仮面ライダーオロチ   作:御剣龍也

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着々とお気に入りが増えてきていることに喜びを隠しきれないどうも作者です。

このような駄文を読んでいただき、嬉しい限りです。

今回はクラスメイトサイドですね。それではどうぞ。


覚悟

時は過去。光輝達が迷宮から脱出した辺りまで遡る。

 

その翌朝、光輝達神の使徒は高速馬車で王都に帰還した。

 

全員、とてもではないが迷宮内で実戦訓練を続行できる雰囲気ではなかったし、何より勇者の同胞が死んだ以上、国王にも教会にも報告は必要だった。それに、こんな所で心が折れてしまえば致命的な障害が発生する。なら、それよりも前に勇者一行のケアが必要だという判断もあった。

 

メルドから二人の死亡が伝えられた時、王国側の人間は誰もが愕然とした。彼等にとって勇者とその仲間達は自分達と魔人族との戦争を、勝利という形の終焉に導くための大切な存在なのだ。その勇者の仲間が、まだ魔人族と戦う前に死ぬなど冗談ではない。

 

この場に居るのはメルド以外では光輝、龍太郎、雫の人。主力である彼らがここにいることはひとまず安心ではあるが…。

 

「い、一体誰がなくなったのかね………」

「神凪莢と南雲ハジメの2名です。」

 

「なんと、神凪殿が…!」「なんと惜しいことを…。」「なぜだ、なぜ死なせた!」

 

莢の死を惜しむ声があちらこちらから上がる中、ハジメに対してはと言うとそんなものはなく、逆に、

 

「南雲?誰だそれは。」「あぁ。あの無能の錬成師では?」「戦うことを拒むあの『卑怯者』の。」

 

国王やイシュタルも明らかにホッとした顔をした。

 

そして周囲からも話し声が聞こえてきた。彼等は小さな声で言っているが、超人の感覚を手にした光輝達にはハッキリと聞こえている。

 

 

「ああ、何だ。そこだけは良かった。」「神の使徒のくせに役にも立たない者など死んで当然だ。」「戦争の前に死んでくれて良かった。足を引っ張られてから死んだのでは迷惑でしかない。」

 

 

「…。」

 

光輝はそれを聞いて、彼らのことを侮蔑した目で見回すと、「馬鹿らしい…」と呟きながら踵を返して部屋から出ていってしまった。

 

 

 

話はかわるが、このことを聞いていたり、家でこのことを聞かされた使用人や家族は、

 

 

一言でいうとブチギレた。

 

 

と、言うのも、パワーバランスが崩れない程度にではあるのものの、ハジメの提供する現代の地球の情報や技術は、どれもこれもこのトータスにおいて貴重なもので、この数ヶ月間で王宮や、貴族の屋敷の生活水準は大きく進化していた。

 

特に、莢とハジメが共同で作成していた日用品や石鹸、リンスやシャンプー、化粧水などは婦人層からの絶大な人気を持っており、それを作り出したハジメにのことををは卑下していた貴族たちは、しばらくの間、家の内の空気がお通夜だったとかなんとか。

 

幸いにも王宮の錬成士達がハジメからそれらの作り方を教わってはいたため、なんとか似たようなものを作り出すことはできたものの、それでもハジメの作るものとは比べ物にならない品質のものに落胆している人たちが多く存在し、お付きの錬成士に品質改善を進めさせている。

 

結果として、家族を持つ貴族たちや、王宮で働く貴族や王族は、ほんの数日でハジメに対しての評価に手のひらを返し、壮大な葬式を開いて彼の死を惜しんだのだった。

 

ちなみに、日用品の試作品をモニターとして使っていたリリアーナ王女は、父親のハジメに対してのあんまりな言動に、その顔面に見事な右ストレートを決めたらしい。

 

 

あとは檜山のことだが、彼はわざとじゃないだの何だのと言い訳をしていたが、彼のことを1ミリたりとも信用していない光輝が一睨みすると大人しくなり、これからは二人のぶんも働いてもらうためにより一層真面目に訓練に取り組ませている。

 

