今回は説明会ですね。ハジメの過去について触れていこうと思います。
ではどうぞ。
「あ〜ぁ、よく寝た。」
心地の良いそよ風が吹き、薄いカーテンの布がその風に合わせてふわりと舞う。その一室でハジメはベッドからモソモソと起き上がった。
あれからハジメたちは、門番のヒュドラネオを討伐したことで開いたあの巨大な扉を潜り、反逆者の住居へと歩を進めた。
「それにしてもすごいなここ。地下だなんて言っても誰も信じないだろ。」
そこには、太陽の様な暖かな光が辺りを照らし、心地の良い水の音が聞こえてくる。その奥の部屋は一面が滝になって、川に合流して奥の洞窟へと流れ込む。
そんな絶景とも言える空間が広がっていた。
ハジメ達は、ひどく疲れ、散策は程々にベッドを見つけるやいなや、ダイブしてそのまま眠ってしまっていた。
「ふぁああ。まだ二人とも起きてないかな…。」
ポリポリ頭をかきながら布団から出ると、ハジメは日本にいたときからやっている朝食作りを始めることにした。
「えーっと、昨日見つけた畑に野菜はあったし、川にはお魚がいたからどっちも食べられるか確認して…」
主食がなーい、などとブツブツ呟きながら住居内を歩くハジメ。畑で野菜らしきものを収穫し、川で魚を取ると、あらかじめ見つけておいたキッチンで料理を始める。
「朝だし軽いものでいっか。とはいえあんまり調味料とかもないしなー。」
切ったり骨を抜いたり炒めたり。据え付けの調味料をなんとか駆使して、みるみる間に食材が料理へと変化していく。
するとその匂いに惹かれたのか、ボサボサの頭をした莢と、それよりかは少しマシではあるが、半目のアレーティアがキッチンに入ってきた。
「おはよ〜」と、気の抜ける挨拶に思わず膝の力が抜ける。そのままテーブルに向かった二人に、やれやれと首を振りながら料理を運んでいくハジメ。
そんな日常の一コマのような光景を感慨深く感じるハジメだったが、。昨日何も食べずにさっさと寝てしまったために、とにかく腹が減ったので、とりあえずその他諸々はおいておき、「いただきます」を済ませて朝食にありつくことにした。
朝食を済ませ、食器の片付けをいていると、アレーティアから時間がほしい。と言われ、洗い物も程々に済ませ、また3人はテーブルへと集まった。
「で、どうしたのティアさん。」
「…二人について教えてほしい。特にハジメのあの姿のこと。」
アレーティアの強い意志がその言葉にはこもっていた。
いつか聞かれるとは思っていたし、追々説明するつもりではあった。ちらりと莢の方を見ると、彼女は頷くことで賛成の意を表す。
「話すのはいいんだけど、さてどっから話したもんか…。取り敢えず力を手に入れた頃の話をしようかね…。」
ハジメは椅子の背もたれに体重を預け、顎に手を当てて、懐かしむように語り始めた。
あれは、2年くらい前の、まだ中学生だった頃の話だよ。あのときはまだ莢さんとも接点はなかったし、一人称も「僕」だったかな。
その時の俺はなんの変哲もないただのオタクだった。キモオタと呼ばれるようなほどではなかったし、別に恥ずかしいとは思ってないけど。
その日、俺はとあるイベントに言ってたんだけど、帰り道で不良に絡まれてた子連れのおばあちゃんを見つけてね。間に割って入ったは良かったけど、そのときは別に腕っぷしも弱くてね。結局返り討ちにされかけたんだ。
その時さ。僕の運命の出会いがあったのは。ああ、もちろん恋の話じゃないからね。俺は莢さん一筋だし。
「獅子島 剛」。先代のオロチであり、俺のあこがれの人。その人がたまたま近くを通りかかって、不良共をこてんぱんにして俺もろともおばあちゃんたちを助けてくれた。
その時は怖かったんだけど、あとからいろんな人に聞いたら、近所ではちょっと名の知れた兄貴分ってことが分かった。
その時は学校も違って、ほぼ接点なんかなかったんだけど、それから高校に進学したら、びっくりなことに剛さんが上級生として通ってる学校でね。そりゃもう小躍りして喜んだもんさ。
