レーザー銃の傭兵とダボールスナイパーな人形 作:ジャック・アヴェンダドール
しかし、追手がすぐそこまで迫り来る
迎撃して道を切り開けるか?
ガンシューってよく敵の対処方がそれぞれありますよね
ブレザーの少女に付いていくと、後ろから激しい物音がする。どうやら敵が追いかけてきたようだ。
「ちょ⁉︎敵が来そうなんだけど⁉︎」
「このままついてきて下さい!」
ピリアの質問に一切振り向かずに進んで行く少女は、階段を登る。
「上に仲間が居ます。呼んでくるのでその間迎撃をお願いします!」
言うや否や上に登って走り去っていく。ジョセフ達が後ろを振り向くと、リッパーが此方に迫ってきてた。ジョセフ達は1階側の階段の角で待ち構えると唐突に通信が入ってきた。
《お、やっと繋がった!作戦中は別のコードなんだね》
その声の主はアーキテクトだった。何故彼女が通信のコードを知っているのかや、どうやって割り込んだのかとか気になる事は多々あるが、今は任務中だ。
「今は任務中だ!無駄話をしている暇はない!」
《ちょちょ、待って!鉄血人形の弱点を教えようとして通信を入れたから待って!》
アーキテクトの言葉に切りそうになった通信を続ける。弱点が知れるならそれに越した事は無い。それに前回の一件もあって、嘘はつかないと判断した。
「リッパーの弱点は何処なの?」
《リッパーはお腹の上辺りにバランスユニットがあるから、そこを撃ってみて!》
ピリアはアーキテクトに言われた通りにリッパーの腹に撃ち込む。するとリッパーはよろけて倒れ掛ける。それを見逃す程甘くはないピリアは、そこにもう1発撃ち込むと機能を停止させた。
「特にジョセフの場合は、それで攻撃のチャンスが増えるから積極的に狙うといいよ!」
アーキテクトの言う通り、ジョセフが撃ち込むと機能停止するまでよろけ続けられるので一方的に敵を攻撃できた。
「今度はガードかよ⁉︎」
リッパーを倒したと思った矢先、今度はゆっくりとガードが迫ってきていた。盾によって攻撃を防がれやすい為、ジョセフにとっては難敵でもある。
『ガードはピリアなら頭に当てれば行ける筈だよ!』
ピリアは言われた所を正確に撃ち抜くと、2発で倒せた。ただ顔の一部が盾に隠されている為、普段よりも少し集中を高めないといけないと感じた。
だが数で迫られるとピリアのみでは対処が出来なくなり、ジョセフの射程に入ってくる敵も増えてきた。
『ジョセフの場合はいっそ近づかせてからの方が楽かも』
「どう言う事だよ?」
『ガードは攻撃する時に盾を横にするんだけど、その時頭は無防備になるから!」
実際にガードが手持ちの拳銃を取り出した時に、盾を横に持ち直した。その瞬間をジョセフは撃ち抜いて倒す。この戦法はやや危険ではあるものの、残弾が厳しい時には特に有効そうな手段だ。
2人の猛攻によって迫ってくるガードは全て破壊された。それと同時に上から足音が聞こえる。ジョセフがそちらの方に視線を向けると、先程の少女ともう1人の少女が居た。
「お待たせしました!さぁ、さっさと行きましょう!」
少女達がまた先行して行って、ジョセフ達はそれについて行く。だが、後ろの方から銃弾が撃ち込まれる。咄嗟に開いていた部屋に入るジョセフとピリア。入り口から顔を覗いて姿を確認すると、ヴェスピドがリッパーやガードよりも遠い位置から攻撃してきていた。
「仕方ねぇ、スモークでビビらせてやる!」
ジョセフは懐から発煙手榴弾を取り出してピンを抜き、そのまま放り投げた。投げた直後に斉射して牽制すると、煙が放出されお互いに視認できなくなる。そこにピリアがフルオートで撃ち込み、敵を進ませないようにする。
「少しは時間が稼げるよ!」
「よし、今のうちに行くぞ」
それを受け、少女2人は再び前を駆け出す。ジョセフ達も再び付いていく。曲がり角に着いて、先の方を警戒しながら覗いてみると、鉄血の人形が立ち塞がっていた。
「挟まれたか……」
「引き返すよりも先に進んだほうが良いわ」
「階段ならあっちの方のが近いですもんね」
「なら、先にいる敵をやっちゃいますか」
ジョセフが後方を警戒しつつ、ピリアが狙撃体制に入る。幸いサプレッサーを使用しているので、それなりに距離があるなら他の敵に音でバレる事は無い。手前の方から順繰りに、的確に排除していく。その間ジョセフは後ろで煙が消えて、ヴェスピドが再び向かってきているのが見えた。
「まだ掛かるか?」
「あと6体いる。20秒ぐらいで片付ける」
その間にもヴェスピドは迫ってきており、このままではピリアが敵を蹴散らす前に攻撃が始まってしまう。周りを見てみると、閉まっている扉が見えた。
「ここの扉は全部鍵は空いているのか?」
「そうね、全部空いている筈よ」
ツインロールの少女がそう言った瞬間、ジョセフは走り出して扉を勢いよく開け放つ。そうすると、簡易的ではあるが遮蔽物が出来る。
「お前もこっちに来い!」
《今度は何が来た?》
「ヴェスピドだ。どうすればいい?」
《ヴェスピドの場合はリッパーよりも脆いから、ジョセフの場合は適当に撃ち込むだけでいいよ!》
少女に手招きをして影に隠れさせた後、ヴェスピドを手前から順番に倒して行く。一体につき2発撃ち込めば倒れる為、エネルギーを温存しながらも確実に数を減らして行く。そうして、戦線の維持をしていると後ろから声が掛かる。
「こっちは全部終わりました!早く行きましょ!」
ジョセフはマガジンに残ったエネルギーを全部撃ち込んで牽制に走らせた後、2人に付いて階段を登った。2階に上がった後、ブレザーの少女が壁際足元に何かを仕掛けているようだったが、ツインロールの少女に付いて行って突き当たりの部屋に入った。
全員が中に入ったのを確認したブレザーの少女は、部屋のロックを掛けた。
「ふぅ、これで少しだけ落ち着けますね」
「助かったよ……あ、自己紹介してなかったよね?」
「あーそういえばゴダゴダがありすぎてしてませんでしたね。私は89式です!こっちは64式……だと別の人形と被るので64式自って呼んであげて下さいね!」
「私はピリア……あーTAR-21の狙撃カスタムだよ。そっちの人はジョセフ。彼は人間だよ」
「ピリアって呼べばいいかな?」
「うん。89式はどう呼んで欲しい?」
「んーバディって呼んで欲しいかな」
「バディだね。64式自は何かある?」
「何でもいいわよ。別に変わるもんじゃ無いし」
興味が本当にないようで、窓の外をこっそりとのぞき込む64式自。その傍らで、別動隊と連絡を取り合っているジョセフ。通信が終わったようで、耳に当てていた手を下ろすとこう告げた。
「ブラボーが救助対象を保護、離脱している。俺たちは向こうがランデブーポイントに着くまで陽動する。いいな?」
最初のフェイズが救出作戦から陽動作戦に変わった瞬間である。
現地の89式と64式自が、パーティーに加わりました
なお89式をバディと呼ぶのは現状ピリアのみです
向こうが救出した経緯は次回語られます