それからというもの、連日番長ズのシゴキにヒイヒイ言いながら訓練場を走り回っている檜山姿が見られるようになったとか。ザマァ。

 

 

あの事件から5日ほど経ったある日、雫はあの日から一項に目を覚まさない香織の手を握っていた。医者によると、体に異常はないためおそらく精神的ショックから心を守るため、防衛措置として深い眠りについて要るだけで、時が経てば自然と目を覚ますだろうとの事だった。

 

雫は香織の身にこれ以上不幸が降りかからない事を祈りながら、莢とハジメのことを誰よりも後悔していた。あのときは幸利の「そのうち帰ってくる」という言葉に、その通りだと思った。しかし、後から冷静に考えてみればあんな場所から落ちて無事なはずがない。それに、食料も何もないままに迷宮の中で何日も生活できるはずがないのだ。

 

今でも墜落していくハジメの怒りの眼光が目に焼き付き、彼女は罪悪感に苛まれていた。もし地球に帰ることが出来ても、二人の保護者にどう謝れば良いのだろうか、と。

 

 

 

まあ、2人とも無事ではあるのだが、彼らの正体を知るのは、幸利、光輝、後から光輝から聞かされた恵理、そして毎度おなじみの番長ズの6人のみで、特にこの2人にはそのことを教えないように口止めされているので、雫がマイナス思考に陥ってしまうのも仕方ないことだ。

 

「ごめんなさい…。本当にごめんなさい…」

 

そう嘆くように謝罪の言葉を口にする雫。それは、未だに目を覚さない親友に向けたものなのか、異世界で死なせてしまった二人のクラスメイトに向けたものか、定かではない。

 

その時、不意に握り締めた香織の手が、弱々しくではあるが、震える彼女の手を確かに握り返した。それに気がついた雫が必死に呼びかけると、閉じられた彼女の目蓋がふるふると震え始め、その手に籠もる力が増していく。そしてついに、香織はゆっくりと目を覚ました。

 

「香織!」

「…雫ちゃん?」

 

雫はベッドに身を乗り出し、目の端に涙を浮かべながら香織を見下ろす。しばらくボーと焦点の合わない瞳で周囲を見渡していた香織だったが、やがて頭が働き始めたのか見下ろす雫に焦点を合わせ、彼女の名前を呼んだ。

 

「ええそうよ。私よ。香織、体はどう?違和感とかはない?」

「う、うん。平気だよ。ちょっと怠いけどそれは寝てたからだろうし…」

「…そうね、もう五日も眠っていたもの。怠くもなるわよ。」

「五日? そんなにどうして、私、確か迷宮に行って、それで…。あ、南雲君は…?」

「ッ、それは…」

 

徐々に濁っていく目を見て、マズイと感じた雫が咄嗟に話を逸らそうとするも、香織が記憶を取り戻す方が早かった。

 

香織は自分の記憶が現実であったことを悟ってしまい、それを容易に受け入れられるほど強くない彼女は、現実逃避するように次々と言葉を紡ぎ、なんとかしてハジメを探しに行こうとする。しかし、雫はその腕を掴んで離さず、悲痛な表情を浮かべながらそれでも決然とした目で親友を見つめた。

 

「…香織。分かるでしょう?ここに彼はいないわ。香織の覚えている通りよ。南雲君は死んだのよ。」

「やめてよ!やめて!南雲君は絶対死んでなんかない!どうしてそんな酷いこと言うの!いくら雫ちゃんでも許さないよ!」

 

イヤイヤと子供か駄々をこねるように、どうにか雫の拘束から逃れようと暴れる香織を、雫は絶対離してなるものかとキツく抱き締める。

 

「離してぇ。離してよぉ!南雲君を探しに行かなきゃ!お願いだからぁ、絶対、生きてるんだから…!」

 

いつしか香織は雫の胸に顔を埋め、縋り付くようにしがみつき、喉を枯らさんばかりに大声を上げて泣いていた。雫は少しでも彼女の傷ついた心が痛みを和らぐ事を願い、ただひたすらに彼女の震える体を抱き締め続けた。

 

それから数時間が経ち、未だ鼻を鳴らしながら腕の中で身じろぎする香織を、雫が心配そうに伺う。

 