それから俺は、その人に弟子にしてもらえるように頼み込んだ。え?理由?…うーん、腕っぷしの強さもそうだけど、どっちかというと、あの人の生き方に惚れ込んだのかな。自分のことにしか興味なかった俺にも、あの人は輝いて見えてたし。
最初は相手にもされなかったな〜。ま、当たり前なんだけど。けど、ずっと諦めずに土下座し続けてたら、とうとう約束してくれたんだ。弟子にしてくれるってね。
「あのときは嬉しかったなぁ。」
懐かしいような、寂しいような顔をしながら、一旦川から汲んできた水を飲み、一息つくと、ハジメはまた語り始めた。
だけど、。そんな日常にヒビが入り始めた。休みの日に、剛さんの舎弟の三人、また今度詳しく紹介するけど、彼らと一緒に剛さんのところに行くことになった。剛さんと合流して、さあ出かけようと思ったその時、俺達は一体の怪物に襲われた。
後からワニガメネオと命名されたそいつは、迷いなく近くにいた俺達に襲いかかってきた。
その時、俺は剛さんがオロチだってことを知った。あの人は、俺たちを背に守りながら戦い始めた。けど、お荷物をせおっての戦いに、剛さんはどんどん劣勢に追い込まれていって、ついには変身を保っていられなくなった。だけど、俺たちを守るために剣を一本携えて敵に突っ込んでいった。
「俺たちのせいで、剛さんは死んだ。」
ハジメは先程よりも沈んだ顔でコップを握りしめる。ビシビシという音を立てながらヒビが入っていくコップを見るに、何もできずにお荷物となり、憧れの人を死なせたことが、相当悔しく、そして情けなく感じているのだろう。
コップが完全に粉砕されたところでようやく自分が力んでいたことに気がついたのか、ハジメはそれを錬成でもとに戻すと咳払いをしてから話を再会した。
それから俺達は、「REGISTER」っていう組織に保護された。そこではネオの研究やライダーシステムの運用をしている組織に救出されて、他のライダーシステムの装着者の人達とであったりしたんだけど、今回の話とは関係ないから割愛するよ。
しばらくして、またワニガメネオと遭遇した。戦いの傷を癒やすために休眠状態に合ったらしくて、それが目覚めてまた俺たちを襲ってきたんだと。
俺の一つ上の先輩で、近くの学校に通ってた装着者の一人、「御剣 龍也」先輩が助けてくれたんだけど、もう一体ネオが覚醒して乱入。そいつらが連携を取り始めて2対1になって、また殺されかけた。
「そんなときだよ。」
ハジメの座っていた席の上にオロチが這い上がってきた。
「こいつが力を貸してくれたのはね。」
それから2対2に持ち込んでなんとか相手を倒した。まあ、だいぶ先輩が削ってくれてたからなんとか勝てたんだけどね。それから俺は、こいつを受け継いで二代目のオロチとして戦うようになった。
「これが、俺が力を手に入れた経緯。何か質問は?」
ハジメがそう言いながら視線をアレーティアに移す。すると、アレーティアは目尻から涙を流していた。ギョッとなったハジメは思わず手を伸ばし、流れ落ちる彼女の涙を拭き取る。
「どっどどどどうしたの?」
「…ゥウッ、ハジメ、辛い。」
どうやら彼女はハジメの為に泣いていてくれたらしい。隣にいる莢が、幼い妹を慰めるかのようにユエの頭を撫でた。
スンスンと鼻を鳴らしながらも、莢から撫でられるのが気持ちいいのか猫のように目を細めていた
しばらくして落ち着いたところで、はじめが切り出す。
「さて、ここまでは俺が力を手に入れるまでの話。次は…」
ハジメが服の袖を捲ると、そこには蛇の鱗のようなものがびっしりと生えていた。
「ティアさんが一番気になってるこれについてだね。」
それを見てアレーティアは真剣な顔で頷いた。
「まずはじめにネオについて説明しようかな。これはティアさんが思ってるのとはちょっと違う。」
この力は、「神の因子」と呼ばれる一部の、あー、天才?とか、神童とか呼ばれているよう生命体が持っている特殊な因子が覚醒した者だ。
鯉が滝を登りきって龍になったっていう伝説があるんだけど、これはその因子を、鯉が覚醒させたってところだね。
