レーザー銃の傭兵とダボールスナイパーな人形   作:ジャック・アヴェンダドール

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ジョセフがSB07地区に住みだす前のお話です。
彼単独の戦闘力が如何程なのか、お楽しみ下さい


数週間前 運命の分岐点

 ジョセフは数週間前に仕事を引き受けていた。

 内容は鉄血が制圧している地域にある書類の回収だ。

 割はまぁまぁ良く、引き受けたのだが…

 

「ちっ!面倒だな」

 

 書類を回収したのはいいのだが、その際に巡回の下級人形に見つかってしまい、止むを得ず交戦。

 このままでは増援を呼ばれてしまう為、さっさと外に出たかったが既に周囲は敵に囲まれてしまっており、抜け出すタイミングを見失ってしまっていた。

 しかも持っている銃は全距離対応用の狙撃カスタムされたダボールライフルとF2000だった。

 

 下級人形のうち盾を持った奴、ガードに対して5.56mm弾をそれなりな数を撃つ必要がある事からも正面からの突破は厳しいと判断、外をうろついているサブマシンガンらしき物を持ったリッパーもいる為、接近戦自体が無謀。

 そうなると残す手はほぼ無い。あるとするならば…

 

「アレしかねぇか…」

 

 ジョセフはそう言って発煙手榴弾を数カ所に投げる。数秒後、そこら中に煙が充満してきたのを確認した彼はF2000を片手で構えながら猛ダッシュで駆け抜ける。

 先の方は当然見えないが煙の中に入ると同時にフルオートで適当に撃ち込みながら、煙を抜ける。後ろにF2000を向けながら遮蔽へと駆け抜け、辿り着こうとした時に一本のレーザーが腕を掠って行くのが見えた。

 

「ぐぅあ!」

 

 その衝撃で倒れ込むジョセフ。幸い撃たれたのはF2000を持っていた方では無かった為、落とす事は無かったものの、それでも隙は出来てしまう。

 煙の中から現れたリッパー達を撃ちながら脚に痛みを覚えながら立ち上がり、牽制しながら後ろに下がる。どうやら転んだ際に脚を捻ったらしく、あまり大きく動かせなくなった。

 だが向こうもまだ混乱の最中なのかこちらに集結する事無く森の中の遮蔽に隠れる事が出来た。だがまだ油断は出来ないと判断して、腕の止血を簡単に済ませ捻った足を固定して建物から更に離れて行く。

 

 無理やり動かして居るからか足取りが非常に重く、来るときの数倍程時間が掛かったが、なんとか鉄血の領域から離脱出来そうな時に不意に腹に痛みが走る。

 何事かと見ると、穴が出てそこから血が溢れていた。朦朧とし出す意識を無理やり戻しながら、周りを見ると僅かながらに見えた影があった。

 鉄血の狙撃人形、イエーガーだ。奴の攻撃をモロに食らってしまったらしい。幸いにも防弾チョッキのお陰で深手にはなって無いがそれでも直ぐに治療しなければ直ぐに命を落とすだろう。だが治療しているとイエーガーに止めを刺される為厳しい。

 それを避ける為にもTAR-21のバイボットを展開してイエーガーを狙う。しかし、視界がぼやけて上手く狙えない。そこで射撃モードをセミオートからフルオートに変えて大まかに狙って乱射する。

 4秒程で弾が尽きてボルトがリリースされる。その瞬間にその場所から離れて移動する。やったかどうかを確認する暇も無く、追ってこない事を祈っていたのが通じたのか敵の追撃が無いまま戦闘領域から離脱出来た。

 だが元々限界だった為そこでジョセフは意識を失う。

 

 

 次に目を覚まし、最初に見たのは知らない天井と1人の少女だった。

 

「……ここは?」

 

 思わず口にした言葉に反応して少女が近づいて来る。よく見ると獣耳とランジェリーという今時の娼婦でも見ない格好をしていた。

 

「あ、目が覚めましたか?よかったぁ」

 

 凄まじく甘いと感じさせる声で話す少女、ジョセフの記憶の中にはその少女と出会った記憶は無い。

 

