今回はサクッとベヒモスをムッコロして、どんどん勧めていこうと思いまーす。
ではどうぞ。
光輝達勇者御一行は再びオルクス大迷宮に訪れていた。ただし訪れているのは光輝、恵理、龍太郎、雫、香織、鈴の勇者パーティと、永山重吾という大柄な柔道部の男子生徒が率いる男女五人のパーティー、そして檜山を入れた番長ズのみだった。
一部の生徒達は愛子の護衛を買って出ていた。
だが、これは恩師を守るという名目ではあるものの、実際には、いくつもの「死」というものを間近で見たせいで心が折れ、愛子の好意に甘えて自分達の決断から目をそらしただけの話だ。
この話を聞いて、初めは国も教会もいい顔をしなかった。「勇者が負けた」など、対外的に宜しくないからだ。しかし、愛子の必死の説得と、光輝のある一言により、それが認められた。
『足手まといはいらない。』
雫は、そのあんまりな言い様に光輝を問いただしたが、本人は心底呆れた、というように、
「戦争に参加すると言ったのは彼らだ。それを怖いから、という理由で放り出してさ。足手まといでしかないだろ?」
と言った。
「命を捨ててでも〜」と言っていたではないか、と誰かが聞いたが、それに対しても光輝は、
「必要最低限自分の身も守れない奴らをどう守れって?君たちにはチートスキルがあるんだろ?」
という至極真っ当な答えで返す。数十人の足手まといを守りつつ戦うなどという神業はいくら勇者であろうともそう簡単にできるものではない。ならば、王城に引きこもってくれているか、戦いから離れてくれていたほうがいくらかマシだ。
「ここは日本じゃないってことをいい加減自覚しろ。守られる基準を同じにするな。」
未だにゲーム感覚の抜けきっていなかったクラスメイトたちは、その言葉で完全に折れてしまった。
ちなみに、愛子のところには幸利と、他にも神殿騎士という教会のエリート達が付いた。なお、顔がいい。十中八九逆ハニトラ要因であるのだろうが、正直なところあの愛子がそれに気がつくはずもない。そのため早々心配することはないだろう。
さて、それはおいておき、今光輝達は、見覚えのある石橋のある部屋に足を踏み入れていた。現在の階層は六十層。確認されている最高到達階数まで後五層というところだ。
目の前の光景に、メンバーは何時かの悪夢を思い出して思わず足が止まってしまう。目の前にある断崖絶壁は、あの悲劇を思い起こさせた。
「香織。きっと大丈夫よ。」
その暗闇を見つめる香織に、雫が声をかける。香織はその言葉に少しだけ表情を和らげた。
「うん。ありがとう雫ちゃん。」
そこへ、光輝が歩み寄ってきた。雫は「またか、」というように顔を顰める。
「香織、雫。南雲と神凪さんの心配もいいが、あまり気を抜くなよ。」
しかし雫の予想は外れ、光輝はそれだけいうと、他のクラスメイト達にも声をかけに、離れて行ってしまった。
突き放すような、ぶっきらぼうな口調の中に、幼馴染を思う優しさが垣間見える。そんな不器用な優しさを見た雫は、フッと頬を緩めた。
以前までの彼なら、根拠の無い自身と、ご都合主義な解釈で、的はずれな慰め方をしていただろう。
「本当に変わったわね。」
前よりトゲも出たが、それ以上に責任感と覚悟がその瞳に灯って見える。なんとなく顔も凛々しくなって、体つきも良くなっている…
(って私は何を?!)
