転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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9.隊長と戦闘開始です

あと、ユキヤ君がすっごい慌ててたから可哀想になったというのもある。

 

「勝者、シャルロット!」

 

ニーナさんの判定で闇縛を解除した瞬間、カナリアさんがあたしに抱きついてきた。

 

「次は絶対負けないからね!」

「ないことを祈りたいんですけど」

 

にゃはは、と笑いながら彼女は手を振ってくる。

オリヴィエさんも会釈をして、ユキヤ君の傍に戻って行った。

 

「では、次は私が相手だな」

「まだ数人残ってますけど」

 

カナリアさん達の向こう、若干青い顔をした隊員達がいる。

だが、ニーナさんが首を横に振った。

 

「あれらのクラスでは、すぐにお前に倒されて終わりだろうよ。出す必要もない」

「さっきと口調変わってますけど、どちらが素なんですか?」

 

結界内に入ってきたニーナさんに尋ねる。

横を見てみると、さっきまでニーナさんが立っていた位置にナズナ君が来た。

判定は彼がしてくれるらしい。

 

「すまんな、社交的に振る舞う時はあちらなのだが…」

「騎士としてはそちらなんですね。合ってるので、普段からそちらでもいいと思いますよ」

 

雑談をしながら、あたしは深く呼吸する。

ニーナさんは、カナリアさん達の実力以上だと見て間違いない。

でなければ、隊長など務まるはずもないだろうから。

 

「準備はいいな? それでは、始め!」

 

ナズナ君の開始の合図に、ニーナさんは刀身を出して魔力を付与する。

轟々と炎が剣を染め上げ始めた。

 

「魔法剣ですか」

「ご明察。そして、これはどうだ!」

 

魔法剣を振り上げ、剣圧と共に炎があたしに襲いかかってくる。

咄嗟に避け、魔法剣の弱点を観察しながら探していく。

 

魔法剣は魔法の一種で、自分の魔力を剣に纏わせる技術。

その威力は広範囲にも及ぶ。

無論、打ち合いになれば相手に最もダメージを与える事ができる。

自分の魔力なのだから、自分がダメージを受ける事もない。

唯一の弱点は魔力が尽きたら出せない点だが、通常の魔法を撃つより魔力の消費が少ない為、魔力切れを狙う事もできない。

 

だったよね、確か。

 

ニーナさんの攻撃を避けながら、思考する。

 

物理で剣を折ってもいいけど、その際あたしも負傷する。

魔法で攻撃した所で、小技で攻めても弾かれて終わり。

あの炎以上となると大技しかない。

 

「ニーナ隊長、この簡易結界どのくらいの威力の魔法までなら耐えられるんですか?」

「大竜巻や大渦潮で耐えられるんだ、それ以上でもいけるだろうよ!」

 

ゴウッ、と炎があたしの横を凪いでいく。

あと数歩下がるのが遅かったら、右半身がイカれてた。

 

「避けるだけで、攻撃は無しかシャルロット!!」

「お望みなら、反撃いたしましょう?」

 

ニーナさんから距離を取って、あたしは詠唱を始める。

 

「閃光の徒よ、我に集いで善を成せ」

「やらせるか!!」

 

ニーナさんが突っ込んでくるが、詠唱はこれで終わり。

というか、魔力も魔法力もマックスなので、詠唱なしでも発動は出来るのだけど、一応危機感を持っていただきたかった、という思惑はあった。

 

電磁砲(レールガン)!」

 

電気を纏った剣が、ニーナさんの剣に突っ込んでいく。

同時にあたしも脚力強化で走り出し、剣が弾かれたの見るや否や、ニーナさんの腕を取り、地面に組み伏せた。

 

「勝者、シャル!」

 

ナズナ君が判定を下す。

その声を聞きつつ、ニーナさんに話しかけた。

 

「あの、すみません。肩とか外れてないですか?」

「お前、平然とそういう事を言うんだな。うん、私は無事だ。さて」

 

ニーナさんの上から退き、尋ねる。

あたしに答えつつ簡易結界を消し、ニーナさんは陛下の前に行き跪く。

 

「陛下、彼女は親衛隊に入隊できるほどの腕前でございます。是非、我が隊へ」

「うむ。そう言えば、ナズナ。そなた随分とこの娘を気に入っているようだったな? 専属護衛にしておくか?」

 

あたしに近付き、声を掛けようとしていたナズナ君へ、陛下は問いかけた。

 

「…そうだな。専属はいなかったし、シャルなら甘さはあれど、仕事なら捨てられるだろ」

 

そう言ってナズナ君は、あたしの頭を撫でる。

高身長にさせられたけど、ナズナ君はあたしより頭一個分大きい。

元の身長なら、鳩尾あたりくらいだろうか?

 

「頭撫でないでいただけませんか? 殿下」

「ナズナで良い、そう呼ぶ事を許す。あと気安くしても構わん、それで処罰はしない事を約束しよう」

 

若干嫌そうに言ったのだけど、ナズナ君…もとい、ナズナはニヤリと笑いながら撫でるのをやめない。

 

「オリヴィエ、無事で良かった」

「だから言ったではないですか。大丈夫ですよ、と」

 

向こうは向こうで、ユキヤ君が心配そうにオリヴィエさんに話しかけている。

ちょっと良い雰囲気なのは、ただの主従だから…だよね?

 

「いい加減頭撫でるのやめなさいよ、ナズナ」

 

小声で抗議すると、ナズナはにこりとしながら手をやっと退けた。

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