転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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98.念書を交わしました

あたしの後に入ってきたターニャが、あたしに紙とペンを渡してくる。

あたしは魔法を使い、紙にペンを走らせた。

出来上がった文書をナズナとお義父様の元へと渡す。

 

「ふむ…」

 

お義父様はそれを見て、少し眉を寄せた。

そしてあたしへと尋ねてくる。

 

「この条件、ナズナ君には厳しすぎませんか?」

「何がでしょう? 守っていただけるなら、殿下に何一つ不利益などございませんとも。破られた場合のみ、適用されるのですから」

 

ニコリと笑うあたしに、うちの娘は手厳しいですねぇ、とお義父様は苦笑いをした。

背後にいるナズナは、文書を読んだ後あたしの方を見る。

 

「シャル、良いのか?」

「破ったらどうなるかの念書ですもの。良いも悪いもないわ」

 

念書の内容は以下の通り。

 

1、喪が明けた暁には、シャルロット・マリアライト・テスタロッサを婚約者とする事

 

2、過剰なスキンシップは禁止とする、ただしシャルロットが許可した場合は除く

 

3、度が過ぎた行動は禁止する

 シャルロットがダメだと言ったら従う事

 

4、無事婚姻まで成立したら上記は破棄して良い

 

これらが守られない場合、ナズナはシャルロットを諦め、手放す事。

シャルロットは専属護衛と親衛隊を辞め、領地の経営に専念する事。

シャルロットが誰と婚姻してもナズナ以下王族は口を出さない事。

 

これが二人に渡した文書の内容だ。

どこが手厳しいというのだろう。

 

ナズナはそれに署名し、お義父様に渡した。

お義父様も自分が持っていた方に署名し、それをナズナへと渡す。

2枚があたしの元に戻ってきたので、一枚をあたしが、もう一枚をナズナに返した。

 

「破ったらこうなるからね。取り敢えず、あたしの貴方への評価は、今マイナスに行ってるから。これ一個でも破ったらどうなるかお分かりよね、殿下」

「わかっている。すまなかった」

 

ナズナがあたしに謝罪してくる。

腰を90度に曲げて。

その姿を見て、お義父様は驚いたようだった。

 

「王族に腰を折らせるとは…シャルも罪な女ですねぇ」

「だって、お義父様。裸見られたんですもの。これくらいしてもバチは当たりませんわ」

 

あたしの言葉に、ターニャとお義父様の眼光が光る。

 

「ナズナ君、ちょっと私とお話ししましょうか?」

「旦那様。私も殿下にお話がございますので、3人で話しましょう。リアラ、リリス。お嬢様をお部屋へ」

 

お義父様の執務室から二人に連れ出され、手を引かれながら部屋に連れて行かれた。

今頃ナズナは二人からお説教されている事だろう。

 

◆◆◆

 

学校の方には、アルテミシアさんの方から連絡がいっているようで、一週間くらい休んでいいと彼女から言われていた。

 

まさか1日で解決するとは思ってはいなかっただろうが、この機会にゆっくりさせてもらおう。

 

一週間のうちに期末試験があり、来週は終業式がある。

それまでここでのんびりするつもりだった。

 

ナズナ?

城に返しますけど、何か?

 

夕飯の時間になり、呼ばれて食堂に行ったが3人の姿はなく。

まだ話し合いというお説教が続いている事を察した。

 

夕飯も食べ終わり、お風呂にも入れてもらい、部屋でゆっくりしていると、扉がノックされる。

はい、とノックした主に返事をしたら、

 

「あの、シャル…その…」

 

と元気がないナズナの声が聞こえてきた。

 

「何か用?」

「いや、その…」

 

あの念書があるせいで、強気にいけなくなったのだろう。

少し反省してほしいのだが、それを理解しているのだろうか。

 

「何?」

 

扉に近付き、如何を問う。

ナズナは暫く無言だったが、スリ…と扉を少し擦る音が聞こえ、

 

「…いや。声を聞きに来ただけだ。すまない。お前がいてくれるだけで、俺は充分だ。だが、これだけは言わせてくれ。愛してる、シャルロット。もう夜も更けてきた。最近寒くなってきたからな、風邪をひかないように気を付けろ。じゃあ、また一週間後に。おやすみ」

 

そう言い、彼は扉から離れた気配がした。

 

あぁ、本当にあたしは甘い。

あんな事を言われたら、少しは許してしまうじゃないか。

 

「…ナズナ」

 

扉を開け、彼が去って行こうとする後ろ姿を見る。

ナズナは振り向きこそしなかったが、立ち止まっていた。

 

「…項目2。あたしが許可したら、いいってやつ。抱きしめるくらいなら、許す…」

 

言い終わると、彼は踵を返してあたしを抱きしめてくる。

 

「…シャル。シャルロット、ありがとう…」

「別に、ここまでなら構わない。それに…ごめん、少し寂しくなってしまったの…」

 

あたしもナズナを抱きしめ返し、彼の体温を感じて幸せな感情を感じてしまった。

 

「あぁ。俺も寂しい。シャルと離れたくない」

「過度なスキンシップじゃなければ良いのに…貴方加減ってものを知らないから…」

 

上目遣いで睨む。

それを見た彼は、困ったように笑った。

 

「お前が愛おしいんだ。他の女で練習ってわけにはいかないだろう?」

「そんな事したらはっ倒すわよ」

 

しないさ、と彼はあたしの頬に触れる。

 

「…キスは、どこまで許される?」




イチャイチャさせるのたのしー
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