レーザー銃の傭兵とダボールスナイパーな人形   作:ジャック・アヴェンダドール

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アーキテクトが何故自らグリフィンに行ったのかを考えていたら、このインターミッションが出来上がってました。
これ独自解釈タグとか居るんでしょうかね?


ブラックボックス

 外に出た2人は警備に戻る。外は夕焼け空が眩しく本来は薄暗さを少し感じる裏路地も、この時は明るく照らされている。

 

「っ!眩し!」

「……」

 

 ジョセフは無言のまま、銃を前にかざす。当然、影となってシルエットの黒と夕日の赤に視界が奪われる。その姿を見て、ジョセフは一言漏らす。

 

「ブラックボックス……」

 

 マッコイが言っていた言葉を思い出す。彼はこの銃を含めた物を『マッコイのブラックボックス』と呼んでいた。それが何かは当然知る由も無いし、知る手段なぞ無い。

 だが、これを使う上でもしかしたら避けられない何かに当たるかもしれない。そう予感させる程、今このF2000は黒く染まっていた。

 

「……せふ。じ…せふ。ジョセフ!」

 

 思考を戻すとピリアがジョセフを呼んでいた。どうやら銃を掲げたまま固まった彼を心配していたようだ。

 

「もう、何事かと思っちゃったよ」

「悪い。少し考え事をしていた」

「じゃ、行くよ」

 

 ピリアが促すとジョセフはゆっくりと歩き出しながら、銃を肩に担ぐ。2人は夕日に向かって歩く。その姿は蜃気楼にも惑わされず、しっかりとした像が映し出されていた。

 

 

 

 警備任務が終わった後、グリフィンに報告書を送った直後に秘匿回線に繋ぐ。相手はアーキテクトだ。

 

《やっほー!君から来るなんて思わなかったよ!》

「用事が無かったら掛け無かったけどな」

《ほうほう、もしかしてなんか拾えたかい?》

「いや、ある爺さんと出会ってな。お前宛に伝言をもらっている」

《え?》

 

 明らかに驚いているアーキテクト。外部の人間からの連絡なんて予想してなかったのだろう。鳩が豆鉄砲を食らった顔をしていた。

 

「内容を伝えるぞ?『マッコイのブラックボックスは開けられない』だそうだ」

《え?今マッコイのブラックボックスって言った?》

「あぁ、お前さんなら分かるって言ってたが?」

《……》

「アーキテクト?」

 

 それを聞いた瞬間、アーキテクトから笑顔が消えた。そして言おうか言わまいか、葛藤する素振りを見せる。数分にも感じた十数秒後、ようやく口を開いた。

 

《それ、ブラックボックスというよりもパンドラの箱かもよ?》

「あ?」

《一応私のプログラムに入ってるんだよね、それ。だけど無理矢理開けようとした瞬間、自分と同じ会社の人形は全員死ぬ。それだけじゃない、一番恐ろしいのは中身と言われているよ》

「中身?」

《ジョセフのF2000はある種の裏技で作れたんだけど、それ以外のは未だにロックが掛かってる。ただその中身がもしかしたら、もう一度世界を滅ぼす力を持っているとしたら?》

「何が言いたい?」

《蝶事件が起きた後にロックするならまだ分かるよ。人類の敵に使われたくないとか。ただ、ブラックボックスにロックを掛けたのは蝶事件の前みたいなんだよね》

 

 自身に埋め込まれたプログラムについて色々考えているようで、推論を重く語り出すアーキテクト。

 

「他企業に盗まれない為とかじゃないのか?」

《それにしたって異常だよ。この防御プログラムは。一度ウロボロスにも手伝って貰った事があるんだけど結果は一緒、何も得られなかった》

「じゃあなんでお前は無事なんだ?その理屈で言うなら死んでてもおかしくない筈」

 

 そう、プログラムの性質的に現状アーキテクトは既に死んでいなければおかしい。だが今ジョセフの目の前に健在している。それが一番の謎なのだ。

 

《私本体は鉄血のサーバー……と言うよりもネットワークサーバーという物への接続機能が一切無いんだ。ウイルスの性質がどうもネットワーク関連に干渉するみたいでね。そのせいでバックアップなんて言う物は存在しないよ》

 

 アーキテクトの話に絶句するジョセフ。それと同時にグリフィンの捕虜になった理由も察した。恐らく彼女は、人間と同じかそれ以上に“生き残る“事を大事にしている。今のボディが殺されたらそこで、お終い。他の人形には無い事が多い死への恐怖が彼女にはあったのだろう。

 

《正直グリフィンの捕虜になって良かったと思うよ。向こうもいいにはいいけど、案外死と隣り合わせって感じで心休まらないんだよねー。まぁ当然だよねぇ私以外はやられても復活出来るし精神的疲労の概念も下にはあんまり無いし》

 

 そう語るアーキテクトは懐かしむような雰囲気があった。故郷に想いを馳せるような、そんな感じがしていた。

 

《っとと、関係の無い話しだったね。解析は多分まだまだ掛かると思うけど、出来たらそっちにも話すね!》

「分かった」

《今度マッコイの爺ちゃんに会わせてね!じゃーねー!》

 

 いつもの様子に戻ったアーキテクトはそのままの勢いで通話を切った。

 

 通話が切れたと同時にどっと息を吐くジョセフ。

 

「通話するだけっだって言うのになんでこんな疲れにゃならんのか」

「何か分かった?」

「俺の銃がブラックボックスだって言う事とその箱がワンチャン、パンドラって事ぐらいだ」

「パンドラ?開けると世界滅ぶっていう?」

「それだ。思ったよりもヤバい事に首突っ込んだかぁ……?」

「ははは……でも開かなきゃいいんでしょ?」

「何かの拍子に開くだろソレ」

 

 ジョセフは身体を伸ばして立ち上がる。ふと気になる事があった為聞いてみる。

 

「そういやピリアって寝間着持ってたか?」

「いや?この服だけだよ」

「しまった……買いに行った方が良かったか。今日は俺の奴を着てけ」

「いやいいよ、上脱げば結構楽だし」

「そういうとこラフだよなお前」

 

 結局押し付ける形で上着を渡して、自分は昔拾ったジャージを着て寝る事にしたのだとか。それと未だに家具が到着する算段が付かない為、今日もまた、リビングで寝る事にしたジョセフは、隣の部屋を買おうかとも思っていた。




SB07地区の紹介的な感じだったインターミッション1もこれで終わりです。
このブラックボックス系の解除条件とかは一応考えては居ますけど、恐らくやるとすれば外伝になるレベルな気がします。

さて次回はようやく戦闘メインの物になります。
ガンシュー的な表現の仕方が出来ればいいなと思います。
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