転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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79.ナズナの寝起きが悪いです

今月からウンディーネ1の月。

肌寒さを感じてきた今日この頃。

あたしは朝の光で目を開けた。

 

目を開けた先には金色の髪が見えて、そして腰回りを抱きしめられて拘束されているものだから、身動きが出来ない。

何でこうなっているかといえば、先月の話。

ルティを使い魔にした後、レヴィがルティと離れたくないと駄々をこね始めた事が発端だった。

 

「確かに送還したら離れ離れなんだけど。また呼ぶから、ね?」

「嫌じゃ嫌じゃー! ルティと一緒にいるんじゃー!」

 

ここまで駄々をこねるのを見るのは初めてで、あたしは困惑する。

ルティも困っているようで、我が妻と声をかけても無駄だった。

 

美女が駄々こねても絵になるのは何故だろう。

 

「なら、俺の部屋を開け渡そう」

 

珍しく、ナズナが助け舟を出してくる。

え、どうしたのと驚いていると、ニヤリと彼は笑った。

 

「その代わり、俺はシャルの部屋で寝る」

「はぁ?!」

 

大きな声を出すあたしに、ナズナは別に良いだろうと言う。

 

「いずれ夫婦になるんだ。予行演習と思えばいい」

「ど、同衾を推奨してくる王族が、いちゃ駄目でしょうが!! あ、貴方があたしのベッドで寝るなら、あたしはソファーで寝ますからね?!」

 

動揺しすぎて吃ってしまう。

 

「むしろ、我々を還した方が…」

「嫌じゃ! ルティー!!」

 

レヴィの絶叫、ルティの諦め顔、ナズナのどうするというにやけ顔。

あたしは、思考を放棄した。

もう、どうにでもなれ、と思って。

 

そして今日まで至る、と。

 

「ナズナ、起きて。朝ご飯作れないから、せめて手を離して」

「んー…」

 

ナズナを揺すって起こそうとするが、彼は唸りながら、あたしを拘束する腕を強めた。

このままでは、朝食を食べられず学校に行く羽目になるな、と半ば諦めていると、扉がノックされた。

 

「ルティ? どうかした?」

「我が主、失礼する」

 

扉から入ってきた彼は、両手に朝食を乗せたお盆を持っていた。

ちゃんと髪を括って、エプロンまでつけている。

扉を開けたのはレヴィのようで、呆れた目でナズナを見ていた。

 

「朝食を作ってみた。味も美味いと思う」

「ルティが? 貴方、料理作れたのね」

 

うむ、と彼はサイドテーブルにお盆を置いてくれた。

 

「我が主には悪いと思ったが、色々食材を買って本を見て練習させてもらった。失敗作もあったが、全てベルゼビュートが食ってくれてな」

「『ぼくが呼ばれて、ご飯を食べさせてもらえるのはありがたいけど、ぼくは残飯処理係じゃないんだよ? 食べるけど』と宣っておったが、我が夫の料理を食えるだけでありがたいと思えないのか、あやつは」

 

いや、失敗作食べてもらってたんでしょ?

それはこちらがありがたいと思う事なのでは?

 

ルティを見るとあたしと同意見だったみたいで、苦笑していた。

ルティはほとほと、レヴィに甘いらしい。

愛妻家だとも言えるが。

 

「ナズナ、ご飯だよ」

「ん、んー…」

 

この季節になってから、ナズナの寝起きが極端に悪くなった。

寒さに弱いのかしら、この人。

 

「食べさせてあげるから、ね?」

「ん、起きる…」

 

ナズナが起き上がったのを見て、ルティ達は部屋から出ていった。

 

介護よろしく、ナズナにご飯食べさせて、着替えさせてと、あたしの朝は慌ただしく過ぎて行ったのだった。

 

◆◆◆

 

「文化祭?」

 

朝教室に行くと、机の上にパンフレットが置いてあった。

デカデカと文化祭! と書いてあって、思わず声に出して読んでしまう。

 

「あぁ、もうそんな季節なのか」

 

ナズナの机にも置かれていたようで、彼も中身をパラパラとめくって読んでいく。

 

「文化祭って、何をするの?」

「特に何も」

 

何もしない、なんて事はないだろう。

あたしが中学の時は、各クラス何かの展示をしていたし、小学生の時は、何かを作って体育館に展示したりと、生徒主体でやっていた記憶がある。

何を作っていたかは、記憶が曖昧でよく思い出せないが。

 

「何もしないで文化祭って出来るの?」

「文化祭とは名ばかりの、各地にいる商人やらが集まって、自分達の商売を貴族に売り込む事が主旨だからな。俺達は何もしない。強いて言えば、気に入ったものを売っている商人のパトロンになってやるくらいか?」

 

何それ、つまらなさそう。

 

閉口しているあたしに、ナズナは苦笑する。

 

「その日は出店も出るから、一緒に回ろうかシャル」

「え、うん。それは当たり前でしょ。貴方の護衛なのよ、あたし」

 

そう返すと、ナズナが机に突っ伏した。

え、あたし何か変な事言った?

 

首を傾げていると、小さくなったルティが助言してくれる。

 

[あの人間は、我が主をデートに誘いたかったのではないかと推測するが]

「…デート?」

 

ナズナの方を見ると、耳が真っ赤になっていた。

ルティの発言が正しい事が、彼の反応でわかってしまう。

 

「ごめん…お誘い、嬉しいです」

「…ん」

 

そんなあたし達を周りは生暖かい目で見ていたが、あたし達はそれに気づいていなかった。

 

「シャル、おはよう…って、何この空気」

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