出す。

 

「仲直りの握手、しましょう?」

「あ、はい!」

 

お互いに握手をし、微笑む。

そして思う。

 

せめて、性別の変更はするかどうか、確認してから落としなさいよあの神。

本当に無能!!

 

◆◆◆

 

この後も、学校に戻って授業を受けなければならないのだが、何故かあたし達とロゼはギルドマスターの応接室のソファーに座っている。

 

時は三十分程前、ギルドカードを発行してもらった所まで遡る。




iPhoneの予測変換がクソ過ぎで、打っては消し打っては消しを繰り返している今日この頃
流石に指が痛くなってくる…
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