転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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80.お昼を食べながらお話しします

何も知らないロゼが、登校してきてあたしに尋ねてくる。

 

「さぁ、何だろうね…」

 

あたしは今それどころではないので、ロゼへの返答も適当になってしまった。

 

「文化祭? ねぇ、シャル! 出し物何にする?」

「いや、あたしも今知ったんだけど、あたし達は何もしないっていうか…」

 

さっきナズナがしてくれた説明をすると、ロゼもあたしと同じ顔になってしまう。

 

「それ、楽しいの?」

「…楽しいんじゃないかな。一部の人には」

 

貴族の娯楽だよね、それ。

とは思わないでもないけど。

 

「シャル、これの中身見た?」

「いや、まだ」

 

ロゼがパンフレットを指差す。

それへあたしは首を振る事で否定した。

 

ナズナがパラパラ見ていたのは見ているけれど。

 

「テスタロッサの名前があるよ」

「はい?!」

 

ほら、と差し出されたパンフレットの1ページには確かにお義父様の名前が載っていた。

なんでも、ジェットコースターなる物を発明して、文化祭の日にお披露目するのだとか。

 

「これ、安全性とか大丈夫なのかな…」

「多分大丈夫…だと思うけど。ターニャが監修してるだろうし、うちもそういう事業には携わってきたから、構造は把握してるだろうし…多分」

 

確か一緒に設計図も見てたはず。

でも、下手したらジェットコースターって死傷者出すくらい危ないものなんだけど、ターニャ何考えているのかしら。

 

「そういえば、シャルの名前聞いてなかったよね。前世、なんて名前だったの?」

「あたし? 篠原夏月だけど。篠原財閥の娘でね」

 

そこまで言ったところで、ロゼが大きい声を出した。

 

「篠原?! あの篠原財閥の?!」

「ちょ、声大きい!!」

 

慌ててロゼの口を塞ぐ。

周りは何だ何だ、と顔をこちらに向けている。

ナズナも顔を上げて、ムッとし始めた。

 

「はーい、ホームルーム始めますよー」

 

カーン先生が入ってきて、あたしは慌ててロゼに言い聞かす。

 

「この話は昼休みね!」

 

あたしの言葉に、ロゼは頷いて返してくれた。

 

◆◆◆

 

「シャルが、あの篠原財閥のお嬢様だったなんて! 僕驚いちゃったよ」

「そんなに驚くような事かしら」

 

ルティが作ってくれたサンドイッチを、三人で食べている。

あたしの前世が篠原夏月だという事を、ロゼに話したら大層驚かれている最中なんだけど。

なんでなのかしら?

 

「え、だって篠原夏月の死因って、番組で特集組まれる程謎めいていて、出演者があーでもないこーでもないって、憶測で話してて。僕そんな番組、結構見てた方だったから」

「それ、結構悪趣味だと思うわ」

 

人の死因で番組作成するなんて、お父様達は何してたのかしら。

 

ちょっとムッとなって、サンドイッチを大きく頬張る。

 

「霊能者だっていう人が一回、篠原夏月の霊を呼び出したって言って、なんか死因語ってたけど。何だっけ、不治の病にかかってたとか何とか」

「それ、全くの出鱈目ね。というかお父様達何やってたのかしら。故人とはいえ、実の娘がこんなにゴシップに晒されていたというのに」

 

まぁ大方、真子の教育に手を焼いていたのだろうが。

あたしが亡くなって、総帥を継げる器がいなくなってしまったのだから、真子に白羽の矢が立つのは当然。

今まで何の教育も受けて来なかった者が、いきなり総帥になる為の勉強を受けさせられ始めたのだから、個人のゴシップなんて気にかける暇もなかったのでしょうね。

 

お父様も気の毒ね。

あの子、カヅキの事を想い続けてたって話だし。

勉強に身が入ってたかどうかも怪しいわ。

今カヅキが女になってるって知ったら、卒倒しそうだわあの子。

 

それはそれで見てみたい気もする、と思ってしまうのは、あたしも性格悪くなったなと感じなくもない。

 

「そういえば、記者会見もしてたっけな。次期総帥は、姉の遺志を継ぎ妹がー、とか。難しい話ばかりで、そこら辺しか覚えていないけど」

「ふぅん。憶測だけれど、妹は結構嫌がったと思うわよ。あたしの後を継ぐなんて。あたしは妹を嫌いではなかったけれど、あっちはあたしの事嫌いだったしね」

 

姉妹仲は悪くなかったと思う。

昔は仲良く話せていたくらいなのだ。

カヅキの事が絡まなければ、だけど。

 

「シャルも苦労してきたんだな」

「まぁね。あの子、カヅキにご執心だったから。それを侍らせてるあたしが気に食わなかったんでしょう。まぁ、あたしには何にも響かなかったけどね。努力もしないで、利益を貪ろうなんて…ど三流も良いとこだわ。ご馳走様でした!」

 

手を合わせて言う。

そして、誰にも聞こえない声で呟いた。

 

「カヅキを本気で奪いたかったのなら、それ相応の努力をすれば良かったのよ…」

 

そうすれば、お父様達も少しは考えてくれたかもしれないのに。

 

「美味しかった、ご馳走様」

「ルティ、良かったね。みんな美味しかったって」

 

小さくなったルティに話しかける。

彼はあたしの肩から少し顔を出し、応、と一声だけ声を出し、引っ込んでしまった。

 

褒められて、恥ずかしいんだろうなぁ。

 

「無論、我が夫が作りし物は全て美味に決まっておろう!」

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