転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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99.怒られちゃいました

「貴方懲りてないのね…。ここ廊下なの。部屋の中ならまだしも、廊下でそんな事したら怒るわよ?」

 

言い方がキツくなってしまったが、少し常識というものを覚えたらいいと思うのだけど。

 

「…すまない。今日はもう帰ろう。これ以上だと、俺が暴走しかねない」

 

そう言って、彼はあたしから離れた。

体温が離れていってしまって、また寂しさに襲われる。

 

我慢しろあたし。

ナズナの為にならん。

 

「どうやって帰るの? 転位門ってうちにあったっけ?」

「ベルファが登城で使ってる門がある。それを使わせてもらうさ。おやすみ、シャル。良い夢を」

 

ナズナはあたしの手を取り、それに口付けを落としてくる。

そのまま名残惜しげに離して、彼はあたしに背を向け去っていった。

 

「………」

 

あたしは、部屋に戻りベッドに横たわると、ナズナが口付けしてくれた手を自分の額につける。

 

好きという感情が溢れる。

あたし達が何のしがらみもない、ただの平民だったのなら。

こんなに周囲の目を気にしなくて済んだのに、と何回思った事だろう。

 

「落ち着け、あたし…」

 

自分の欲は封じると、決めたではないか。

彼には、立派な王になってもらわなければならないのだから。

その隣に立てるよう、あたし自身だって努力しなければならない。

武力でも、知力でも。

誰よりも、負けない自分にならなければ。

 

「ナズナ…好き…」

 

自身の手の甲に口付けを落とす。

彼を少しでも、近くに感じたかった。

突き放したのは自分だというのに、なんと滑稽な事だろうと、唇を離した後笑ってしまった。

 

◆◆◆

 

『甘い、甘過ぎる! お前はなんでそんな甘ちゃんなんだ! お前の頭の中お花畑か?!』

 

あの念書の内容に若干の不安を覚え、翌日カヅキに連絡を取り念書の内容を話したら、そう怒鳴られてしまった。

あまりの大声なので、あたしは耳を塞ぐ。

 

「や、やっぱり甘かった?」

『ゲロ甘だ。その場にターニャさんいなかったのか?』

 

そう言えば紙とペンを貰った後、彼女は一時その場を離れていた。

多分リアラとリリスを呼びに行っていたんだろうけど。

 

「いなかった。もう署名してもらってるから、変えようが無いし…」

『次からはターニャさんに一回見せてから、アイツに渡すんだな』

 

盛大にため息を吐かれてしまって、あたしはしょんぼりとしてしまう。

 

「お嬢様に書類の書き方等をお教えする前に、お亡くなりになられてしまいましたから。これから教えていきますので、お覚悟を」

「あ、おはようターニャ」

 

カヅキとの話に夢中で、ノックの音が聞こえていなかったらしい。

部屋に入ってきたターニャに朝の挨拶をする。

 

『師匠、マジで教えといた方がいいですよ』

「おはようございます、お嬢様。そうですね。まぁ、ナズナ殿下には昨日私と旦那様で、懇々と何が駄目だったのか等ご説明をさせていただきましたので、少しは懲りているかと思われますが…この2個目の部分は私が許可する場合に変えておきましょう。とりあえず、抱き合うのと手を繋ぐまでは許可しますとナズナ殿下にお伝えください」

 

昨夜あたしが持っていた念書をターニャが見つけ、これは旦那様に渡しておきます、と部屋を出て行った。

 

「…えと、どういう事?」

『書類に不備があったって言って、ナズナに新しいやつ送るんだろ。ベルファさんの署名入りの。んで、それをお前が回収してこいって事かね? さっきの言伝覚えてるな? 回収ついでに言えってこったろ』

 

なるほど。

一週間くらい会わないつもりだったんだけど、そういうことなら行ってこようかな。

 

オリヴィエさんからも、一週間皆で交代してナズナの護衛をするから、養生しろって手紙が今朝来たばっかりなんだよね。

 

「わかった、行ってくるね。ありがとう、カヅキ」

『おう、頑張れよ』

 

カヅキとの通信を切った後、あたしは朝食もそこそこに、ナズナの部屋の前へ飛ぶ。

深呼吸してから、扉をノックした。

 

「…返事がない」

 

いつもならこの時間、起きて政務をこなしているはずなのに。

そっと扉を開けると部屋は暗く、机の上に突っ伏したナズナが見てとれた。

珍しい場面に遭遇して、あたしは固まってしまう。

 

え、嘘。

ナズナ寝落ちしてる?

 

呼吸音は聞こえていたので、死んではいないのはわかったのだが。

こんな状態の彼は初めて見た。

 

「お邪魔しまーす…」

 

ゆっくり扉を閉めて、ナズナの傍に寄る。

いつもの寝顔で、あたしは少し安心した。

 

「ベッドで寝ればいいのに…」

 

あたしと離れた寂しさからだろうか。

まだ、半日しか経っていないはずなのにこんな無茶な作業をし始めるとは。

 

あたしはナズナの頭を撫でる。

眉が寄り、彼はうっすら目を開けた。

 

「シャル…?」

「うん。寝るならベッドで寝なさい。人に風邪を引くという前に、貴方が風邪を引いてしまうわ」

 

ナズナの机の上を見ると、ターニャ筆跡のあの念書が置いてある。

あたしが転移でこちらに来る前に出したのだろうが、それでも早すぎないか?

それとも、ナズナが帰った直後に手紙を運ぶ鳥にでも運ばせたのだろうか。




今日からFGOでイベント開始ですねぇ
ストックは十二分にあるので
更新は止まりませんよぉ
群青の方が書き終わらなくて
どうしようか悩んでいる
ところではありますが…
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