顔を真っ赤にして、ブンブン頭を振って雑念を払おうとする雫に、香織が目をパチパチさせていた。
「さ、行くぞ。」
橋の上に足を踏み入れたものの、何となく嫌な予感がする一同。
その予感は的中した。広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
「ここは迷宮だぞ。少し勉強すれば知っていて当然のことだ。いちいち驚くんじゃない。」
龍太郎が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいる。光輝だけは「来ると思っていた」と、落ち着いた様子で聖剣を引き抜き、恵理も杖を構える。檜山を除いた番長ズの面々もそれに続いて、それぞれクギバットを構えた。
「総員、気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」
「メルドさん、俺r「了解!近藤、頼めるか。」」
「おっおい光k「任せとけ。行くぞ。真治、樹三。檜山。」泣いていいか?」
そして、遂に魔法陣が爆発したように輝き、かつての悪夢が再び光輝達の前に現れた。約1名ぞんざいに扱われている人物がいる気がするが、気のせいである。
「グゥガァアアア!!!」
咆哮を上げ、地を踏み鳴らす魔物。ベヒモスが光輝達を壮絶な殺意を宿らせた眼光で睨む。
だが、光輝はニヤッと口角を釣り上げると、剣を逆手に構え、獣のように姿勢を低く構え、
「行くぞベヒモス。」
悪夢へと飛び出した。
「斬り刻め“嵐刃”」
聖剣に空間が歪んで見える程の暴風が纏わる。訓練の成果により、詠唱をいくらか短縮できるようになっており、それによって、スキなく魔法を発動させる。
嵐の刃は、光輝が聖剣を振るうことでベヒモスの頭部に向けて飛び出し、その立派な角に浅くない傷を刻み込んだ。
更に、剣を振るった勢いで体を地面と平行に回転させ、もう一つ魔法を発動させる。
「天翔閃」
獣の爪のような光り輝く斬撃が地を這ってベヒモスに迫り、その凄まじい切れ味により角が中程から両断された。
「見たな?俺は強くなったぞ!お前たちはどうだ!」
光輝のその言葉に、無意識のうちに、悪夢の化身に怯えてしまっていたクラスメイト達はハッとする。それを先導するように、龍太郎と雫が声を張り上げる。
「ヘッ。お前だけにいい格好させねえぞ光輝!」
「みんな、行くわよ!」
『『『おう!』』』
その声に、全員がそれぞれの武器や杖などを構え、悪夢を振り払うように戦い始めた。
〜暫く後〜
あれから、ベヒモスを無事討伐した光輝達は、またもやハイリヒ王国に舞戻って来ていた。
なんでも、ベヒモスを討伐し、前人未到の65階層を踏破した、という噂が、隣国のヘルシャー帝国まで知れ渡ったらしく、勇者一行を一目見ようと使者が訪れるのだそうだ。
元々、同盟国である帝国に知らせが行く前に勇者召喚が行われてしまい、召喚直後の顔合わせが出来なかったのだが、もっとも、仮に勇者召喚の知らせがあっても帝国は動かなかっただろう、と光輝は考えている。
帝国は冒険者や傭兵の聖地とも言うべき、完全実力主義の国であり、そんな国の国民たちが、突然現れた謎の集団が人間族を率いる勇者達である、と言われても納得出来なんぞできないだろう。
そんな訳で、教会を前に、神の使徒に対してあからさまな態度は取らないだろうが、召喚後、帝国の上層部、特に皇帝陛下が興味を持つことすらなかったことから、どう思われているのかは想像に難くないため、今まで顔合わせなどは無かった。
しかし、今回のオルクス大迷宮攻略で、最高記録である65階層が突破されたことを耳に挟んだことで、帝国側から是非会ってみたいという知らせが来たため、その顔合わせのために今回ハイリヒ王国に戻っていたという訳だ。
「…時間の無駄だな。」
「ほんと。」
「さっさとハジメのヤローを探さないといけねえってのによぉ。」
さっさと迷宮に潜りたい光輝と恵理、番長ズが小声で文句を言いつつ王城に着いた馬車から降り、門へと歩いていく。
そんな彼等に一目散に駆け寄ってくる人影があった。それは十歳位の金髪碧眼の美少年である。以前待て光輝と似た雰囲気を持つが、ずっとやんちゃで、子供っぽそうだ。その正体はハイリヒ王国王子ランデル・S・B・ハイリヒである。ランデルは、犬耳とブンブンと振られた尻尾を幻視してしまいそうな雰囲気で駆け寄ってくる。
「香織! よく帰った! 待ちわびたぞ!」
不思議なことに、どうやらランデルは香織以外目に入っていないらしい。
実は香織は召喚された翌日からランデルにアプローチをかけられていた。しかし、香織からしてみると、7歳以上も年の離れたかわいい弟のようにしか見えないようで、悉く玉砕されていた。
それでも諦めないところは素晴らしいのだが、完全に勘違いされているところを見ると、だんだん可愛そうになってくる。
