テストが終わって赤点取ってないか心臓バクバクな作者です。
今回は色々すっ飛ばしてボスまで行っちゃいます。
ユエの頭がハゲるシーンも書こうとは思ったんですがエタるような気がするので…。
ではどうぞ!
ゴッ!
ガッ!!
凄まじい打撃音と共に、地面が抉れ、深々と足跡が刻まれていく。
「あ”あ”あ”あ”!!!」
「Gùoooo!!!」
オロチに変身したハジメが、雄叫びを上げながら殴りかかっているのは、黒い体色に筋肉質な体つきの異形、ゴリラネオ。
そのゴリラネオは、つい先程までハジメと母親を探していた、迷子の一人の少年だった。
「クッソぉぉおお!!」
なぜこんな事が?どうしてこんな残酷なことが?ハジメは、その荒れる心をぶつけるようにしてゴリラネオを殴り続ける。
一発、オロチの一撃が顔面にクリーンヒットしててたたらを踏むゴリラネオ。その顔に、少年の顔が重なる。
『にいちゃん、ありがとう!』
「ッ?!」
一瞬オロチの動きが鈍る。そのすきにゴリラネオは体制を整えると、腰だめになり、オロチの鳩尾に強烈な右ストレートを放った。
声も上げずに吹っ飛ぶオロチ。それは地面をこすりながら10m以上滑り、ようやく止まる。
しかしオロチは立ち上がろうとしない。そのまま寝返りを打つと仰向けになり、大の字に寝転がった。
「畜生…!」
わかってはいたことだ。ネオは人間が変質したもの。そんなことは理解している。とうの昔に飲み下したことのはずだった。
それでも、
「あんまりじゃないか!!」
母親を探す少年は、幼稚園でやったことをとても楽しそうに話してくれた。
小学生になったらサッカー部に入りたいことや、もうすぐ妹が生まれてお兄ちゃんになること、お母さんの作るオムレツが大好物だということを道すがら語ってくれた。
「あぁっ!」
あぁ、神様、もしもいるのであれば聞いてほしい。
「俺は、俺は許されなくていい…っ!」
だからせめて、
「あの子の魂は、天国に送ってやってくれ…っ!!」
大蛇は立ち上がる。涙と怒りを仮面の奥に隠し、ターゲットを捉えた無機質なバイザーを怪しく光らせる。
『charge up』
飛びかかってきたきたゴリラネオに、エネルギーが収束された右腕を突き出した。
「さよなら。」
願わくば、彼の旅路に幸せがあらんことを。
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「おおー。これはまた。」
「いかにもって感じだね。」
「…気は抜けない。」
三人はあれから順調に迷宮を攻略し続け、またもや巨大な扉を前にして立ち止まっていた。今までの迷宮とは明らかに違う様子に、その警戒が間違いでない事を三人は悟っていた。
やがて、三人の来訪を察知したかのように柱が淡い輝きを放ち、まるで彼らを誘導するかのように手前側から順に、星のような光の帯が伸びていく。三人はしばらくその場で警戒していたが、特に何も起こらないため感知系の技能をフル活用しながら進んでいく。
200m程進んだ頃、扉の全体像がはっきり見えてきた。アレーティアが封印されていた部屋同様に、これもまた美しい彫刻が彫られており、特に七角形の頂点に描かれた何らかの文様と、まるで何かを警告するように書かれた謎の文字列が印象的だ。
「…こりゃまた凄いな。もしかしてこいつは」
「…反逆者の住処?」
反逆者。このオルクス大迷宮を含めた7大迷宮を作ったとされる人物だ。もしもその反逆者の住居がこの向こう側にあるとすれば、ここはまあ間違いなくラスボスの部屋といった感じだろう。
実際、感知系技能には反応がなくともこの先はマズいと、莢の本能が警鐘を鳴らしており、ユエも珍しくうっすらと額に汗をかいていた。
「よし、行きますか。」
三人は互いの顔を見て強く頷くと、最後の柱の間を超えた。
その瞬間、扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。ベヒモスのときと同じ、転移魔法陣だ。
