仮面ライダーオロチ   作:御剣龍也

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おっしゃー!変身シーン!
自分自身でも超楽しみでしたぁ!

それじゃあご唱和ください!

「変身!」


変質

ハジメ達は、底の見えないほどに深い穴の上に掛けられている巨大な石造りの橋の上にいた。

 

 

 

その目の前には一体の化け物が佇んでいる。それは10mほどにもなる巨大な体躯に、一対の角を額に携えた姿をしている魔物だった。

 

メルドはそれを見てこう呟いた。

 

―ベヒモス、なのか?―

 

 

 

更に、その反対側からは小さな大量の魔法陣から、剣を携えた骨「トラウムソルジャー」が溢れ出す。

 

 

 

本来三十八階層に現れる魔物で、素のスペックもさることながら、集団戦闘を行う性質も持っている。どうにも知能はないようだが、連携もしなかった二十階層より上の魔物とは一線を画す戦闘能力を持った脅威である。

 

 

 

それがわらわらと湧き出し、あっという間に100を超え、止まる気配を見せることなく増え続ける。

 

 

「ねえ天之河君。」

「何だ南雲。」

 

 

並んで立っていたハジメと光輝が振り返る。その不機嫌な視線の先には、この騒ぎの原因である檜山が地面にへたりこんでいた。

 

 

「こいつ後でぶん殴ってもいい?」

「殺さない程度にな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい先程、今日の訓練最後の階層である20階層に辿り着いたハジメ達は、「ロックマウント」と呼ばれるゴリラのような魔物と戦っていた。

 

相変わらず光輝と番長ズが無双し、生産部門チームがそのサポートをしながら戦いを進めていく中で、たまたま光輝が放った攻撃により通路の一部が剥がれ落ちた。とはいえ本当に表面が崩れただけだったので誰も気に留めなかったのだが、昨日のことを引きずり、下を向いていた香織がふと剥がれた壁の向こう側に何かを見つけた。

 

メルドに聞くと、それはグランツ鉱石というもので、地球で言うところの宝石らしかった。錬成師に人気がある事が分かり、ハジメにチラチラと視線を送る。

 

それがまずかった。もとよりハジメが香織によく構われる事をよく思っていなかった檜山が、香織の気を引こうとよく確認もせずにそれに手を出したのである。

 

幸利が、それがトラップだと気がついた頃にはもう遅く、檜山の手が鉱石にふれ、突然床が光だし、

 

 

 

 

 

 

 

今に至る。

 

 

 

二人は檜山から視線を外し、作戦会議を始める。

 

 

 

「クラスメイトは任せていいかい?」

「元よりそのつもりだ。ではデカブツを任せる。」

「オッケーだよ。ただし、」

 

 

 

ハジメが指を指す。その先には、ベヒモスと呼ばれた大型の魔物と対峙している騎士団と、光輝を除いた幼馴染達がいる。

 

 

 

「まずはあれを連れ戻してからね。」

「その間のクラスメイト達の守りは。」

「生産部門、なめないでもらえるかな?」

「よし。任された。」

 

 

 

二人は軽く拳をぶつけると、それぞれ反対側に走り出した。

 

ハジメは手始めに地面を錬成して橋を波打たせると、辺り一帯の骸骨を奈落の底へと送り込んだ。

 

死にかけたのか、顔を真っ青にしながら座り込む女子生徒に手を差し伸べ、起き上がらせると彼女を叱咤する。

 

 

 

「戦争をやるって決めたのは君らだろう?ならこんなことでへたりこんでるな。その頭でどうしたらいいのか考えて動け。さあ早く!」

 

 

 

ハジメはそれだけいうと、大剣で周りの骸骨を切り飛ばし、お目当ての人物を見つけてそちらへと駆け出した。

 

 

「莢さん!」

「あ〜らハジメ?今立て込んでるからデートの誘いなら後で…ね!」

 

 

莢はショーテルだけでなく、白衣に仕込んであった投擲針やクロスボウを使い骸骨たちを片付けているが、それなりに余裕はあるようだ。

 

 

どこぞの女盗賊が怪盗の孫に言うようなセリフを口にする莢に呆れながら加勢するハジメ。

 

 

 

