仮面ライダーオロチ   作:御剣龍也

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降臨、満を持して。

今回はクラスメイト側です。

お気に入りや感想が増えてきて嬉しい中テストが近いことに涙目な作者です…。

それでは…どうぞ。


断罪

響き渡る、消えゆくベヒモスの断末魔。ガラガラと騒音を立てながら崩れ落ちてゆく石橋。

 

そして瓦礫と共に奈落へと落ちてゆくハジメと抱きかかえられた莢。

 

クラスメイト達はただその光景を呆然と眺めていた。

 

それと同じようにしていた香織突然はっと我に返る。いや、それは果たして我に返ったと言えるのか。

 

「あ、や………いやあああああ!? 南雲君!?」

 

誰から見ても明らかに錯乱しており、正常な状態ではない。

奈落へと飛び出そうとする香織を、雫と龍太郎が止めに入る。

 

「離して! 南雲君があ!助けに行かなきゃ!」

 

「香織!お前まで死ぬ気かよ!」

「助けに行くのは無茶よ! 落ち着きなさい!このままだと体が壊れてしまう!」

 

それは、二人なりに精一杯、香織を気遣った言葉。しかし、今この場で錯乱する香織には言うべきでない言葉だった。

 

「無理って何!?南雲くんは死んでない!行かないと!絶対助けを求めてる!」

「っ〜! 光輝、貴方も止めて!?」

 

「…清水。頼めるかい?」

「ハァ。まあいい。任せときな。」

 

雫のその言葉に、光輝はそばにいた幸利に香織を止めるよう頼む。自分だと、手刀を首筋に落とすか鳩尾を殴るかして気絶させるくらいしかできない。どちらにせよ痛みを伴う方法だ。

 

それなら、対象の精神に干渉して肉体の動きを操る闇魔法に適正のある幸利の方が、よほど適任だと考えたがゆえの行動である。

 

幸利は溜息を吐きながら香織の頭に、光刃を発生させた剣を突き立てる。そして周りから聞こえる雑音を無視して引き抜くと、香織は糸が切れたように雫の腕の中に倒れた。

 

「かっ、香織?!」

「心配しなくていい。寝てるだけだ。ただ、精神がだいぶ荒れてたから、しばらく寝てるかもな。」

 

突然ピクリとも動かなくなった香織を揺する雫に、幸利の説明が入る。見れば香織の体には傷もなく、しっかり息もしていた。

 

「あ、ありがとう。でもちょっと心臓に悪いわ…。」

「それは作成者に言ってくれ。」

 

「でも、南雲くんは…」

「いや、多分そのうち帰ってくると思うぜ?」

「え?」

 

幸利が言った言葉に対する雫の当然の疑問に、彼はやけに自信のある声で答えると、すぐに遠い目をする。

 

「もうあいつらのことで驚くのがアホらしくなってきてさ…。」

「………あぁ。」

 

なんだかそう言われるとそんな気がしてくる雫。

 

本来この世界にはないはずの武器を作り出し、あのベヒモスを一方的に痛めつけ、突然現れた怪物にも圧勝し、更にハジメに至っては変身までしている。なんだか奈落の底で野垂れ死んでいる二人を思い浮かべられない。そのうちひょっこりと帰ってきそうだ。

 

全員がそんなことを考えている中、幸利の眼はとある人物を捉えていた。

 

「よう。檜山。クラスメイトをニ人殺しかけた気分はどうだ?」

 

いきなり名指しされたことに肩を震わせる檜山。それは何やら怯えるような表情を浮かべた。

 

「はっ、え?いや何言って…。」

「とぼける気かよ。残念ながら見てたぜ。お前が魔法を神凪に撃ったのはよ。」

 

あのとき、詠唱が間に合ったクラスメイト達は、数人ベヒモスに向けて攻撃魔法を放っていた。

 

「そしてその中に紛れてお前が魔法を撃ったのも知ってる。ただな。

 

 

 

 

 

その中にお前の適正属性の風魔法は入ってなかったんだよ。」

 

檜山は気がついていないが、先程から彼は幸利の術策に見事に嵌っている。闇魔法によって精神を必要以上にかき乱されて平常心を失っているのだ。

 

幸利の獲物を追い詰めるオオカミような視線に、檜山はたどたどしく答える。

 

「いや、俺は火球なんか…」

「はいダウト。俺は火球なんて一言も言ってないぜ。」

「あ、…いや、南雲たちの方を見てたから」

「何でベヒモスに魔法撃ってるのに南雲たちの方見てるんだよ。」

 

言うことなす事全てが不利に働いていく檜山。

 

「操作を、ミスって…」

「お前知らないの?火球程度の下級の魔法にはな、誘導機能なんて無いんだよ、撃つ直前、魔法陣に刻まれているプログラム通りにしか動かない。」

 

漸く自供してくれた。心の中でほくそ笑む幸利は、表情をあくまで真剣そうな顔をしたままビシッと指を指し、勝ち誇ったようにいう。

 

「お前は最初からアイツらを狙って魔法を撃ったんだよ。」

 

ザワッ

 

檜山がはぐれものとはいえ、クラスメイトである南雲と莢に対して魔法を撃ち、奈落へ突き落とした。そのことに他のクラスメイト達は、「次は自分が狙われるのでは」と、距離を取る。

 

更にそこへ幸利は追い打ちをかける。

 

「しかも神凪を狙ったのはたちが悪いぜ。どうせ南雲を攻撃しても死なねぇだろうからあわよくばと思ってやったんだろ。」

 

助けを求めるように周囲を見回す檜山。もちろん誰も手を貸すどころか、声をかけようともしない。

 

