転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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88.調査に行きます

「調査ですか?」

 

もうそろそろ期末試験だという時期に、ギルドマスターであるアルテミシアさんが、あたし達を訪ねてきた。

校長に応接室を借りて、あたしとナズナ、ロゼで話を聞く。

 

「あぁ。ベルベット山という所があってな。リューネ国では霊峰と言われている山だ。そこは季節問わず紅葉が素晴らしいところでな。観光地にもなっているんだが、ここ数ヶ月吹雪で閉ざされてしまっている。その原因を調査してきて欲しい」

「他の方には頼めなかったのですか? 一応、あたしや殿下、ロゼは学生です。これから期末試験に向けて、勉強もしなければなりませんし…」

 

今回期末試験の範囲は広い。

流石のあたしも、一から見直さなければ点数を落としてしまうだろう。

ナズナやロゼも然りだ。

だから、マスターの依頼は受ける事が出来ないだろう。

そう言ったのだが。

 

「期末試験は免除すると、校長から言質は取った。だから、何も心配する事はない」

 

横でロゼは喜んでいるのだが、あたしはそれ良いのか? とナズナの方を見る。

彼は腕を組んで難しい顔をしていた。

 

「…アルテミシア。俺達に話を振ってくるという事は、称号持ちでないと解決出来ない事態だと予測するが、どうだ?」

「その通りだ。殿下は察しが良くて助かる」

 

その言葉に、危険な場所だと気付いたロゼの顔が、途端に青くなる。

あたしは苦笑しながら、彼の頭を撫でた。

 

「調査員を派遣したが、誰一人戻って来なくてな。一般のギルド員を行かせたら、拙いと判断した。他の称号持ちも、別の仕事で遠方にいるものが多数だ」

「だから、近場の俺達に声がかかったわけか…」

 

彼が少し考え始めるが、あたしは声を上げる。

 

「あの、あたし一人で行きます」

「「シャル?!」」

 

ナズナとロゼの声が同時に、両方から聞こえた。

両隣に座って、あたしが真ん中に座っているのだから当たり前なのだが。

そして両方から肩を掴まれた。

 

「何を言っている、お前が行くなら俺も行くからな!」

「危険な場所だって言ってたじゃん! 何でそう猪突猛進なの、シャル!」

「あー! 五月蝿い!!」

 

両隣で喋らないで欲しい。

ただ喧しいだけだから。

 

思わず耳を塞いでしまったあたしに、アルテミシアさんはケラケラと笑っていた。

 

「で、受けてくれるのか?」

「シャルが行くと言った。なら、断る義理はない」

「ぼ、僕も怖いですけど、シャルが行くなら行きます」

 

あたしを理由にしないでもらいたい。

大体、あたし一人で行くと言ったのに、どうして二人も行くという話になっているのか。

 

あたしはため息をついてしまう。

 

「よろしく頼む、光姫」

「…はぁ」

 

引率になるんだろうな、このメンバーだと。

 

行く前から、少し憂鬱になってしまった。

 

◆◆◆

 

アルテミシアさんの事前情報通り、ベルベット山は吹雪いて雪に閉ざされてしまっていた。

麓はそうでもなかったのだが、一歩山に踏み入れるともう別世界。

ホワイトアウトしてしまっている。

 

「寒い寒い寒い!!」

 

いくら制服が冬服仕様だからって、この寒さは想定外だろう。

ロゼが寒いを連呼し始めたので、あたしは創造魔法でスキーウェアを出し、ロゼに着せた。

 

登山の時もだが、雪山に行く際は出来るだけカラフルな物を着て行くよう、教えられた。

真っ白の雪山の中、遭難してもすぐわかるように、だったか。

ロゼにはピンク、ナズナには黄色を着せる。

あたしは青を着込んだ。

 

「うーん…信号機の色」

「あ、シャルも思った? 僕も」

 

二人でクスクス笑っていたが、ナズナだけわからないので、彼は首を傾げている。

 

「シンゴウキ…?」

「3色の色がついた、機械って言ったらいいのかな」

「それちゃんとした説明になってないよ、ロゼ…」

 

ナズナに詳しく説明すると、便利だから今度ベルファに作ってもらおう、と言い出した。

 

「いや、馬車にそれは必要ないと思うわ。むしろ、誘導員を増やした方が、交通の便は良くなりそうではあるけど」

 

そうか? という彼に、そうよと返す。

というか、この異常気象の原因を探さなければならないのに、こんなにまったりしてて良いのだろうか?

 

「真っ白で何もなさそうなんだけど」

「視界も悪いな。もし崖があってもわからんぞ、これは」

 

ホワイトアウトしているから尚更だろう。

あたしは雛桔梗に問いかけた。

 

「雛桔梗、この周囲で何か気になるものはない?」

【はい、我が主。右側前方、洞穴があるようです】

 

洞穴?

ここ、登山道のまだ入り口のはずなのに?

 

「その場所、撃ってくれる?」

【了解致しました】

 

雛桔梗を展開させ、魔力を集めて彼女に操作を渡して撃って貰う。

確かに彼女が言った通り、右側前方に洞穴が姿を現した。

 

「洞穴?」

「あそこで休もう! シャル早く!」

 

ナズナが怪訝な顔をする中、ロゼが真っ先に洞穴に向かって走って行ってしまう。

 

「ちょっと、ロゼ! 危ないでしょ! ちょっと待ちなさいって!!」

 

あたしもロゼの後を追って走る。

ナズナも追走してくれたらしく、洞穴に着く頃には三人が雪の難から逃れていた。

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