「俺達はあっちのデカブツの相手に回る。俺が合図したら走ってついてきて。」

「わかった。で、あとどのくらいかかるの?」

「そうだね、あと……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、幼馴染三人組は、後ろのクラスメイト達の状況に気づかずにいた。メルドが幾ら撤退するよう命じても、龍太郎が言うことを聞かなかったためだ。

 

 

この限定された空間ではベヒモス程の体躯を持つ魔物のの攻撃を回避するのは難しい。そのため、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退するのがベストだ。既に結界も張り終え、準備は整っている。しかしその微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るものであり、今の三人に出来るような芸当では無かった。だが戦闘の素人達にまずは褒めて伸ばしてやろうとしたメルドの方針が裏目に出て、龍太郎達は己の力に過信してしまっていたのだ。

 

 

唯一状況を理解出来ていた雫が龍太郎を下がらせようとするが、ステータス面で筋力が負けている彼女では押しても引いても彼を動かすことができない。空気の読めない男に雫は苛立ち、香織はただオロオロするだけ。

 

 

もう一度ベヒモスが障壁に突進しようとしたその時、突然その目に砂埃が入り、突進が停まった。それをやったのは、

 

 

 

「お前たち。下がるぞ。」

 

 

 

全属性適正の技能を持っている光輝だ。走ってきた彼はメルドの隣へと駆け寄り、先程ハジメと二人で作り上げた作戦をメルドに話す。

 

 

メルドは難色を示したが、光輝が、ここにいる全員が無事に帰還できる方法だと根気強く説明し、ようやく折れた。

 

 

「光輝!お前が来れば百人力だ「馬鹿なこと言ってないで下がるぞ。」」

 

 

まだそんなことを言っているのか、とため息を付きながら光輝は龍太郎を抱え上げ、雫に指示を出す。

 

 

「さっさと下がってクラスメイトの加勢をするぞ。司令塔の俺たちが居ないせいでパニック状態だ。」

 

 

後ろを振り返れば、確かに今にも押し込まれそうなクラスメイト達の姿があった。おそらく騎士団が居なければ持ちこたえることすらできていなかったであろろうそれを見て、雫は頷く。

 

 

「そうね。早く行きましょう。」

 

 

4人はクラスメイト達の方へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今だ!行くよ莢さん。」

「了解!」

 

 

光輝達が走ってきたのを見たハジメと莢は、周囲の骸骨達をまとめてぶっ飛ばし、ベヒモスに向けて走り出す。

 

 

 

 

こちらに向けて走ってくるハジメを見て、香織が動揺する。

 

 

「光輝くん!何でハジメくんがこっちに来るの!?」

「作戦だ。俺たちがクラスメイト達を守り、あいつらがデカブツの相手をする。」

 

 

今の自分たちでは、純粋な力押しでベヒモスには勝てない。ならば、自分達をあっと驚かせるような武器や知恵を使って戦うハジメ達のほうがベヒモスの相手には向いていると考えていた。

 

 

「じゃあ私は戻る!」

「馬鹿言うな。君にはクラスメイトや騎士団の回復をしてもらう必要がある。」

「でも!」

「でもじゃない。」

 

 

 

しかし理由が分からないため駄々をこねる彼女に、光輝がピシャリと言い放つ。

 

 

 

「君が勝手な行動をすれば作戦は通用しなくなり、南雲たちも死ぬことになる。気持ちが分からなくもないが今はこっちに従え。」

 

 

 

その正論にに彼女は泣きそうになりながらも頷き、クラスメイト達の方へと向かう。途中でハジメとすれ違うときに、光輝は小声で「任せたぞ。」と言って走り抜けていった。

 

 

 

 

「任された」

 

 

ハジメは光輝の言葉にそう返すと、走りながら錬成を行い、騎士団の目の前にいくつもの石柱を作り出した。

 

 

突然地面から赤いスパークとともに石柱が生えてきたことに驚く騎士団。更によく見ると、ベヒモスの足が地面に絡め取られ、身動きが取れないようになっていた。

 

 

どこかで見たその光景にメルドはばっと振り返る。そこには、

 

 

「メルドさん!お待たせしました!」

「あとは任せて、皆をお願いします!」

 

 

ハジメと莢がすぐそこまでやってきていた。メルドは申し訳なさそうな顔で本当に大丈夫なのか尋ねるが、二人は不敵に笑い、任せろと言って地面から足を引き抜いたベヒモスに向けて走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ狙いが定まらねえ!」

