転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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92.助けに行きます

ひとしきり泣いた後、あたしは立ち上がった。

スキーウェアを脱ぎ捨て、とても冷たい声で言う。

 

「レヴィ、ルティ。起きよ」

 

二人が起き上がり、あたしの前に頭を垂れた。

彼らは何も言い訳などせず、あたしの沙汰を待っているようだ。

 

「この体たらく、何とする」

「面目次第も無く」

「申し訳ない、我が主」

 

あたしは今、とてつもなく怒っている。

彼らに対しても、自分に対してもだ。

 

何故(なにゆえ)、あのような事をした。誰が追撃しろと言った。答えろ」

「我が主が、動揺しているのに気付いて…」

 

そう言うレヴィの、顔面を掴む。

 

「私は、追撃しろと言ったか?」

「…いいえ。我が主は何も申しておりませぬ。この不手際、我らに雪がせていただきたく…」

 

ルティが冷や汗を垂らして言った。

あたしはレヴィを投げ捨てる。

 

あたしが本気で怒っていると、彼らは理解したようだ。

 

自分への不甲斐なさに押し潰されそうだ。

彼らに八つ当たりをしているのもわかっている。

しかし、もう嘆いている暇などない。

 

ナズナが、いなくなるかもしれない。

 

そんな恐怖があたしを突き動かす。

だから自然と、彼らに対して冷たい視線を投げかけてしまった。

 

あたしは二人に命を下す。

 

「レヴィはロゼを退避させ次第、戻ってここを徹底的に破壊しろ。何をしても構わん、私が許す。ルティは私に続け。ナズナの命が亡くなっていたら、わかっているだろうな」

「「はっ!!」」

 

レヴィはロゼを抱え、転移していく。

あたしはルティを引き連れ、城のホールへ足を踏み入れた。

雛桔梗を全展開させ、スラスターを全開にして飛ぶ。

壁や扉は力任せに、魔法を放ってぶち壊していった。

 

【我が主。ナズナ様の反応は上に】

「そこまで飛べ、雛桔梗。一刻の猶予もないと知れ」

 

御意、と雛桔梗が言い、あたしの魔力が半分持っていかれる。

今までとは段違いなスピードで、上層部分へと上がっていった。

 

「ルティ、付いてきてるな?」

「は。我が主」

 

ルティに話しかけると返事が返ってくる。

上層部から滲むように闇が這い、そこから魔物の群れが出現した。

 

「露払いをしろ」

「御意」

 

あたしの後方からとてつもないエネルギーが集まっていくのを感じる。

放たれる瞬間、あたしは横に避けた。

あたしの真横を、ルティのドラゴンブレスが通り過ぎていく。

 

「私ごと焼き殺すつもりか、貴様」

「我が主が避けられると、信頼していたまででございます」

 

そう言うルティに、あたしは舌打ちを返す。

さっきレヴィを投げ捨てたから、意趣返しのつもりなのだろう。

愛妻家を怒らせると、怖いという事か。

 

「雛桔梗、武装展開。全力で焼き払え。私が渡した魔力、まだ残っているな?」

【はい、我が主。ですが、飛行にかかる魔力も消費する事になります。実行しますか?】

 

その言葉へ、あたしはニタリと笑って返した。

たったそんな事を、今気にすると思ったのか。

 

「構わん。撃て」

【全武装展開。掃射します】

 

あたしの周りに銃火器が召喚され、周囲を破壊していく。

スラスターが止まり、自由落下が始まろうとしていた。

あたしはそれへ、重力魔法を使い止める。

 

「…見えた」

 

最上階と思しき場所に、黒色の結界らしきものが現れた。

雛桔梗も、ナズナはそこだと言う。

あたしは片手をそこへ向けた。

 

「我が前に扉は存在せず。我が歩みを止める事叶わず。我の行く道阻む事、死と同義と心得よ!!」

 

手の内に魔力が集まる。

あたしは、魔法を唱えた。

 

解錠(バーゼム)!!」

 

バリン、と結界に罅が入り、あたしはそこを勢いをつけて蹴破った。

土煙を上げながら中に入り込むと、ナズナにしなだれかかる女と、口の端から血を流している彼の姿。

 

「ナズナ…」

「派手な登場だな、シャル…。流石は、俺の妃だ」

 

喋る事すら辛そうな彼の姿に、血の気が引いた。

それでもあたしを心配させないよう、弱々しげながら微笑んでくれる。

 

あたしは女に殺意を向けた。

 

「いつまでしなだれかかっているつもりだ、女。私の夫だ。離れろ」

「ふふふ、こわぁい」

 

そういう女の足を、召喚した刀で叩き斬る。

ガクリと、立てなくなった女は崩れ落ちていった。

 

「質問してやる、ありがたく思え。ナズナをこんな状態にしたのは貴様か」

 

崩れ落ちた女の腹に足をかけ、刀を女の腕の少し上で止める。

 

「足が無くなっちゃったわ。歩けないじゃない」

「お前が答えていいのは、YESかNOかだ。それ以外の言葉を、許した覚えはない」

 

そう言い、あたしは女の腕を切り落とした。

 

「もう一度言う。ナズナをこんな状態にしたのは貴様か」

 

女はニヤニヤと笑うだけで答えようとしない。

その表情に、あたしの殺意は高まった。

 

「質問に答えないという事は、よほどその舌いらないと見えるな?」

「!?」

 

女の腹にかけていた足に全体重を載せ、歯が折れる勢いで口の中に手を突っ込む。

そして有無を言わさず舌を引きちぎった。

 

「………っ……っ………っ!!!」

「声無き声で叫んだところで、私に届くと思っているのか下郎」




これを書いている時のBGMは、ミスアンドロイドのシアターDでした
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