「君は?……というよりここは何処だ?」

「私はG41です!ここはグリフィンの医務室ですよ!」

 

 グリフィン? G41? つまりは彼女は戦術人形でここは大手PMCの治療室? 起き抜けで様々な思考を巡らせるがイマイチ一致しない。

 私はあの何も無い場所で力尽きた筈、なのに何故と疑問ばかりが浮かんでくるのを自然と口にしていたのか彼女は答える。

 

「あの地域に探索に出ていた私達の部隊が見つけて、搬送してもらいました!エッヘン!」

 

 元気な様子で胸を張るG41、ジョセフは自然と彼女の頭を撫でるとエヘヘと喜んだ。

 

「そうか、ありがとう……所で私の荷物は何処にある?」

「それでしたらご主人様が預かってます!あ、そうだ!目が覚めた事をご主人様に伝えないと!」

 

 慌ただしく家を出るG41。ご主人様って一体誰なのか聞けないまま去ってしまった。

 少しすると部屋が少し強引に開けられ、そこからG41に引っ張られる男性が居た。赤い服装、会社のエンブレムからして恐らくは指揮官だろう。指揮官という役職の割に若めと言った印象がちらつく。

 

「ほらご主人様!この人…えーっと」

「ジョセフだ」

「ジョセフさんが目を覚ましましたよ!」

「分かったから!少し落ち着いてくれ!」

 

 そんな騒動があったが少しばかし経つとそれも治る。彼の格好を見てジョセフは本当にグリフィンの施設にいる事を実感させられる。

 

「さて、色々聞きたい事がありますが、まず貴方の名前や何処に所属しているかを教えて下さい」

「俺はジョセフ・アンバーだ。流れの傭兵をやっている」

「ジョセフさん、ですね?それはそれとして、何故あの時鉄血の支配地域に居たのか覚えていますか?」

「ある依頼を受けてそこに行く必要があったからだ」

「そうですか、それでもう一つ聞きたい事がありますけど……これは一体何なのかご存知ですか?」

 

 その手に持っていたのは件の書類だった。ジョセフは一瞬顔を曇らせる。

「中身は見てない。お前達にとって不都合な代物なのか?」

「不都合という程ではありませんがね、世に出回ると少々面倒になる物でしてね…」

 

 この男は一体何なのだという風に思いながら、話を続ける。ここで始末されるかもしくは奴隷として働かせるか……ジョセフにとって悪い結末にしか考えられない状況下で、何を言い渡されるか内心焦りを感じた。

 

「何もとって食おうとは言いませんよ、ただ暫く私に雇われて欲しいと言いますか。あぁそうそう、貴方家はありませんよね?」

「確かに家と呼べる物は無いが…というか何をさせようってんだ」

「でしたらこの地域の保安警備隊として働いて貰いたいんです。最近鉄血の工作や人類人権団体の活動が活発になってましてね?そういった事に対処できる人を探していたんです」

「もし断ったら?」

「そうですねぇ……何処ともしれない所で銃殺されるかもしれませんな」

 

 暗に受けなかったら殺すと言われる。この男、見た目よりも大分黒いとジョセフは感じた。

 彼は内心舌打ちをしながらその話に乗る事にした。ジョセフはまだ生きていたいのだ。

 

「分かった、その話に乗ろう」

「話が分かるようで助かりましたよ。あぁそうそう、怪我が治るまではここで治療を受けて下さい。それと貴方の使っていた銃は一旦、IOPで直して貰ってますので戻ってくるまではゆっくりしていて下さい」

 

 そう言って男は部屋を出た。その横にいたG41も部屋から出る。部屋にはジョセフ1人が残された。

 

「どっちにしろ選択肢が無かったな…」

 

 独り言を呟いて彼はもう一度眠りについた。




ジョセフも並の人間よりは強いのですが、所謂人外レベルでは無いと思います。
ただの人間の範疇でそれなりに強め、それが人形と共になると如何なるのか。
それは作者にも微妙に分からないです。
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