「ああ、本当に久しぶりだな。お前が迷宮に行っている間は生きた心地がしなかったぞ。怪我はしてないか? 余がもっと強ければ、お前にこんなことをさせないというのに……。」
精一杯男らしくなろうとするも、香織からして見れば少年の微笑ましい心意気でしかない。彼女は安心させるようにニコッと微笑む。
「お気づかい有難うございます。ですが私なら大丈夫ですよ。自分で望んでやっていることですから。」
「い、いや、香織に戦いは似合わない。その、ほら、もっとこう、安全な仕事もあるだろう?」
「安全な仕事…ですか?」
「うむ。例えば、そうだ、侍女などどうだ? 今なら余の専属にしてやってもよいぞ!」
どうだ!とばかりに胸を張るランデルだが、香織はキョトンと首を傾げる。
「侍女ですか? いえ、すみません。私は治癒師ですから……………」
「な、なら医療院に入ればいい。迷宮なんて危険な場所や前線に行く必要はないだろう?」
つまるところ、ランデルは香織と離れたくないのである。しかし、鈍感で純粋な香織にその気持ちは届くことはない。
ちなみに医療院とは、国営の病院であり、王宮のすぐ傍にある。莢が活動いていた場所だ。
「いえ、前線でなければ直ぐに癒せませんから。心配して下さり有難うございます」
「うぅ」
そこへ、見ていられないとばかりに光輝が割り込んだ。
「ランデル殿下。彼女は我々が責任を持って守りますゆえ、殿下の手を煩わせる事は御座いません。」
少しドスの効いた声に、ランデルはビクリ、と体を震わせ、怯えた顔で光輝を見上げた。
ランデルは、ハジメと莢が死んだと聞かされたときに香織が悲しんでいた理由を間違えて解釈し、彼女は莢という友人が無能にあしを引っ張られて死んでしまったことに悲しんでいる、と思ってしまった。
それを光輝達に当たり散らしたのだが、その時、光輝に胸ぐらを掴みあげられ、無言でにらみつけられた事がトラウマになってしまったようで、それ以降光輝のことを怖がるようになったのだ。
気まずい空気が流れる。するとそこに、凛とした少し厳しさの含んだ声が響いた。
「ランデル。いい加減にしなさい。香織が困っているでしょう? 光輝さんにもご迷惑ですよ」
現れたのはランデル殿下の姉である王女リリアーナだ。
「あ、姉上!? ……し、しかし……!」
「しかしではありません。皆さんお疲れなのに、こんな場所で引き止めて……。皆様はお疲れなのですよ?」
「うぅっ……で、ですが……!」
「ランデル?」
「よ、用事を思い出しました! 失礼します!」
己の非を認めたくないため、脱兎の如くこの場を離れるランデル。そのの背中を見送るリリアーナは溜息を吐いた。
「香織、光輝さん。弟が失礼しました。代わってお詫びしますわ」
「ううん、気にしてないよ、リリィ。ランデル殿下は気を遣ってくれただけだよ」
「えぇ。王女様がお気になさる必要は御座いません。」
リリアーナは光輝の他人行儀な話し方に残念そうに顔を歪める。
「リリィでいいと申し上げているのですが…。」
「ご冗談を。貴方様はこの国を背負っていかれる大切なお方。そんな呼び捨てなど失礼でとてもとても…。」
リリアーナは、「まあ、良いです。」と言うと、むすっと膨らませていた頬をすぐにもとに戻して光輝達に告げる。
「とにかくお疲れ様でした。お食事の準備も、清めの準備もできております。ゆっくりとお寛ぎくださいませ。帝国からの使者が来られるのは未だ数日は掛かります。準備は私ども画がおこないますのでお気になさらず。」
こうして迷宮で疲弊した心と身体を癒していくクラスメイト達だった。
その3日後、帝国からの使者が光輝達のもとを訪れた。
切がいいのです今回はここまでです。
ベヒモスはほとんど前座となりました…。光輝君ファンの方には不評かもしれませんが、光輝君はこれからも魔改造という名の作者の好みにしていこうと思ってます。
それでは次回も宜しくです。
感想ご意見お待ちしております。
「今回おそすぎない?」
む、ハジメさんや。あんたも18になればわかるさ。免許取るって大変なんだぞ。
「いや、俺ライダーだから。そういう試験は実践でパスした。」
にゃにおう!?
光輝を仮面ライダーにするならどの形式がいい?
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ファイズ形式(ベルトをとられるかも。)
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イクサ形式(体に強い負荷がかかる。)
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G3形式(他のものよりちょっと弱い。)
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アマゾンズ形式(人じゃなくなる。)