転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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72.ワイバーンを探します

それは、人がいない所で何があっても周りにはバレないだろうと、そう彼女は言っているに違いない。

あたしはチラリとナズナを見る。

 

「………」

 

物凄く思い悩んでる…!

 

あたしと離れない、人気のない場所というワードが、彼の判断を迷わせているらしい。

 

「そうそう。今回の魔力判定で、ヴァリエールの若様は炎の称号を、ナズナ殿下は雷の称号持ちになってもらう。シャルロット嬢は…そうだな。光の称号持ちになってもらおう。判定では、何属性も出たんだろう? マツリカ」

「はい、マスター。シャルロット嬢は何属性も持っていらっしゃるようです」

 

いつの間に入ってきたのか、マツリカさんが後ろの扉に立っていた。

音がしなかったのだが、ギルドの受付嬢というのはそういうスキルでも持っているのだろうか。

 

「今依頼が入っているんだが、三人で行ってもらおうじゃないか。学校の方には課外授業という名目で連絡しておこう」

「…わかった」

 

了承してしまったナズナの決定に逆らえるわけない。

これまで一回も言葉を発していないロゼの方を見ると、彼は青い顔をして固まっていた。

 

「ロゼ? 大丈夫?」

「ぼ、僕、戦闘訓練なんて、した事なくて…」

 

ヴァリエールの家は文官だとナズナも言っていた事から、学校に来るまで、いや、来てから一回も戦闘をした事などないのだろう。

 

「貴方、ヴェスタから何か能力貰わなかったの?」

 

小声で尋ねる。

貰っていないと返答が来たら、流石に怒鳴り込む方法を考えなければ。

 

「あ…一応、召喚魔法だけは…」

「なら、それで攻防の手段ができてる。慌てないで、召喚魔法を使えば負けない。保証する」

 

ロゼの肩に手を置いて励ます。

彼は少し目を伏せ、頷いた。

 

◆◆◆

 

鬱蒼とした森の中、あたしはナズナとロゼと共に、討伐依頼があったワイバーンを探していた。

 

アルテミシアさんが言った依頼は、ワイバーンの討伐だと聞かされた時、あたしはナズナに聞く。

 

「この国、竜がいないって話じゃなかったっけ?」

 

数百年前はいたという話らしいが、天変地異並みの大陸の分割あたりから、竜は絶滅したとレイラさんから教わったのだが。

 

「何を言っている? ワイバーンは空飛ぶトカゲだぞ。トカゲは平気か? シャル」

 

よく長谷川が、屋敷に迷い込んでいたヤモリを捕まえては、外に逃がしていた記憶がある。

汚いからと触らせてはもらえなかったが。

 

「いや、平気だけど。ロゼは?」

「見た事ないです…」

 

病院にずっといたって話だから、トカゲ自体見た事がないだろうね。

 

「アルテミシアさん、ワイバーンってこんな小さいのが何匹もいる感じですか?」

「何を言っている? ワイバーンは体長3メートルもある大トカゲだぞ。知らないのか?」

 

人差し指と親指を目一杯広げて、アルテミシアさんに聞いてみるが、それの数十倍の値が返ってきた。

 

え、そんなに大きいの?

 

多少驚いていると、出来るかと問われる。

 

「いや、なんでトカゲ相手に怯えなきゃいけないんですか」

「まぁ、シャルは肝が座っているからな。ちょっとやそっとの事じゃ驚かないだろう」

 

それはどういう意味なのかしら。

あたしだって、一応女の子なんですけど。

 

ジト目でナズナを睨む。

彼はそんなあたしをみて、ニコリと微笑んだ。

 

「頼りにしているという意味だ。お前の力を知っているからこそ、俺も背を預けられる」

「そう」

 

二人きりになると口説かれたり、下手したらキスまでされるから、女性として見られていないという事はないのだろうけど、その言い方は何だかな、と思ってしまう。

 

「じゃ、話は纏まったみたいなんでこちらどうぞ」

 

クロエが箱を取り出し、あたし達の前で開ける。

中には、転位石が嵌め込まれたブレスレットが三つ、入っていた。

 

「これは?」

「移動用の簡易転位陣ですね。ブレスレットに刻まれてる文様は、片方はここの座標が刻まれてまして、魔力を流すだけで帰れるようになってます。もう片方は自分で描いてもらって、魔力流して飛ぶ感じですねー」

 

なんか説明が雑な気がするんだけど。

あと座標って、そこの場所知らなければ無理じゃない?

 

「ワイバーンが目撃された場所は、この近辺らしい。ここの座標を使って飛んでくれ」

「あ、あの。いなかったら、どうするんですか?」

 

アルテミシアさんは地図を出し、ある地域を指差す。

しかし、最もな疑問をロゼが聞いてくれた。

 

「いないわけはない。現地に調査員を派遣して、生息している事は確認済みだ。近隣の村にも被害が出始めている。全てを倒せとは言わないが、ある程度数を減らしてもらいたい」

 

というわけで、その座標に飛んできたわけなのだけど。

 

「鬱蒼としすぎて、本当にいるかどうかわからないんだけど」

「ワイバーンは飛ぶ生き物だからな。被害が出ている、という事は今は繁殖期か何かなんだろう。巣自体を見つければ、討伐も容易いはずだ」

 

何かをブツブツ言っているロゼを見る。

彼は、大丈夫と何回も呟いていた。

 

「ナズナ、これは救済措置だから嫉妬しないでね?」

「…? 何をする気だ?」

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