「ごめんなさい! ごめんなさい!」
家の蒲団の中で包帯やらギプスやらで全身を巻かれている俺に羽黒は先ほどから土下座する勢いで謝ってきている。
「気にする必要はない。生きてるんだから問題ない」
そう言って俺は羽黒を宥めると、後ろに居る足柄に羽黒を連れて行くように促す、それに気づいた足柄も頷き、羽黒を連れて家から出ていった。
「……あー、最初の大破が味方からの誤射からとはなぁ……」
二人が居なくなったことを確認し、俺は大きくため息をつく。まぁ、死んでいないし、戦局に影響があったわけでもない以上、誤射程度でとやかく言っても仕方ないか。その程度、軍隊ならあり得ることなんだから。
「チヌさん、具合はどうですか?」
そんなことを考えていると家の戸が開かれ、不知火が入ってきた。
「不知火か。まぁ、まったく動けない程じゃないが……入渠のほうはどうなってるんだ?」
「第一艦隊、第三艦隊、共に負傷している娘が居るので……もう少し時間がかかりそうです」
不知火の言葉にそうか。と返し、俺は溜息をついた。まったく、つくづく戦車の我が身が情けない。味方の誤射の爆発程度で大破した挙句に意識を失なって、艦娘達の入渠が終わるまで寝てるしかないなんて。
「申し訳ありません。この鎮守府は前線に比べて施設が整ってなくて……他の鎮守府ならもっと入渠施設も大型なんですが……」
「いや、構わないよ」
俺の表情を読んだんだろう、不知火が少し申し訳なさそうに頭を下げてくる。別に不知火に頭を下げてもらうような事でもないから気にしなくていいんだがな。誤射した張本人にはこれでもかと謝られたし、戦闘中の事を糊塗されうるさく言う気もない。
「入渠が空くまで待ってるから、不知火はもう戻ったらどうだ? 遠征してたんだから疲れてるだろ?」
そう言ったが、不知火は首を横に振った。
「疲れは問題ありませんし、報告書等も他の艦娘達がやってくれていますから。チヌさんが入渠するまでは一緒に居ます」
そう言うと、不知火は「お水を用意しますので」と言って台所に向かった。いや、死ぬような傷でもないし、入渠が終われば回復するんだから放っておいてくれていいんだが……さすがに言いづらい。
「チヌさん、お水用意しました」
そう言って俺の横に水の入った水差しとコップを置く不知火。結局、俺はこのまま入渠が空くまでどころか、入渠施設に行くまでの道中の支え役や、施設の説明まで全て不知火に頼むこととなるのだった。