仮面ライダーオロチ   作:御剣龍也

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よっ。
(エボルトぉぉお!)
というわけで本日も投稿です。
よーやく召喚されましたハジメ君達はここからどうなるのでしょうか。


戦争

「はあ…。」

 

はじめは大きなため息を付き、自分の手を見つめた。

思い出されるのは、昨日の戦いに巻き込まれ亡くなった一組の家族のこと。

 

5歳の女の子だけは辛うじて守りきることができたものの、その子もいきなりいなくなった家族に戸惑い、別れるまでの間ずっと泣き続けていた。

 

「俺は結局、何も守れない…。」

 

何という非力な腕だろうか。外見だけが立派になり、結局中身はスカスカだ。

 

あの小さな女の子の心すら守れない。その事実がハジメを苛つかせる。

 

あの人なら出来たはずだ。あの人ならもっと上手くやれたはずだ。

 

「クソッ!」

 

その苛立ちをなんとかしようと通路の壁に拳をぶつけー

 

「やりすぎよ。」

 

その拳を後ろから生えてきた手が優しく包み込んだ。

ハジメが振り返ると、今では見慣れた白みがかった髪を揺らす少女の姿があった。

 

戦いに見を投じるようになってからはや数ヶ月。初めて彼女と出会った瞬間だった。

 

_____________

 

 

眩しい光に目を開けていられなかったハジメは、本来人間には備わっていない器官で周囲の状況の把握を試みる。

 

初めは何も感じなかったが、しばらく立つと今まで存在していなかった人影が、自分たちを取り囲むようにしていることがわかった。

 

光がやんだのを感じ、いち早く目を開くハジメ。その目に飛び込んできたのは、教室とは似ても似つかない巨大な礼拝堂のような空間。そして、天使が祈りを捧げる人間に語りかけているような構図の壁画だった。

 

更に周囲を見回すと、そこには先程感知したであろうきらびやかな衣装に見を包み、こちらに祈りを捧げる神父らしき集団がいるのがわかった。

 

ハジメが周囲を伺っていると、ふと腹のあたりを突かれる。

 

「ハジメ、恥ずかしい…。」

 

そういえば教室で抱きしめたままだった。

ハジメは顔を真っ赤にした莢から少しだけ離れ、また周囲の警戒を始める。

 

先程の光に遅れを取ったことで、ハジメは余計にピリピリしていた。

 

(こいつらは何者だ?ここは何処だ?クソ、判断材料が少なすぎる。少なくとも日本じゃないことは解るが…)

 

ハジメが考えをめぐらしていると、今まで跪いたままだった神父達が立ち上がり、その中でも特に豪華な姿をしている老年の男が話し始めた。

 

「ようこそトータスへ。勇者とそのご同包の皆様。歓迎いたしますぞ。私は聖教協会で教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申すもの。以後、よろしくお願いしますぞ。」

 

(トータス?そんな地名聞いたことがないぞ。それに勇者だと?完全にファンタジーの世界じゃないか。ここは地球ではないと考えたほうがいいな。

ベルトもないしオロチもいない…いざとなったら素体に変身して戦うしかないかな…。)

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

次にハジメ達は、幅10m程はありそうな机が並ぶ、巨大な部屋まで案内された。

光輝が持ち前のリーダーシップをフル活用したおかげで、混乱状態に陥ることなくスムーズにことが運ぶ。

 

全員が席につくと、見計らったようにメイド服を着た美少女達や、執事服を着た美男子たちが飲み物を載せたカートを引いて部屋に入ってきた。

 

その光景に殆どのクラスメイトが目を奪われる中、ハジメだけは彼らに対し、酷い違和感を感じていた。

 

よくよく見ていると、歩くときに服が邪魔そうな素振りを見せたり、お茶をカップに注ぐ動作もぎこちない。何より、

 

「ねぇハジメ。このお茶不味くない?」

 

お茶を飲んだ莢の顔が濁る。

彼女たちが入れたお茶は消して美味しいものではなかった。辛うじて飲めなくはないので、本当に基礎の基礎は勉強してきたのだろうが、本来こんなお茶を主人に出したら即刻首にされるであろう。

 

ハニトラ要因にそこらへんの顔のいい人たちをかき集めてきたな?と推測するハジメ。

 

そのお茶を突き返すと、イシュタルと名乗った男をジロリと睨みつけた。

ハニートラップを仕掛けられた時点で、彼に対する信頼度は既にマイナスになっていた。

 

お茶が行き渡り、美男美女たちが退場したところで今まで黙っていたイシュタルが話し始める。

 

すべて話し終える頃には40分ほど立っていたので重要な部分のみを切り取ると、

 

・ここはトータスという世界で、俗に言う剣と魔法のファンタジーの世界である。

 

・人間、魔人、亜人の3つの人種が住んでおり、次いで魔物という生物がいる。

 

・魔人族と人間で戦争をしている。

 

・魔神族が魔物を使役するすべを身に着け、人間が負けそう。

 

・唯一神のエヒト様から勇者を呼んでくれるという神託があった。

 

・あなた達には勇者として人間を救ってほしい。

 

 

といった内容だった。それを聞いたハジメはと言うと、

 

(つまり戦争しろってことじゃん。てか負けそうになったから他の世界から戦力集めてくるってどうなのさ。それにエヒトとか言う神様も信用できないぞ。)

 

