転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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89.氷の城発見です

「一人で先行しない! 何かあったらどうするの! ここまだ登山道で、洞穴なんてあるわけないのよ?!」

 

先に洞穴に辿り着いたロゼへ、あたしはお説教を始めた。

 

「うわーん! ごめんなさーい!! でも猪突猛進のシャルに言われたくはないというか…」

 

最後の呟きに、あたしはロゼを睨む。

 

「お説教の最中に、言い訳しない!」

「ごめんなさーい!!」

 

ベソベソ泣くロゼにため息をついて、あたしはナズナを見た。

彼は洞穴の壁に触って、何か考え込んでいるようだった。

 

「ナズナ、何か気になる事でもあったの?」

「いや…確かに、シャルの言う通り、ここは登山道だったはずだ。俺も何回か、王族の興行で来た事がある。こんな洞穴はなかったはず、なんだが…」

 

壁を触りながら、ナズナは難しい顔をする。

 

「自然に出来た物のように感じる。そんなはずないんだが…」

「ナズナ、土属性持ってないでしょ。わかるの?」

 

問うと、わからんと返事が返ってきた。

あたしも周りを見てみるけど、自然に出来た洞穴のように感じる。

入り口から奥へ向かって風が吹いていることから、まだ先があるようだった。

 

「雛桔梗、奥がどうなってるかサーチしてもらえる?」

【はい、我が主。マップ表示します】

 

あたし達が話している間、洞穴の中を調べてくれていたらしい。

うちの相棒、優秀過ぎない?

 

「何これ」

 

雛桔梗は立体データで、この洞穴を表示してくれたのだが、まっすぐ行った先が空洞になっており、更に城っぽい何かが建っているのが見てわかる。

 

「城だな」

「お城だね」

 

二人も同意見なのだが、問題はそこじゃない。

 

「何でこんな洞穴に、城なんて建っているの?」

 

これがもし、自然に出来たものだったなら、観光の目玉になっていてもおかしくない。

だが、先程ナズナも言っていたが、こんな洞穴は本来存在しないのだ。

 

なら、答えは一つ。

 

「この吹雪の原因が、この先にいるという事か」

 

ナズナがあたしと同じ結論に至る。

あたしは彼に頷いた。

 

「あたしが先行するから、真ん中ナズナ、殿ロゼね」

「え。うん、わかった…」

 

自信なさげに返事するロゼに、あたしは若干不安を覚える。

 

「ロゼ、授業でも戦闘訓練あったでしょ? 何でそんなに自信なさげなの…」

「いや、僕の運動っぷりシャルなら知ってるでしょ…」

 

うん、同じクラスだから知ってる。

むしろナズナもわかっているから、頭痛そうにこめかみ押さえてるし。

 

「何も無いところでコケるし、力の加減間違えて魔法暴発するしで、僕実技苦手なんだよ…」

「わかってるなら頑張りなさいよ…」

 

おかげで、彼の実技の相手はずっとあたしだ。

ナズナにも任せたいけれど、魔法の暴発を抑えるのは、彼では無理だと判断した。

下手したら、ナズナが死ぬレベルの暴発加減で、先生も匙を投げたくらいなのだから。

 

投げるなと言いたいが、こればかりは仕方ないか。

 

「わかった。レヴィとルティ呼ぶから待って」

 

二人一緒に呼ばないと、レヴィがヘソを曲げてしまうので、呼ぶ時は二人一緒だと決めさせられた。

主に、ルティからの嘆願で。

 

あんまり寒い所にレヴィ呼びたくなかったんだけど、仕方ない。

 

召喚(サモン)!」

 

魔法陣を展開し、二人を呼ぶ。

二つの魔法陣からそれぞれ転送されてきた。

 

「さーむっ!! 我が主、寒いんだが?!」

「だからちゃんと着ろと言っているであろう、我が妻。(われ)のコートも貸してやる故」

 

出現した瞬間、レヴィがガタガタ震え出し、文句を言い始める。

そんな彼女へコートをちゃんと着せた後、ルティは自分のコートを差し出した。

 

「ごめん、レヴィ、ルティ。ロゼのサポートお願い」

「またか小童! この代償は高くつくぞ?!」

 

ロゼへ威嚇するレヴィに、ルティが軽く彼女の頭を叩く。

 

「痛いではないか! 我が夫!!」

「我が主の命だぞ。謹んで執行するべきだ。そうだろう、我が妻よ」

 

それはそうだが、とレヴィがしょんぼりしてしまった。

 

「はい、行くよー」

 

今日も今日とて、引率っぽいなーと思ってしまう。

レヴィとルティがいると尚更だった。

 

◆◆◆

 

暫く歩いていると、広い所に出る。

 

「うわ、何これ…」

 

目の前に現れた城を見て、最初に抱いた感想をまた口に出した。

 

氷で出来た城が、そこに鎮座している。

大きさは王城であるリヒト城よりは小さいながら、確かに城と呼べる代物だった。

 

「城だな」

「いや、見ればわかるのよ」

 

あたしの疑問に答えてくれただけなんだけど、思わずツッコんでしまう。

それにしてもここは異様だ。

 

「ロゼ、召喚獣を呼んで警戒体勢。レヴィは、周囲を警戒。あたしが先行で中の様子を見るから、ルティはナズナを警護して。ナズナは取り敢えず動かない事」

「なんでだ」

 

眉を寄せ、彼は不満そうに言う。

 

「貴方に何かあったら、あたしが生きていけないからよ」

「お前に何かあっても、俺は生きていけないんだが?」

 

そう返してこないでよ。

ちょっと口元がにやけてしまうじゃないの。

 

「僕、いない方がいいんじゃないかなー…」

「言うな、小童。主達はいつもあぁぞ」

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