黒潮と話した翌日、警備の仕事を終えた俺は明石に頼まれて武器庫の整理をしていた。
「いやぁ、すみませんね。妖精さん達じゃ流石に限界があって……」
「いや、気にするな。これも必要なことだからな」
そう言いつつ、俺は弾薬の詰まった箱を棚の上に置く。確かにまぁ、妖精さん達でやるには重いだろうし、明石一人でやるには量が多い。
「あ、あの~。すみませ~ん」
ふと、整理をしている武器庫の中に声が響く。俺と明石がそちらを見ると、そこには入り口の前に立っているまるゆの姿があった。
「あれ、まるゆさん、どうしました?」
整理の手を止めて明石が声をかける。
「あの……イムヤさんに、そろそろ実戦に出るために魚雷貰って来いって言われたんですけど」
その言葉に明石は目を見開いた。
「え、でもまるゆさん、まだまともに魚雷扱えませんよね? それなのに実戦なんですか!?」
「は、はい。イムヤさんが、実戦に出て経験を積むほうが良いって……」
そう呟くまるゆは、やはりオドオドしていて自信のなさが手に取るようにわかる。これで実戦に出て大丈夫なのか?
「あ、チヌさん。こんにちは」
ようやく俺に気づいたのか、まるゆが俺に挨拶してくる。
「ああ、こんにちは。実戦に出るんだな……大丈夫か? 自信がないなら、もう少し特訓をしてからにしたほうが良いって、俺からイムヤに言ってもいいぞ?」
「い、いえ! 大丈夫……です……。大丈夫……」
いや、どう見ても大丈夫じゃなさそうなんだが……少し明石に視線を向けると、魚雷を用意しつつも明石も心配そうな顔をしている。
「大丈夫には見えないんだが。良いのか? 実戦となれば……」
「そうですね、私も正直お勧めしませんよ。私も口添えしますし、イムヤさんにはちょっと言っておくほうが……」
「だ、大丈夫ですから! 私も頑張らないといけませんから……。明石さん、魚雷お願いします」
「あ……わかりました」
二人の言葉にまるゆは頭を振って大声を上げると明石に魚雷を強請る。それに明石は押されて、とりあえず三連装魚雷を持ってきてまるゆに渡す。渡された魚雷を重そうに持つまるゆを見てるとどうも心配になる。
「ありがとうございます。では失礼します」
そう言うと、まるゆは魚雷を担いで武器庫を後にしていった。
「……本当に大丈夫でしょうか? 心配ですねぇ」
「まぁ、初実戦ならそんな危険な海域には行かないだろ。仮にまるゆが役に立たなかったとしても大丈夫だと思うが……」
そう言うが、俺は内心で少し心配になる自分を自覚していた。