もうだめだ、そう思った檜山の目に、ある人物が写った。それは光輝だ。彼はツカツカと檜山に向かって歩いてきている。それは、真っ暗闇の中に一筋の光が入り込んだような感覚だった。

 

(そ、そうだ。あいつは俺らのことを命をかけて守るって言ったんだ。あいつなら、どうにかしてくれる。)

 

なんとも浅はかな考えのもと檜山は光輝に助けを求めようとする。

 

しかし、それよりも早く光輝は、檜山の胸ぐらを掴み、そのまま自分の顔の近くまで持ち上げ、無表情で睨みつける。

 

「檜山。君には失望したよ。クラスメイトを殺した挙げ句ヘラヘラ笑って、何が楽しかったんだい?まあ聞く価値もないだろうが。」

 

突然始まった自分に対する罵倒の嵐に、檜山は動揺しながらも、問う。

 

「まもっ…てくれる……んじゃ…。」

「悪いけど俺も神や仏じゃない。守るものにも、嫌いなものや気に入らないものも一定数ある。」

 

お前はその一つだと、光輝は遠回しに吐き捨てるように言い、檜山をポイッとゴミでも捨てるように橋の端に向けて放る。

 

檜山は情けない声を上げながら尻で着地し、すぐさま這いながらその場から離れる。ホッとしたその時、ピッ、と聖剣が首元に添えられた。首筋に冷たい金属の感触がしたと同時に、生暖かいドロリとしたものがそこから垂れた。

 

「ひいっ?!」

「まあ約束した手前殺すわけにも行かないから今回は見逃してやる。だかな、次またこんなことをする素振りでも見せてみろ。今度は首を切り落とすぞ…。」

 

もし守るものに手を出すのならば、例えクラスメイトであろうとも切り捨てる。その迫力と圧に、檜山は白目を剥き、気を失う。股間には黄色いシミができていた。

 

「チッ…清水、こいつを上まで頼む。」

「え〜。」

 

幸利は渋々といった感じで檜山に魔法をかける。すると、まるで操り人形のような挙動で起き上がった。幸利の魔法で体の動きを乗っ取ったのである。

 

光輝はクラスメイト達に向き直ると、「脱出するぞ。」とだけ言い、骸骨の群れへと突っ込んでいった。

 

その時光輝の視線が一瞬下に向き、不敵に笑ったことは誰も知らない

 

 

 

 

 

 

「また会おう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、光輝達は宿に戻り、殆どのものが疲労や精神てきなダメージで、泥ようにぐっすり眠っていた。

 

そんななか、光輝は宿の中庭に出て空を見上げながら、王城でハジメと話したことを思い出していた。

 

 

 

 

 

『この世界はひどく歪んでいる。』

 

『ほう?』

 

『世界の人口の9割が同じ神、同じ宗教を進行する。これ、かなりおかしいだろ。』

『宗派すら出来ていないことを考えると更に可笑しいと思わないかい?』

 

『…確かにな。まるで何か大きな力が働いているように見える。』

 

『そ。つまり、星一つ丸々洗脳できる程の存在がこの星を牛耳ってる。』

 

『この戦争もマッチポンプの可能性もある…か。』

 

『ザッツライトだよ天之河君。もしかするとラスボスになるのはソイツかもね。このエヒトとか言うの。』

 

『ふむ。なにか手はあるのか?』

 

『俺は迷宮の奥にその秘密があると考えている。明日からの遠征の間に離脱するなりして独自に調べてみるつもりだよ。』

 

 

 

 

「大丈夫なんだろうな。南雲。」

 

また会おう、とは言ったものの、やはり心配ではある。光輝がそうポツリと呟いたその時、隣に誰かが近づいてきたきた。光輝が其れが誰か確認しようと顔を横に向けると、

 

「やあ。」

 

そこにはメガネを外した恵里がいた。

 

彼女の纏う雰囲気は、迷宮の中で感じていた大人しいものとは似ても似つかぬ妖しいものにっている。浮かべている笑みもどこか艷やかで色っぽさを感じる。

 

「どうしたんだ。」

「ん〜。強いて言えば光輝くんの隣にいたかった。かな?クラスメイトのみを案じる光輝クンも、す・て・き♡」

 

いつもクラスメイトたちが知っているものとは、かけ離れた言動、性格になっている彼女に対し、光輝は苦笑しながら言う。

 

「は〜。相変わらず本当の君はクセが強いね。」

「光輝クンが僕をこうしたんだよ?」

 

彼女はまだ光輝が革を被っていた頃の犠牲者である。理由のない根拠のせいで、性格、人生ともに大きく彼女を変えてしまったその罪を償うために、光輝は彼女と約束を交わしていた。

 

「…あぁ。だから俺は君を一生街かけて幸せにする。そう約束しただろ。」

「アハ♪僕も君をシアワセにするよ。逃げようとしても逃さないから。」

「分かってるさ。」

 

彼女という存在に縛られたまま生きて行くと決めた光輝。しかし、彼女と過ごす時間は、いつしか彼が顔を綻ばせる数少ない時間のうちの一つとなっている。

 

(彼女は、何があっても護る。次こそは必ず。)

 

光輝は彼女の肩を抱き寄せ、改めてそう誓った。

 

(それが俺の覚悟…。)

 

気がつくと、東の地平線の向こう側からは、紅い光が彼らのことを見守るように覗いていた。




はい。今回はここまでです。テスト中とはいえ3日かけてこのクオリティ…。

誰かー、作者に才能をくださーい。

感想ご意見お待ちしております!

「お前、投稿はいいけどよ。留年とかするなよ。」

うぐっ。

「ま、気をつけな。」

……うす。

「返事は元気よく!」

はいぃっ!
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