「南雲君は、ほんとに、いないの?」

 

香織は今にも消え入りそうな声で、ハジメがここにいない事を尋ねた。雫は誤魔化して甘い言葉を囁けば一時的な慰めになるかとも考えたが、結局後で取り返しがつかないくらいの傷となって返ってくる事はわかりきっているため、敢えて辛い現実を突き付けることとした。

 

「ええ。そうよ。」

 

香織は真っ赤になった目を拭いながら顔を上げて彼女を見つめると、決然と宣言した。

 

「雫ちゃん、私は、南雲君は死んだなんて信じないよ。確かにあそこに落ちて生きていると思う方がおかしいけど、この目で確認したわけじゃない。可能性は1%より低いけど、まだゼロだって決まったわけじゃない…。なら、私信じたいの。南雲君は生きてるって。」

 

「香織…」

 

「私、もっともっと強くなるよ。それで、今度こそ南雲君を守れるくらい強くなって、自分の目で確かめる。だから雫ちゃん、力を貸してください。」

 

その目には、「ハジメは生きている」という確固たる自信と、強い信念が宿っていた。

 

ようやく戻ってきてくれた頑固な親友に、雫は安心から無意識にため息をつき、それから優しい顔で頷いた。今の話を聞けば、ほとんどの人間が香織の考えを正そうとするだろう。だからこそ、雫は自分だけでも香織の味方になりたかった。

 

「もちろんよ。貴方が納得するまでいくらでもつきあうわ。」

「ありがとう!雫ちゃん!」

「礼なんていらないわ。親友でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、親友が戻ってきてくれたことに頭がいっぱいだった雫は、あることに気がついていなかった。

 

香織が先程から生存を信じているのは、南雲ハジメただ一人であることだ。ハジメのことはあれだけ「生きている」と言っていたが、ともに落ちていった莢のことは、会話にすら出てきていなかった。そして、瞳に宿る光の奥、香織自身すら気が付かないほどの深い場所で、仄暗い欲望が蠢いていた。

 

「南雲君は絶対に生きてるんだから。」

 

その顔に浮かべる笑顔は、とても可憐で、かつ力強く、そして酷く歪んでいる。

 

「必ず私が迎えに行くから、待っててね。」

 

香織の瞳が、怪しく揺らめいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雫。香織の様子は…。」

 

と、そこに、ガチャリという扉の開く音と共に、光輝と龍太郎が部屋に入って来た。

 

しかしいま、香織は雫の膝の上に座り、雫の両頬を両手で包みながら、今にもキスできそうな位置に顔があり、雫の方も、香織を支えるように腰と肩に手を置き、彼女を抱き締めている。二人は意図せずして百合百合しい光景を作り上げていた。

 

光輝はそんな二人の今の様子を見て、全て察したような慈愛に満ちた顔をすると、そのまま龍太郎を部屋から押し出し、自身もくるっと二人に背を向ける。

 

「二人とも、俺は別にそういったことに偏見は持たないし、言いふらしたりもしない。ただし、親御さんへの言い訳は考えておけよ。」

 

それだけいうと、状況を理解して固まる雫をおいてさっさと部屋から出ていってしまった。

 

雫はしばらくの間口をパクパクさせていたが、ハッと正気に戻ると、握った拳をプルプルと震わせ、

 

「戻ってきなさい!この大馬鹿者共!」

 

と叫び、二人を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―神の因子の覚醒を確認―

 

―成長によっては我らが主の肉体としても使用可能―

 

―観察を続行―

 

―場合によってはターゲットに接触を図る―

 

―全ては我らが主の為に―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。今回はここまでです。


あんまり原作とか他の二次創作と変わらない展開になってしまった。

次回はハジメ達サイドに戻ります。

それでは次回もお会いしましょう。

感想ご意見お待ちしております。

光輝を仮面ライダーにするならどの形式がいい?

  • ファイズ形式(ベルトをとられるかも。)
  • イクサ形式(体に強い負荷がかかる。)
  • G3形式(他のものよりちょっと弱い。)
  • アマゾンズ形式(人じゃなくなる。)
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