 

 

幸利は舌打ちをしながらクロスボウをホルスターに収めると、今度はショートソードを抜き、それに施されたギミックを発動させる。

 

薄っすらと刀身に刻まれていた魔法陣が禍々し紫色に発光し、刀身の延長線上に魔法陣と同じ色の光刃が展開された。

 

 

「よし。異状なし。相変わらずカッコイイよなこれ。」

 

 

幸利はカッコイイは正義。と呟くと、自分の身長ほどの長さになった剣を使って骸骨達を切払っていく。

 

 

この剣には、闇魔法を改良したものが搭載されており、こうして光刃を伸ばすことができる。これには質量がないため実に軽く扱いやすい。更にドレインタッチのような効果も付与されており、触っただけでも魔力を吸い取るアーティファクト顔負けの一品だ。

 

作っている最中はもうオタク談議が止まらなかったらしい。

 

 

 

 

「おりゃあ!」

 

 

 

ハジメと莢から体の動かし方や剣の振り方を学んでいたため、少したどたどしくはあるが凄まじい活躍を見せる幸利。

 

 

光輝達と遅れてメルド達騎士団も合流し、なんとなく余裕が出てきた彼は、ベヒモスの方を見て一瞬固まり、苦笑いを浮かべた。

 

 

「もう俺アイツらのことで驚くのやめよ。」

 

 

そこには地面から頭だけ突き出し、涙目になっているようにすら見える、いや、実際に泣いているベヒモスと、それを剣の先でツンツンつついているハジメと莢がいた。緊迫した状況のはずなのに、なぜかギャグ漫画風味になっている空間にはなんとも笑いを誘う。

 

 

まあともかく、これでなんとか生きて帰れそうだ。そう思ったその時、

 

 

「ウアアァ!?」

 

 

突然騎士団のいる方向から悲鳴が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイト達と戦う騎士団。その一人が、いつもとは全くの別人のような活躍を見せていた。その騎士は、自分でも何故ここまで動けるのか疑問に感じながらもとにかく生き残ることを考えて剣を振るっていた。

 

 

 

自分の身に起きている変化に気がつくことなく。

 

 

 

(よし。なぜかわからないが体が軽い。状況もいい方向に流れてきたぞ。これなら無事にここから逃げ出せそうだ。

 

 

 

……ここ?あれ、ここってどこだ?

 

 

……何で俺は戦ってるんだっけ。

 

 

……コイツラは誰だ?

 

 

……あれ?俺って誰だ?

 

 

……誰ってナンダ?

 

 

……アレ?

 

 

……?

 

 

…………。)

 

 

突然動きが止まったその騎士に、騎士の一人が不審に思い近づく。

 

 

「おい、大丈夫…」

 

 

 

ズシャッ 

 

 

 

「え…」

 

 

 

唐突に近づいてきた騎士に、剣を握っていた手を振り上げる。それによって、哀れな騎士の体は真っ二つに切り裂かれ、血を吹き出しながら絶命した。

 

 

「ウッウアアァ!!」

「キャアアアァァア!!」

 

 

その光景にクラスメイト達は絶叫し、騎士団達はあ然とする。

 

 

「お、お前、何やって…。」

 

 

誰かがそう尋ねる。しかし、その騎士はそれには反応せず、代わりにうめき声を上げながら体を苦しそうによじる。

 

 

「#=$’%$=‘)(*%%$’」

 

 

グジュッ

 

グジュグジュッッ!!

 

 

「⊗∑∩⊗⊗∨≯∟∶∇∴∇∅∶⊂⊇∏∧∆」

 

 

 

酷く気味の悪い音と共に、体がボコボコと盛り上がり、何を言っているのかは分からないものの、この世のものとは思えないような声を上げ、その場でもがき苦しむように悶える。

 

 

騎士団達は何が起きても言いように剣を構え、スキなく状況を伺う。

 

 

そしてついに、それは目覚めた。

ソレは神か怪物か。どちらにせよこれに対して人間ができることなど皆無に等しい。

 

「Gyuooooo!」

 

ネオ。ハジメ達が命をかけて戦った異形。

それが今、異世界トータスにて覚醒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……に……!?」

 

 

ハジメは目を見開き、そこに現れた異形、「タイガーネオ」を穴が開くほどに見る。

 

