転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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77.洗礼を受けに来ました

お義父様に言えば、帳簿とかうちが運営している事業とか、提携している所とか確認出来るのだろうけど。

あぁ、この事を事前に知っていたら、夏休みの間調べられたというのに!

 

「冬休みに帰った時、ターニャに洗いざらい吐いてもらうわ…」

「で、だ。我が主。ギルドマスターから、主と他の者のカードを預かってきた。今日はそのまま帰って良いそうだ」

 

あたしとナズナ、ロゼにそれぞれカードが渡される。

なんか、カードがキラキラしている気がするのだけど。

 

「光姫、って、なんなのこれ」

「俺は雷皇と書いてあるな」

「僕は炎舞ですね…」

 

これが、ギルドの称号持ちって事なんだろう。

責任者の人が、そのカードに金を振り込んでおくと言ってくれたので、三分割にしてナズナとロゼのカードにも入れてもらうようにお願いしておく。

さて帰ろうかという時に、あたしはナズナに提案した。

 

「ナズナ、あたし洗礼を受けてみたいのだけど」

「今からか?」

 

外を見るともう夕方で、本来なら寮に戻らなければならない時間ではある。

だけど、あたしは気になってしまったのだ。

 

「あたしが、洗礼を受けて名前を付けてもらえるかどうか、気になるんだよね」

「あ、僕は先に帰ります。お疲れ様でした」

 

ロゼがペコリと頭を下げ、ギルドの転位門の方に歩いて行く。

どうやら空気を読んでくれたらしい。

 

「ナズナ、駄目?」

「我が主の願いくらい叶えなくて、何が番…もがが!」

「少し黙っていろ、我が妻」

 

ルティが、レヴィの口を塞ぐ。

ナズナは少し考えた後、行くか、と一言だけ言った。

 

◆◆◆

 

王都内にある大きめの教会。

サンテブルク教会。

このサンクロードという世界で、唯一神と崇められてるヴェスタ神を奉っている総本山。

管理はジルベルト家で、代々教会の司教をしているらしい。

ちなみに、レヴィとルティは、教会の外でお留守番だ。

悪魔だのなんだので、レヴィが入りたくないと駄々を捏ねたから。

 

「あら、ナズナ殿下。お久しぶりです」

 

水色の髪と水色の目をした、シスター服を着た女の子が、ナズナに挨拶する。

 

「エレオノール。息災か」

「はい、殿下。そちらの方は…」

 

エレオノールと呼ばれた女の子があたしを視認した。

あたしはカーテシーで、エレオノールさんに挨拶する。

 

「シャルロット・テスタロッサと申します。殿下の専属護衛をしておりまして…」

「貴女がヴェスタ神の仰っていた、ナツキさんですね。初めまして、ハリトン・アゲート・ジルベルトの娘、エレオノール・アクアマリン・ジルベルトと申します。ヴェスタ神から、貴女様の事は伺っておりますよ。大変な思いをなさってきたとか」

 

カーテシーをしたまま、あたしは固まってしまう。

 

何でこの人、そんな事知ってるの?

ヴェスタから聞いた?

嘘でしょ?

 

「シャル、エレオノールはこのサンテブルク教会の聖女だ。唯一、ヴェスタ神の声を聞けるとして、父親より立場が上になっている」

「嫌ですね、ナズナ殿下。地位など、神の前では等しく瑣末な事です。神はいつでも私達を見てくださっていますとも」

 

いや、見てない時の方が多いんじゃない?

あれは、筋肉の事しか頭に無さそうな程鍛えまくった体をしていたけれど。

 

「ナツキさん、いえ、今はシャルロットさんですね。本日はどのようなご用件で…あぁ、洗礼にいらっしゃったんですね。こちらにどうぞ」

 

エレオノールさんは、姿勢を正したあたしの手を引いて、ヴェスタの像の前まで連れて行く。

何も言ってないんだけど、何でわかったのこの人。

 

「それでは、目を閉じて下さい。ヴェスタ神に祈りを捧げて、浮かんだ名前を仰ってください」

「………」

 

胡散臭さを感じつつ、その場に跪いて目を閉じる。

 

あれに祈りを捧げるなんて、真平ごめんなんだけど。

でも、ミドルネームがあるなら欲しいかな、なんて思っただけでこんな事になるとは。

 

ヴェスタ、今度会ったらただじゃおかない。

 

『そんな事言われても困るよー』

 

一度たりとも忘れたことが無い、あの高い声が脳内に響く。

あたしは目を開け、辺りを見渡した。

 

「どうかなさいましたか?」

「いや、あの。なんか、高い声が聞こえまして…」

 

後ろを見ても、教会に設置されている長椅子に、ナズナが足を組んで座っている姿しかなく。

他の礼拝者は、時間が時間だけにほとんど姿が見えない。

 

今のは、一体…。

 

「シャルロットさん、集中ですよ。はい、目を閉じてください」

 

言われた通りに目を閉じる。

 

フッと意識が飛ぶような感覚がし、目を開けるとそこは白い世界だった。

 

「………はぁ?」

 

ちょっと待って。

なんでまたここに来てるの?

あたし死んだ?

 

「そんな、馬鹿な…」

「あ、ナツキちゃんいらっしゃーい」

 

真後ろから、高い声が聞こえた瞬間、あたしはその方向に蹴りを入れた。

あたしの蹴りは、ヴェスタの太ももにクリーンヒットしていたが、痛がる様子もなく、あいつは腕を上げ、筋肉を見せびらかしてくる。

 

「痛いじゃないかー」

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