ただし、普通に過ごしているだけじゃあその力は覚醒しない。覚醒のさせ方は2通りあってね、まず、神の因子のことを自覚し、努力を重ね、その才能を完全に開花させること。
そして2つ目は、
「無理やり力を開放させる方法」
「無理やり?」
強調して言ったところを反復するアレーティアに、ハジメは頷く。
「そう。無理やり。特殊な微生物、『ネオウイルス』を体内に注入することで強引に因子を開放させる。」
聞く限りでは素晴らしいことだ。注射一本を体内に注入するだけで、自身の才能を開花させることができるのだから。
しかし、美しいバラには棘があるように、うまい話には裏がつきものだ。
ただし、と言いながらハジメは人差し指を立てる。
「この方法にはある副作用がある。」
「これは、正しくない手順《チート》で力を引き出す方法だ。」
「もちろん神の因子《システム》にはバグが生じる。」
「バグは神の因子を乗っ取り、その内持ち主にまで影響を及ぼす。」
「そこで生まれるのが、」
「…ネオ。」
「その通りだティアさん。」
手に撮ったものを破滅へと導く呪われたバラ。そのバラは美しすぎるがゆえに、茎にある棘はあまりにも鋭く大きい。
「これが俺たちの世界にいたネオの成り立ち。」
ハジメはヒョイ、とオロチを捕まえると折りたたみ、、アレーティアに渡す。
「そして、そいつらはそれに対抗するために作られた。目には目を、歯には歯を、
ネオにはネオを、という考えの元ね。」
「!」
「そいつは、変身するときにスーツから装着者の神経系に疑似神経を接続し、スーツの駆動能力を上昇させる。それと同時に、神の因子から力を引き出し、身体能力を飛躍的に上昇させる。」
それを聞き、アレーティアは首を傾げた。
「ネオとは何が違うの?」
どちらも正しくない方法で因子を開放させているではないか。アレーティアはそう思った。それに対してハジメは軽い拍手を送る。
「いいところに気がついた。ネオとライダーシステムとの差、それは、神の因子の弄くり方の度合いだ。」
「ネオは薬品で一気に因子を開放させるのに対して、ライダーシステムの方は、スーツから神経系を経由して、あくまでも力を引き出す程度に抑える。」
「足りない部分は、外側のスーツで補う形で纏う。」
「それによって、ネオになることなく長期間戦うことができる。」
「それがこの人体兵器、ライダーシステムだ。」
「…人間の所業とは思えない…。」
アレーティアはそれに、嫌悪感を隠そうともせずに顔に浮かべ、自分の手の中にあるオロチに視線を落とした。
「もちろんそいつも使い続ければ、代償として体が化け物へと変質していく…。」
ハジメはぽん、と鱗を叩き、もの寂しそうに笑う。
アレーティアは、そこに声をかけられずにオロオロする。自分とはまたベクトルの違う悲しみに満ちた瞳にどうすればいいのかわからなかった。伸ばそうとした手が行き場を失って迷子になってしまう。
「ハジメ。ティアが困ってるよ…。」
「ん?おっとごめんこの話をするとどうにもね…。」
ごめんごめん、と謝るハジメの顔には、もうあの寂しそうな表情は無かった。
莢がいるからこそ今のハジメがある。ハジメを支える存在は、やはり彼女だ。
アレーティアはそれを感じ、なんとなく負けたような感覚に襲われながら、ふと気になったことをハジメに聞いてみることにした。
「ハジメは…。」
「ん?」
「ハジメは辛くなかったの?」
「辛かった。死にたくなったこともあった。後悔も未練もタラタラだ。」
「じゃあ、なんで戦うことが出来た?」
「…かっこいい男になりたかったから。」
それだけさ
ハジメはニッと笑って答えた。
はい、今回はここまでです。
うーん(゜-゜)。この設定はどうなのだろうか。すごく不安です。
気になることがあったら感想に書き込んでいただけると助かります。
「テストは終わったのか。」
おう。終わったぜい。
「毎日投稿は出来そうか?」
うーん、ちょっとやめようかな。
「君のとりえそれしかないくせに。」
いうなー!それを言うなー!!