という感じで不信感バリバリの警戒態勢に入るほどになっていた。とにかく怪しさ満点なのだ。

 

先程から主観的な感想や考察しか話していない上に、どこか芝居がかった話し方は、少し感情移入してしまいそうになる。

極めつけは、重要な部分を「エヒト様の御導き」という便利な言葉で片付けられているせいで、話の内容が分かったようで分からないことだ。これではどうしようもない。

 

ハジメはイシュタルの話でこの世界のことを理解することを早々に諦め、自分で調査しようという考えに行き着くと、思考を放棄して周りの様子を眺める。

 

イシュタルがすべてを話し終え、クラスメイト達がざわめいているところに一人の小柄な女性が荒々しく息巻きながら立ち上がった。

 

「ふざけないでください!つまりはこの子達に戦争をしろと言っているのでしょう!先生は許しませんよ!ええ許しませんとも!」

 

そう言って抗議する小柄な女性は、ハジメの学校の社会科教諭、畑山愛子先生、通称愛ちゃんである。

 

彼女は威厳のあるかっこいい教師に憧れているのだが、如何せん背が低い上に気持ちだけが先走ってしまうことも多く、結局癒やし枠として愛称で呼ばれる羽目になっている。

 

「親御さんたちだって心配しているはずです!私達を元いた場所に返してください!」

 

そんな彼女だが、社会科教諭ということもあるのだろう。戦争を連想させるキーワードに反応し、猛烈に抗議をし始めた。

 

クラス全員が、それを見て和むというこの緊急事態に全く追いついてこれていない反応している中、

 

「残念ながらあなた方の帰還は現状では不可能です。」

 

爆弾が投下された。

 

それを聞いたクラスメイト、さらには先程まで荒ぶっていた愛子まで水を打ったように静かになる。

 

「ど、どういうことですか!呼べたなら返せるはずでしょう!」

「先程申し上げたとおり、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々には世界に干渉する魔法を使うことなどできないのですよ。」

 

愛子はそれを聞いてふらりとその場に座り込んでしまい、クラスメイトたちは一気にパニック状態に陥る。中には泣き出すものや挙動不審になるものまで出てきてしまっていた。

 

そんな中、バンッと、机を叩く音があたりに響き渡りった。その音に驚いたクラスメイト達は一時的にではあるが静かになる。

 

机を叩いたのは、

 

「皆、一旦落ち着いてくれ。」

 

我らが天之河光輝だ。

彼はあたりをざっと見回し、全員が落ち着いたことを確認すると、イシュタルに向けて言う。

 

「イシュタルさん。いくつか質問したいのですがいいでしょうか?」

「ええ。何なりとどうぞ。」

「ありがとうございます。まず1つ目に、僕たちの衣食住は保証されている、と考えていいのでしょうか。」

「ええ。あなた達の身柄は我がハイリヒ王国が保証させていただきますぞ」

 

それを聞き、光輝はまず安心した表情をする。しかし、すぐに表情を硬いものにもどすと再び口を開く。

 

「次に、僕たちは戦いとは全く無縁の生活をしてきました。なので、戦いが苦手だという人のために生産部門を設立していただきたいのですが。」

「生産部門…ですか?」

 

明らかに不審な目をするイシュタルに、光輝は引くことなく説明する。

 

「はい。この世界の技術は僕たちの世界の技術よりも遅れている気がするんです。なので、この世界で僕たちの持つ技術を発展させることができれば、あなた達にとってもプラスになると思うのですが。」

 

イシュタルはそれを聞き、暫し考えたあとに口を開く。

 

「そういう事であればいいでしょう。その話、お約束させていただきます。」

 

そこで光輝はようやく表情を大きく崩し、イシュタルに礼を言うとクラスメイトの方に振り返る。

 

「聞いたかい?皆、自分のやりたい方に参加して、この世界のために戦おうじゃないか。大丈夫だ。俺が必ず君たちを守る。

 

…この命を捨てようともね。」

 

「おう光輝!お前ならそういうと思ったぜ!お前がやるなら俺もやるぜ。」

 

「今のところそれしか無いわよね…。気に食わないけど私もやるわ。」

 

「雫ちゃんがやるなら私もやるよ!」

 

クラスカーストの上位四人が戦争に参加したことで、クラスメイト達の気持ちは一つにまとまる。

 

しかしハジメには、光輝が苦い顔をしているのが見えていた。おそらく彼は、クラスメイト達に戦争になど参加してほしくなかったのだろう。

 

しかしこれ以上どうにもできない。ここには自分たちに何もない。戦争に参加しないとでも言えば、この狂信者たちに何をされるかわかったものではないのだから。

 

しかし、ハジメの中で彼に対する評価は高かった。ただ流されるだけではなく、自分たちの安全を保証させたこと。

 

そして何より、「守る」という言葉に揺るぎない信念が見えた。

 

(後でコンタクトをとってみるか…)

 

ハジメはそう考えながら、移動を始めたクラスメイト達のあとについていった。




終わったー。
書きたいことが多すぎて前回の2倍以上の文字数になってしまった。(;;;・_・)

今回は光輝くん大活躍でしたね。こんな感じで彼は頼れる勇者になっております。彼の成長にも期待してください。
それでは今回はこのへんで…
「作者さんや。俺はいつ変身できるんだい?冒頭の回想シーンですら変身してないぞ。」
…もう少し待ってなさい!
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