転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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83.生徒会長とお話しします

上下逆さまになっている場所もあり、そこはゆっくり上がり、落ちる際またスピードが出て、恐怖感を煽る。

横目でナズナを見るが、彼は腕を組み口を一文字に引き結んで、耐えているようだった。

 

これ、何か食べてたら吐くレベルだわ…。

 

そう思うのは仕方ないのだが、恐怖感がすごい。

これでトラウマを付与される生徒も少なからずいるのではないか、と思うぐらいに。

 

やっと元の発着場所に戻ってきて、乗っていた生徒達はヨロヨロになりながら降りていく。

 

あたしも降りるが、ナズナが中々降りようとしない。

 

「ナズナ? 大丈夫?」

「…すまん、少し酔った…」

 

吐くほどではないが、顔が青ざめている。

あんなスピード、経験した事はないだろうからそれは当たり前なのだが、待っている生徒達がいるのだ。

早く退かないと。

 

「手を貸すから。立てる?」

「すまん」

 

ナズナを引っ張って、席から立ち上がらせる。

操作席の横を通り過ぎる際、ターニャが苦笑していた。

むしろナズナの立ち位置になるのは、あたしだったはずなのに、とでも言いたげに。

 

◆◆◆

 

校内にあるベンチに座り、ナズナに膝枕をしてあげる。

ハンカチを水魔法で濡らし、その状態を維持しながら彼の額に乗せてあげた。

 

「すまん…みっともない姿を…」

「別に気にしてないわ。むしろ、あたしの我儘に付き合ってくれてありがとう、ナズナ。今度は、もっと大人しい乗り物に乗りましょうね」

 

彼の頭をゆっくり撫でて、微笑む。

弱い姿を見せたくないと思っているのだろうが、そんな姿ももっと見せて欲しい。

 

そんな事を彼に言ったら、拗ねてしまうのだろうけど。

惚れた人には格好良い所を見せたいのが、男の人のプライドだと、どこかで聞いた事があったから。

 

ゆっくりしていると、雪色の髪、青色の瞳をした男子生徒が近付いてきた。

 

「こんにちは、ナズナ殿下。シャルロットさん」

「こんにちは、生徒会長。あたし達に何か御用ですか?」

 

確か彼は、ライオット・アズール。

この学校の生徒会長をしている、3年生。

アズール家の嫡男で、彼の家は貿易で国を支えている家の一つだったはずだ。

そんな人が何の用だろうか。

 

「いえ。お姿が見えたもので、ご挨拶にと」

「随分律儀だな、ライオット。お前がそんな殊勝な奴だったとは知らなかったぞ」

 

やっと本調子に戻ったのか、ナズナがハンカチを取って起き上がった。

 

「おや、ナズナ殿下。僕はそんな不誠実に見えますか?」

「金勘定しか頭にないだろうが、貴様は。誰がどんな利益を生み出すか、どうやって動けばそれが自分に転がり込んでくるか。お前の良い所は、利益を生み出すとしても犯罪に手を染めない所だけだ」

 

おやおや、手厳しい。

 

ライオット先輩は、そんな事を言い、ナズナを見て苦笑しているようだった。

目は全く笑ってはいなかったが。

 

「で? 俺達に何の用だ」

「いえ、今年僕が企画した催し物があるんですが、それにシャルロットさんもいかがかと思いましてね」

 

チラシらしき物を、ライオット先輩はあたしに差し出してくる。

それを読むと、どうやら歌唱大会というものらしい。

誰がこの学校で一番の美声か、というものを競うようだ。

 

「くだらんな。シャルの声は誰よりも素晴らしいものだろう」

「いえいえ、彼女よりも美声を持っている方がいらっしゃるかもしれませんよ?」

 

二人の間で火花が散っているように見える。

 

「あの、殿下の護衛をしなければならないので、お断りを…」

「良いではないか、我が主」

 

声のした方を見ると、ルティを引き連れてレヴィが何かを食べながら歩いてきていた。

寮で大人しくしているかと思えば、祭りだというので出てきたのだろう。

ルティに怒られたからか、この間から彼女は白いコートを着用し始めたのだが、それは腕の辺りまで下げられて着られている。

それに若干、肌の露出が増えたような気がするのは気のせいだろうか。

 

「貴女は?」

「我が主の使い魔よ、小童。我が主、其奴の護衛は我々がしようぞ。この場所で、妾の主が一番でないとはいただけぬ。周りを圧倒するが良い」

 

はっはっは、と笑っているレヴィの後ろで、ルティが申し訳なさそうに笑っていた。

彼の表情から察するに、我が妻の暴走を止められずすまない、だろうか。

 

いつもの動物型ではなく、人型で来ていて不審者として捕まえられていないのも、多分彼が守衛を説得したからだろうなと推察出来た。

でなければ、入り口辺りで騒ぎになっていてもおかしくない。

 

「ルティ、止めるならちゃんと止めてちょうだい」

「すまない、我が主。言っても聞かないのだ」

 

まぁ、レヴィの性格を考えたらそうでしょうね。

今が幸せそうならまぁいいか、と思ってしまうほど、あたしもレヴィに甘いのだけど。

 

「ナズナ、どうしよう」

 

一応雇い主であるナズナの判断を仰ぐ。

彼が駄目だと言えば、この件は無かった事になるのだが。




レヴィの格好は、FGOの上杉謙信イメージです。
あの格好、どういう表現したらいいんだ…。
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