家に戻った俺は洗濯機の前まで行くと、とりあえず上の服を脱いでそのまま中に放り込む。しかし、所々から泥や砂も入ったせいか、肌着まで汚れてるな。これはもう下も全部放り込んで、軽く風呂に入るしかないか……。
そう思ってズボンに手を掛けた時、突然家の戸が開かれた。
「チヌ。ちょっとお願いしたいんだ……けど……」
後ろを振り向くと、暁と響が、戸を開けた状態で固まっていた。
「戸閉めて外でてろ。後で聞くから」
俺がそう言うと、響が固まったままの暁を戸から引きはがし、そのまま戸を閉めた。まったく、ノックもせずに戸を開けるなんて、何が一人前のレディなんだか。
ともかく、俺は服を全部洗濯機に放り込み、動かしておくと。風呂に入って軽く体を洗う。5分程で汚れを洗うと風呂を出て新しい服に着替え、そして戸を開けた。
「まったくもう、戸の鍵を閉めていないなんて、不注意にも程があるじゃない」
出てきた俺に暁が怒ってきた。
「そもそもノックもせずに開けたお前が悪いんだろうが。一人前のレディならマナーを弁えろ」
「ムムム……」
何がムムムだ。
「いや、ナイスだったよ暁」
「へ? 何がよ」
ふくれっ面になっている暁の肩を響が叩き、サムズアップする。
「だって、チヌの体見れたもん」
「は? な、何言ってるのよ響!? そ、そんな……」
「おい響、どういう意味だそりゃ」
響の言葉に暁の顔は真っ赤になり、俺も怪訝な表情を浮かべている。
「どういう意味って……あれだけ良い体してたら提督と違って肉体労働も大丈夫そうじゃないか。提督はけっこうひ弱だから、何か頼んでも当てにならないんだよ」
軍人なのにいいのか? あの提督。そりゃまぁ、管理職なら体より頭だろうけど。
「な、なによ。そういう意味なの?」
「ん? 暁はいったいどういう意味にとったんだい?」
「え、そ、それはその……」
心底不思議そうな顔で尋ねる響に暁は顔を真っ赤にして言葉に詰まっている。そろそろ、俺食堂に行きたいんだが、いつまで付き合わなくちゃいけないんだこれ?
「で、一体何の用なんだよ? 漫才するなら余所でやれ」
俺がそう言うと、暁がこれ幸いと俺に向きなおる。
「そ、そうよ。用事があるの。ねぇ、チヌって今日非番よね?」
「ああ、そうだけど」
「それじゃぁ、私達の買い物に付き合ってほしいんだ」
「……はぁ?」
二人の言葉に俺は困惑する。こいつらの買い物に付き合う?
「買い物に付き合えって……。俺が? なんで?」
「今日買い物に付き合ってくれる予定だった香取が作戦行動の変更とかで来れなくなったんだ。他の皆も出撃や遠征があるし、他に空いているのがチヌだけなんだよ」
「お前らだけで行けばいいだろ」
「私達だけじゃ外出許可が下りないのよ! まったく、大人のレディを子ども扱いするんだから、酷い提督よね」
暁の言葉で俺はどういう事か納得した。不知火はまだそうでもないが、この二人じゃ確かにダメだろうな。
「……まぁ、俺も構わないが、朝飯だけは食わせろ。訓練してたから腹減ってるんだよ」
「もちろんだよ、チヌ」
「ふふん。私達みたいな美人と一緒に買い物に行けるなんてありがたく思いなさい」
「響、暁は留守番したいようだから、今日は二人で行くか」
「ハラショー。それはとても素晴らしい提案だね」
「ちょっ、二人とも酷いじゃない!」