それは赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。
いよいよボスのお出ましか、そう思い三人が身構えたその時である。
『ネオの因子を確認。』
「なに?」
突如聞こえてきた無機質な電子音声。
『難易度変更。』
それとともに巨大だった魔法陣は急速に小さくなり、それに反比例して内包されているエネルギーの量が爆発的に増加していく。
『Model Hydra』
そこに現れたのは、6本の、それぞれ色の異なる大蛇の首を、背中から生やした人型の異形「ヒュドラネオ」。
「ネオ、だと…?」
ハジメは絶句する。目の前にいる存在すべてが許容できない。何故ここにこの存在がいるのか、誰が作り出したのか。そして、誰を犠牲にしたのか。作り出すまでにどれだけの屍の山を作り出したのか。
数秒間固まっていたハジメだったが、それが解けた瞬間、目に怒りが灯った。瞳が金色にうっすら発光し、瞳孔が縦に割れる。
それに呼応するようにハジメの腰にはベルトが装着され、オロチがハジメの足もとに現れた。
「ふざけやがって」
ハジメの足を這い、ベルトへとたどり着いたオロチは自分からベルトへと入り込み、バックルを倒す。
「変身」
反逆者よ、お前は大蛇を怒らせた。
「お お お お お !!!」
ハジメの変身するオロチが咆哮を上げる。それは途方もない怒りを内包し、その部屋全体を振動させる。
それを合図に、殺し合いの幕が切って落とされた。
「あれ、は…?!」
アレーティアは目の前で繰り広げられる戦いに絶句する。2体の放つ攻撃は、一撃一撃が彼女の最大出力を超えるものだ。拳を放てば大気が震え、蹴りを放てば大地が割れる。
ただ呆然とそれを見ていたアレーティアだったが、突然隣にいた莢に抱えられ、近くの柱の裏に避難させられた。
「ティア、大丈夫?」
「……」
莢の問いかけに、恐ろしいものを見たような顔で莢を見つめるアレーティア。怯えた声で言う。
「…あれは、ハジメ、なの?」
「うん。あのオレンジ色の方がそう。」
莢は、柱の影から顔を出して、様子を確認しながら答えた。その手には、オートマチックの銃と、ショーテルが握られており、いつでも戦いに参加できるようになっている。
すきを見て援護しようとしていた莢だったが、次にアレーティアが発した言葉にそうも行かなくなってしまう。
「…あれは、ネオ。」
「…なんですって?」
ネオは地球で生み出された化け物のはずだ。何故アレーティアが知っているのか。莢はアレーティアの方を向いて、肩を掴んで問いかける。
「何でアレのことを知ってるの?」
鬼気迫る莢の顔に、一瞬気押されたアレーティアだが、ポツポツ語り始める。
「…お伽話に出てくる魔獣。神になろうとした人間が、神に罰を与えられて、醜い怪物として生まれ変わった姿。そう言われてる。」
「なるほど…。」
顎に手をやり、考え込む莢に、アレーティアは続けて言う。
「まさか、ハジメは、かい…」
「そんなんじゃない!!」
しかしアレーティアが「怪物」と言おうとしたのを莢は遮り、声を荒らげる。
「ハジメは、怪物なんかじゃない!ハジメは!あいつは!!」
そこまで行ったところで莢はハッとした。アレーティアがひどく怯えているのだ。唯一隣にいた莢が、自分から離れていくような気がしてしまったのだろう。
莢は頭を降って気持ちを落ち着かせると、アレーティアに視線を合わせ直す。
「ごめん。確かにあいつのこと、なんにも話してなかったもんね。この戦いが終わったら、絶対に説明する。あいつが何なのか、私達が何をしてきたのか、全部言う。だから、今は待ってほしいの。お願い。」
莢はそう言って頭を下げた。
アレーティアは、少し間をおいてから言う。
「…ん。全部聞かせてもらうから。」
「うん。わかった。」
「でぇりゃぁああ!!」
『kuroooo!!』
ズンッッ…!
