そう言われても、苦情は貴女方の上司に言っていただけますか?
「
「「「きゃあぁぁぁぁっ!!!」」」
彼女達の周りに渦潮を形成し、飲み込ませる。
空中まで巻き上げてから、渦潮を消した。
途端彼女たちは自由落下を始め、地面に激闘する前に風の魔法で受け止める。
流石に人は殺したくない。
「…はぁ…」
ニーナさんが深いため息を吐いた。
部下が情けないからだろうか?
「勝者、シャルロット」
まぁ、当然と言えば当然だけど、なんか消化不良気味だ。
ニーナさんも複雑そうな顔をしているし。
「次、カナリア、オリヴィエ」
「ちょっと待ってください」
次の2人の名前を呼んだ時、ユキヤ君が制止する。
カナリーイエローの髪の女の子と、栗色の髪の女性が前に出ようとして止まっていた。
「カナリアは兎も角、オリヴィエは僕の専属護衛です。シャルロットの前に出す必要があるのですか?」
「シャルの実力を図るためだ。それに、カナリアもオリヴィエも中堅クラスの実力の持ち主だ、あの3人のように簡単にやられはしないだろう」
ユキヤ君がニーナさんに食って掛かるのを、ナズナ君が止める。
「兄さん!」
「殿下、大丈夫ですよ」
栗色の髪の女性、多分オリヴィエさんがユキヤ君を安心させるように声をかけた。
とても柔和な声だ。
「シャルロットさんは、人を殺したことがないようですので、負けたとしても手加減していただけるかと。それに殿下がご命令すれば、シャルロットさんも無碍にはできないのでは?」
クスクスと笑う様は、とても愛らしいと思うのに言ってる事が物騒だ。
オリヴィエさんは、策士タイプなのだろうか?
「シャルロット…」
「…これ、手加減する必要性あるんですか?」
ユキヤ君の情けない声に、あたしは鬱陶しくなってニーナさんに声をかける。
多分だけど、生死をかけた戦闘ならあたしは躊躇しないと思う。
だって、相手に生を譲ったら殺されるのはあたしの方なのだから。
「殿下がそう仰るなら…」
「ユキヤは同席させない方が良かったな」
ナズナ君も呆れて、ユキヤ君の方を見ている。
あたしの力量を測る為のテストだというのに、これでは意味がないからだ。
「オリヴィエは副隊長だから、見るには一番なのですが…」
「オリヴィエさんだけなんてずるーい。私も手加減してくださいよぅ」
カナリーイエローの髪の子、多分あちらがカナリアさんだろう。
ブーブーと文句を言っている。
「…あーもー! わかりましたよ、手加減すればいいんでしょう? さっさと終わらせますので、まとめてどうぞ」
「それでは、始め!」
結界内に入ってきた2人を見届け、ニーナさんが開始を告げた。
瞬間、カナリアさんがあたしの目の前に現れる。
速い…!!
あたしに振り下ろされた剣を、右手に持った剣で受け止めた。
キィィン、と金属音が辺りに鳴り響く。
「お、いい反応速度じゃん」
「お褒めに預かり光栄です、ねっ!!」
振り上げ様、カナリアさんを弾き飛ばす。
だが、相手はカナリアさんだけではない。
オリヴィエさんの方を横目で見ると、長い詠唱をしているようだ。
マズイ。
直感でそう感じる。
雛桔梗との勉強で、魔法は詠唱を伴うと威力が倍増すると習った。
詠唱の文言で、ある程度の法則性と属性がわかるらしいが、カナリアさんの猛攻と剣戟の音で、その音が聞こえてこない。
「カナリア、離れて!」
「オッケー!」
詠唱が終わったのだろう、オリヴィエさんがカナリアさんに叫ぶ。
途端、カナリアさんがあたしから離れた。
「
風魔法の最大攻撃、大竜巻。
囚われた相手は八つ裂きになる、って雛桔梗は言ってたっけな。
なら。
「
あたしを飲み込むように、大竜巻が発生する。
風の向かう方向と逆方向に、あたしは砂嵐を発生させた。
こちらも地属性の風を当てて相殺させようという作戦だ。
あとは、魔力が続く限り発生させ続けるだけだ。
数分後、風の威力が弱まってくる。
オリヴィエさんの魔力が尽きかけているか、集中力が切れかけてきたか、どちらかだろう。
ここらで反撃行きますか。
目を閉じ、魔力の揺らぎを見る。
真正面に2人、左側に数人。
真正面にいる2人が、カナリアさんとオリヴィエさんだろう。
あたしはそこ目掛けて、魔法を使った。
「
途端、風が止む。
合っていたようで、あたしも砂嵐を止めた。
闇色の縄が2人を縛り上げている。
あたしは2人の傍へ行き、鞘で2人の首を軽く叩いた。
「はい、終わり」
「悔しーっ!!」
解けはしないのに、カナリアさんがジタバタと暴れる。
オリヴィエさんは苦笑して、尋ねてきた。
「結構、自信があったのだけれど…どうやって回避したの?」
「簡単ですよ。発動に合わせて、此方も砂嵐を発生させたんです。貴女の風の向きと逆方向に。そうなったら相殺しますよね? あとは貴女が力尽きるのを待って、カナリアさんを倒そうと考えていたんですけど…ちょっと面倒になったので、闇縛で拘束させていただきました」