結局、あれからなんやかんやと買い物をしてたらけっこう時間がかかっていた。まだ日は落ちていないが、それも時間の問題だろう。
「ちょっと急いだほうがいいかな。こっちの道を通ろう」
そう言って響は裏路地を指さす。
「えー、こんな所歩くの?」
暁がそう言うのも無理はないだろう。薄暗いし、あっちこっちにゴミ箱あるし。
「でも、ここを通らないと厳しいよ? まだ行きたい所あるんでしょ?」
「むー、わかったわよ」
結局暁も折れて、俺たちは裏路地を通っていく。だが。
(……!?)
俺が後ろを振り向くよりも早く、俺の頭に何か固いものが叩きつけられた。
「きゃあ!?」
「チヌ!」
二人の叫び声が聞こえたが……俺は叩きつけられた部分を軽く撫でながら後ろを向く。
「な、なんで倒れねえんだよこいつ!?」
後ろを向いた先に居たのは、俺に絡んできた奴……が一人いるな。で、後の二人は見た事ない。その手には鉄パイプやら角材やらを持っている。
「……軍所属に対しての暴行。これは現状の法律では、一般人への暴行以上の罪状になると知っての事か?」
そう言って俺が一歩前に踏み出すと、連中は一歩後ろに下がる。
「ぐ、軍属!? おい、話が違うじゃねえか! あいつらは暁ちゃん達に付きまとってるストーカーじゃねえのかよ!?」
「ん、んな事言われてもよ! あいつ、二人の同僚とか抜かしたんだぞ! 男でそんなのいるわけねえだろ!?」
「じゃぁ、誰なんだよあれ!?」
……何言ってるんだこいつら? まぁいい。
「……軍属への暴行の現行犯につき、逮捕する」
そう言うと、俺は一息に三人の中に突入すると、俺を殴ったであろうやつの鳩尾にまずは正拳突きを捻じ込む。そしてそいつが崩れ落ちるの横に避けつつ前に踏み出し、鉄パイプを持っているやつの顎にアッパーを叩きこむ。そして右足を軸に体を回転させ、最後に残っていた男の腹部に蹴りを突きこんだ。
「……こんなもんか?」
地面に倒れ伏す三人を見て、俺は軽く息を吐く。そして暁達のほうを見たら……暁に怯えた目で見られた。
「チ……チヌ。怖い……」
「チヌ、流石にやりすぎなんじゃ?」
一方の響はやけに冷静な声音だ。お前ら、本当は響のほうが年上だろ?
「仕方ないだろ。俺が普通の人間だったら最初に殴られた時点で重傷なんだぞ。今から警察に電話するが……お前たちはどうする? 先に鎮守府に帰るなら、鎮守府に連絡したら大丈夫だと思うが……」
「いや、証人は必要だろ? 私は付き合うよ。暁はどうする?」
「い、妹や同僚を置いて一人で帰れるわけないでしょ。私も行くわよ」
どうやら二人も付き合ってくれるようだ。それを確認してから、俺は警察に連絡した。