オロチとヒュドラネオの拳が交差し、足元に巨大な亀裂を作り出す。しかし、どちらも引かずに更に拳を押し付け合う。
「ヅアアア…!」
『kyurr…!』
どちらも力は互角。ならば、とオロチは背のスネイカーウェイブをしならせながら相手の脇腹に叩きつけようとするが、同じことを考えていたらしく、ヒュドラネオは、赤、青、緑の首が、それぞれ炎、流水、風を纏ってスネイカーウェイブに衝突する。
「あっづ…!」
疑似神経が通っているスネイカーウェイブから激痛が走る。このままでは押し切られる。そう考えたハジメは、拳を傾けることで相手の力をいなし、バランスを崩したところで回し蹴りを放った。
しかし、それは突然地面から盛りだした壁により防がれる。更にそこから凄まじい勢いで無数の氷の杭が飛び出し、オロチはたまらず吹き飛ばされる。
「硬いなこれ!アマダンチウム鉱石かよ!」
力は互角。頭脳は上。しかし手数の面では劣る。更に、多種多様な魔法による補助も厄介だ。ハジメはこれといったダメージは受けていないものの、ヒュドラネオの万能性から攻めきることができずにいた。
ハジメは観察の結果を纏める。
(赤い首は火、青い首は水、緑は風、黄色は土で白は雷。黒い首は闇か。あと人型の首の方も注意しといたほうがいいな。)
それぞれの首をゆらゆらと揺らめかせるヒュドラネオに、オロチはアマノムラクモを召喚する。打撃が効かないことは分かった。ならば斬撃を用いるまで。
オロチが踏み出そうとした瞬間、ふと黒い首と目があった。
「…がぁッ…?!」
激痛が頭を走る。意識が遠のく。システムがアラートを鳴らすが、それらが全て遠くに聞こえる。それと同時に頭の中にあるヴィジョンが鮮明に浮かび上がった。
血に濡れた自分の腕。目の前に積み重なった無数の死体の山。
その死体の顔は、すべて黒くくり抜かれている。
『貴方が殺した』
『『貴方が殺した』』
『『『貴方が殺した』』』
それらが全て、ハジメをあざ笑うように笑顔を浮かべ、ハジメを非難する。それと同時にハジメの足元からは無数の腕が生え、オロチの体を包んでいく、恐ろしい握力で体のあちこちを掴み、地面に引きずりこもうとしていた。
ハジメはそれに抵抗する。
やめろっ!
『なんで?あなたも死んだほうが楽になれるのに。』
俺には、まだ守るものがある!
『あなたといて、幸せだと思う?』
…さあな。
『わかってて誑かしてるの?』
そんなんじゃない。だけど、彼女は自分の幸せが何なのかも分からないような人間だとは思はないよ。
『…ふーん。つまんな
「ハジメ!!」
「?!」
突然の莢の声で正気に戻ったハジメは、まだ若干痛む頭と、未だ鳴り続けるシステムアラートに顔を歪めつつ、目の前に迫ってきていた黒い首の大きく開かれた顎をなんとか避けた。あのまま幻影にとりつかれたままであったらあの攻撃をまともに食らっていただろう。
アラートが鳴り止み、ハジメは莢に感謝しながら体制を立て直すと、今度こそ剣を構え直し好きを伺う。
すると、
「緋槍」
突然ヒュドラネオに向けて、巨大な紅蓮の槍が放たれた。それは、ここまで来るのに幾度か見てきたアレーティアの十八番の魔法。
ハジメが魔法が放たれた方を見ると、そこには柱の影から姿を表し、ヒュドラネオの方に手をかざしているアレーティア、そして巨大な対戦車ライフル型の銃、莢命名「ビートレス」を構えている莢の姿があった。
ダァァン!