 

「いや、そんなまさか。ありえない。奴らは確かに壊滅させた。それに研究所も一つ残らず潰した。研究内容も粉々に粉砕したはずなのに…!」

 

 

頭を抱え、珍しくうろたえるハジメ。呼吸が荒く浅くなり、足元もフラフラとおぼつかない。目の前が暗くなり、そのまま意識が…

 

 

「ハジメ!しっかりしてよ!」

 

 

と、その時、莢が肩を掴んでガクガクと揺さぶることでハジメはなんとか持ち直した。

 

 

「ご、ごめん莢さん。ちょっと目眩がしただけだよ。」

 

 

ハジメは頭を振って気を取り直す。

 

自分の力を開放すれば太刀打ちはできる。しかし、とあるものを使わずにそれを開放すれば、自分がどうなるかはわからない。

 

唐突に莢の唇に自分の唇を重ねた。数瞬間の出来事。すぐに離すとハジメは彼女の背中に手を回し、抱きしめながら、確認するように言う。

 

 

「莢さん。僕がもし自分を見失ったら、連れ戻してくれる?」

 

 

はじめは驚いた表情を浮かべた莢だったが、すぐに抱き返すと、肩に顔を埋めて答える。

 

 

 

「ええ。ひっぱたいても…ね。」

 

 

 

ハジメはその答えにありがとう、と返すと、彼女を開放し、自分の腰のポーチから一つの笛を取り出した。

 

 

 

この笛の特徴、それは、

 

 

うるさい。とにかく煩い。耳栓をしようと鼓膜を破壊しにかかってくる。

 

 

 

魔物の牽制用に持ってきていたのだが、こんなところで使うことになるとは。ハジメはそれを咥え、特性耳栓をすると、

 

 

「ビョオオオオオオアイイイイイイイイ!!!!」

 

 

力の限り吹き鳴らした。

 

 

20mほど離れていたにも関わらずハッキリ聞こえるその不快な音に反応し、タイガーネオはこちらをジロリと睨みつけると、助走もなしに一気に飛び上がり、ハジメの前に着地する。

 

 

ハジメは耳栓と笛を捨て、目の前の敵を睨みつける。そして、自分の体へと意識を向けた。あの戦いから半年ほど。一度も使うことのなかった「力」を開放しようと。

 

 

しかし、次の瞬間、

 

 

「gyuoッ?!」

「へ?」

 

 

突然タイガーネオはバランスを崩し、倒れる。それをやったのは、ハジメでも莢でもクラスメイト達でもない。

 

 

「お、お前…」

 

 

ハジメの目の前には、今となってはすっかり見慣れた機械じかけの蛇、

 

 

「オロチ…?」

 

 

「オロチガジェット」が佇んでいた。それはオロチと呼ばれたことに嬉しそうに尾を振るうと、ハジメの足から体を這い上がり左手にたどり着くと、とぐろを巻くようにして体を折りたたみ、四角いカード状に変形。そしてハジメの右手には、光の粒子が集まり、一本のベルトが出現した。

 

 

ハジメはそれに、数秒間ほど呆けるが、すぐに愉快そうに笑うと、オロチを握りしめた。

 

 

「また、力を貸してもらうよ。相棒。」

 

 

 

ハジメは腰にベルトを巻きつけると、起き上がったばかりのタイガーネオに向けて半身になり、左手を前に、右手を腰のあたりに構え、拳法の構えのようなポーズを取る。

 

 

そして叫ぶ。自分を苦しめてきた呪縛の言葉。自分の力を開放するための言葉を。

 

 

 

 

 

 

 

 

―変…身ッ!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遂に変身!でも戦闘はまた今度。区切りもいいので今回はここまでです。次回、ハジメの仮面ライダーとしての戦いを描いて行こうと思います。

そうそう。これ莢のイメージ画像です。
【挿絵表示】
あくまで作者の画力ではここまでしか再現できなかっただけなので、残りはみなさんのイメージで保管していただけると助かります。

それではまた次回、お会いしましょう。
感想ご意見お待ちしておりますッ!!(切実ッ)


「俺たちの戦いはこれからだ!」

…まあそうなんだけどやめてくれない?そう言うの。

「打ち切りっぽくて?」

うん。

「自覚あるんだね。」

やーめー↑ろー↓!!
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