転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

74 / 276
74.ワイバーンを倒します

ナズナの機嫌も治り、仲直りをしたあたし達はロゼの元へと戻ってきた。

彼に状況を尋ねたら、そんな答えが返ってきてあたしは上空を見上げる。

 

「…うーわ…大虐殺」

「数は減らせているが、ワイバーンの死骸はどう処理するべきだ?」

 

レヴィが何を助言したのかは知らないが、竜種最強と言われているバハムートがワイバーンを喰い殺し、その口からブレスを吐き、無双していた。

バハムートが取りこぼしたワイバーンを、人型になったレヴィが蹴り殺しているような状況に、あたしは若干遠い目になる。

 

それくらい許して欲しい。

 

ワイバーンの死骸やら血液やらが森に落ちて、死臭が溢れ返っていた。

ナズナは、そこら中に散乱しているワイバーンの死骸に、頭が痛そうにしている。

それもそうだろう。

どうやって回収作業をすれば良いのか、皆目見当もつかないのだから。

 

だが、ぼーっとしている暇はないだろう。

塵が積もるように、ワイバーンの死骸は折り重なって行くばかりなのだ。

ここらで少し止めねばならない。

 

「レヴィー! ご苦労様ー! ちょっと一回、虐殺やめてくれないー?!」

「おぉ、我が主。戻ったか。我が夫よ、我が主が呼んでいる。少し席を外すぞ」

 

バハムートにそう言うと、レヴィは地上に降りてきた。

 

ん?

今なんて言ってた?

 

「レヴィ、今なんて言ったの?」

「ん? 我が主と」

「違う! その前! バハムートの事なんて言った?!」

 

キョトンとしているレヴィを問い詰める。

聞き間違いでなければ、我が夫と言ったはずだ。

 

レヴィ、結婚してたの?

 

「我が夫だが」

「レヴィさんって、結婚してたの?!」

 

ロゼも驚いて、レヴィに聞いてしまう。

何をそんなに驚いているんだ、と彼女は首を傾げていた。

 

「バハムートは創世の頃から、妾の番だが。奴は空、妾は海と棲み分けはされてあったが、お互いのいる場所は常に把握しておったさ」

「だから、バハムートを呼べって言ったのね」

 

久々に会いたくなったんだな、この子。

その気持ちはわかるんだけど、こんな血生臭い場所で良かったんだろうか。

 

「で? この惨状どうするんだ?」

 

ナズナが近くに落ちてきた、ワイバーンの死骸を指差す。

今も尚、バハムートは空中で暴れ回っているようだ。

 

「知らん。あとは主らの仕事であろう」

「うーん、風魔法で集めてみようか。で、圧縮してギルドに持ち帰って、あっちで解凍して鑑定してお金に変えるっていうのはどう?」

 

手振りを交えてナズナ達に説明してみる。

その案で良いと了承してもらったので、一回ロゼへバハムートを退避させてもらう。

 

「我が夫も人型にはなれると思うのだが。何故しない」

「面倒なんだろう。そうでなければ、すぐになっているはずだ。お前達、ちゃんと夫婦なのか?」

 

空中に待機しているバハムートへ、レヴィが不満の声を上げる。

それに間髪入れずナズナが疑問をぶつけたが、火に油を注いでしまったようだ。

 

「はぁ? 番だが? 何か文句でもあるのか貴様」

「疑問に思っただけだ。俺がバハムートの立ち位置なら、愛しい妻であるシャルの元にはすぐ駆けつけたいはずだ。それが無いということは、お前の勘違いか面倒だと思われているのではないかと…」

「殺されたいか貴様」

「まぁまぁ…」

 

ナズナの胸ぐらを掴み上げたレヴィを抑える。

ナズナも、人の琴線に触れるような言い方はしないで欲しい。

 

「…しても良いけど、誰がワイバーンの追撃を止めるっていうんだ、って言ってるよ」

 

召喚獣と会話ができるらしいロゼが、バハムートの言葉を伝えてくれる。

 

「我が夫…それならば妾が」

「本末転倒だからやめとけって言ってるよ、バハムート」

 

せめて、ワイバーンの追撃が無ければ、ゆっくりお話しできる時間も取れるんだろうけど。

 

「じゃあ、始めるよ?」

 

あたしは片手を掲げた。

 

大竜巻(サイクロン)!」

 

周囲から風が流れ込み、集まり出す。

それらが渦を巻き、大きな一つの竜巻へと変貌して行く。

その風に乗って、ワイバーンの死骸が巻き上げられていくのを見て、あたしはもう片手を上げた。

 

圧縮(グラビティ)!」

 

重力魔法でワイバーンを一つに集め、圧縮して行く。

一つのキューブ状になったら、その状態ごと収納魔法へ格納していった。

 

大渦潮(メイルシュトローム)!」

 

森に降り注いだワイバーンの血痕を、大渦潮で洗い流す。

それを上空で水球にしてから、あたしはそれは人差し指を向けた。

 

爆発(エクスプロージョン)!!」

 

水球の周りに巨大な火球を放ち、爆発を起こさせる。

その熱で水球は蒸発していった。

 

「んー…詠唱を組み合わせた方が、もっと大きい爆発になったかしら」

「いや、ここいら一体吹き飛ばしそうだからやめておけ」

 

ナズナが後ろから抱きしめてくる。

魔力を大量に使う魔法を連発したせいで、魔力欠乏で倒れると思ったようだ。

 

ワイバーンの方を見ると、もうこちらを攻撃する意思はないようで、巣の中から出てこなくなっている。

 

「我が夫。我が主を紹介するゆえ、降りてこい」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。