大きな銃声とともに、アレーティアの緋槍が直撃した部位を正確に銃弾が貫いた。しかし、それだけでは致命傷には至らない。現に二人の与えたダメージは、表層を焦がした程度で、鱗や甲殻に阻まれてこれといったダメージには鳴っていない。
だが、気を反らすには十分だった。
『charge up』
「ナイス!二人とも!」
ヒュドラネオがこちらを向くほんの数秒の間に、オロチは右手に持った剣の刃の部分を、左手で支えるようにして半身に構える。
ヒュドラネオが意識をこちらに向けた瞬間、オロチは捻りを加えながら体全体を使って鋭い突きを放った。
すると、刃が次々に分裂していき、蛇腹剣に変形。あっという間に20mはあったヒュドラネオの胸部を深々と貫く。
「kisyuu…!?」
更に、抵抗するために、各首に魔力をまとわせ始めるヒュドラネオを、行動させるよりも一歩早くスネイカーウェイブで拘束、剣先を引き抜いてから一気に自身の方へと引き寄せると、真紅のエネルギーをまとわせた蛇腹剣が襲いかかる。
―蛇王 一閃―
体を一回転させ、横凪に振るわれた神速の斬撃は、ヒュドラネオの肉体を一頭のもとに切断する。さらに六本の首も本体と切り離されたことで機能を停止し、力なく転がっていった。肉体が黒い液体に変わっていく
次の瞬間。今まで動きを見せることのなかった人型の頭が、グリン、と明らかに関節の可動域を超えた動きで莢とアレーティアの方を向くと、パカッと口を開けた。
「!?危ない!」
その中にはいつから溜め込んでいたのか、膨大な量のエネルギーが収束されていた。オロチが駆け出すが、ここで鈍足が祟り、たどり着くより前にそのエネルギーが光線として二人に放てれていまう。
「くっ……ぅぅうう…!」
アレーティアは慌てた様子で障壁を貼るものの、一気にヒビが入り、今にも砕け散りそうだ。
「まけ…ない…!」
その目には闘志が灯り、踏ん張る足にも力が籠もる。ここで自分が負ければ後ろにいる莢は間違いなく死ぬ。そんなのはお断りだ。
しかし、現実は非常だ。ものの数秒で障壁は消え去り、二人は極光に飲み込まれようと、
「オオオオオ!!」
そこにオロチがなんとか間に割って入り、直剣に戻した剣を盾代わりに地面に刺し、肩で肩を押し込むようにしてなんとか耐える。
「っぅ〜!!やばい、かもっ!」
ハジメはバイザーの中で冷汗をかく。かっこよく登場したは良かったが重たすぎる。剣はともかくとして、極光の余波でゴリゴリダメージを受け続けながら耐えるというのは、とてもではないが体力も持ちそうにない。
(あ、死ぬ。)
次の瞬間、
「食らっときなさい!このパチモン!」
莢が、魔物から取得した纏雷で、ビートレスに電流を流し、レールガンに変貌させたそれの引き金を、罵声とともに引いた。
『!?』
見事に直撃し、極光が一瞬逸れる。
「凍柩!緋槍!」
更にそこへアレーティアからの温度差の攻撃が襲い掛かり、極光がとぎれた。
『kyu……uu』
「こいつで、終わりだ!」
オロチはここぞとばかりに走りながら、エネルギーを纏わせた拳を突出す。それはヒュドラネオの顔面を貫き、心臓を抉る。断末魔を上げるまもなく、今度こそヒュドラネオは、完全に沈黙した。
うい。今回はここまでです。
ヒュドラくんのいくつかの能力をオミットしつつ、それなりに強化しました。あれ、仮面ライダー勢、超強い…?鹿もまだ強化フォームもあるから…。
大丈夫かな…。
えー、感想、ご意見、お待ちしております。はい。
次回は説明会です。
「読者の人たち絶対にやっとか、って思ってるよ。」
だっていい機会がなかったんだもん。
「子供か。まあ頑張りなよ。」
うっす!ハジメさん!
「…不安だ。」